サラマンダーが出てくる、
唯一の『沙羅曼蛇』。
ファミコン版『グラディウス』で肩すかしを喰らった私が、グラディウスシリーズに夢中になったキッカケはこの続編であるファミコン版『沙羅曼蛇』でした。よくよく作品を見てみると、原作であるアーケード版とは随分違うのですが、ある意味、ワイワイワールド的なごった似感こそが、このファミコン版の味だと思うのです。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を紐解いていこう――。

こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、1987年9月にコナミがファミコン用ソフトとして発売した『沙羅曼蛇』。これ、サラマンダと読みます。あのファミコン版『グラディウス』の続編であり、ファミコンにおけるグラディウスシリーズの名誉を挽回した作品といえるでしょう。

(本作は、前作同様の横スクロールパートだけでなく…)

(縦スクロールパートがある点が大きな特長です!)
実は、ただのアーケード版の移植ではない

本作は、アーケード版『沙羅曼蛇』のファミコン移植版…なのですが、実は忠実な移植ではありません。実は『沙羅曼蛇』にはいろいろなバージョンが存在しており、本作についてくわしく知るには、その流れを知る必要があります。
★その1. アーケード版『沙羅曼蛇』
『沙羅曼蛇』の原作。くわしくは当ブログの記事を参考にしてください。
【名作発掘】 『沙羅曼蛇(サラマンダ)』─―戦友(とも)よ、我とともに戦ってくれ!
★その2. 海外のアーケード版『LIFE FORCE』
『沙羅曼蛇』の海外展開では主に『LIFE FORCE』というタイトル名が使用されました。
★その3. 日本のアーケード版『LIFE FORCE』
海外版の逆輸入と見せかけて、有機体ステージが増え、物語の設定が変わり、音楽も一部変更となり、パワーアップが『グラディウス』と同じパワーカプセル方式に変わったアーケード版グラディウスシリーズの3作目。基盤の出回りが少ないため希少と言われました。
んで、
ファミコン版『沙羅曼蛇』は、その1のアーケード版『沙羅曼蛇』と、その3の日本のアーケード版『沙羅曼蛇』のハイブリッドに、その他オリジナル要素いろいろと付け加えた作品です。そのため、やり比べをしてみると、「雰囲気は同じだけど、ほとんど別の作品」ということがお分かりいただけるかのではと思います。
パワーアップがパワーカプセル方式に変わった背景としては、ファミコンの購買層が子どもということを考えると、「ファミコン版『グラディウス』に近い風味のほうが本作を理解しやすいだろう」という思惑があったのではないでしょうか。

(ステージ1からグラディウスのステージ6を思わせます)
実は、VRC3搭載作品

コナミは、ファミコンのロムカセット内にオリジナルチップを搭載することで、フツウのファミコンでは表現できないことをいろいろと実現させてきました。その立役者となったのが、VRC(Virtual Rom Controller)というチップです。
これは、バンク切り替えを可能にするもので、メモリ内のアドレス空間を1次元配列から多次元配列にすることでアクセス可能なアドレス空間を拡張するというもの。1枚の模造紙をメモ帳として使うのは使いづらいと思いますが、手のひらサイズに切って使えば格段に使いやすくなるわけで。パタパタアニメなんかもできるでしょ。ざっくり言うと、そういう使いかたをするためのチップです。
これによって、デカキャラが動いたり、プロミネンスが動いたり、オプションが3つまで搭載できたり、しているように見せることができるようになりました。

(プロミネンスのこの迫力はよくがんばった!)
VRCはコナミのファミコン作品では搭載されているものが意外に多く、また意外な使われかたをしているためプレイしているだけだと分からなかったりします。本作によるVRC3の主な使われかたは、「比較的大きなグラフィックがパッと一瞬で表示される」ところ。本作のオリジナル要素を注意深く見てみると、この技法がいろいろなところで活躍しています。
本作はVRC3の効果的な使いかたを体現した、という一面もあるのではないでしょうか。
テーマよりも、ビジュアル重視の作風

アーケード版『沙羅曼蛇』や日本アーケード版『LIFE FORCE』ともに、作品としてのテーマがあります。両作品に共通しているのは、”宇宙における巨大な有機体の存在感”というところだと思うのですが、残念(?)なことに、ファミコン版『沙羅曼蛇』はオリジナルステージの存在から、そのテーマから少し逸脱した印象を受けます。
どこのことを言っているのかというと、ステージ5の神殿ステージのことなのですが。アーケード版の雰囲気とはあまりにも違いすぎる異物感は否めません。

(元ネタはアーケードに『ツタンカーム』ってのがあってね)
これは、MSX版『グラディウス』のオリジナルステージである骨ステージにも通じることであり、オリジナル要素をもともとの作品の作風に合わせるということは、本作の課題としてその解決は『グラディウスII』に持ち越されます。
では、プレイしていて気になるかというと、プレーヤーであるファミコン少年少女たちはそんな小さいことにはまったく気が付かなかったばかりか、「神殿きれい!」「ツタンカーム、カッコイイ!」というノリだったと思います。
そういう点では、本作にはプレーヤーの心をつかむビジュアル重視志向が感じ取れるわけで、これこそ、ビジュアル面でユーザー評価を取りそこなったファミコン版『グラディウス』からの反省と改善の意志を強く感じます。
大人になってからのゲームプレイ時には、このあたりを気にしてみるとなかなか面白いと思います。
作品ハイライト


(スクロールはアーケード版に比べるとちょっと遅め)

(このキバの演出には震えました…!)

(ステージ1のBOSS「ゴーレム」)

(FC版ステージ2は、AC版のステージ5です)

(ステージ2の中BOSS「ゲート」)

(ステージ2のBOSS「テトラン」)

(本作の代表的なステージ、生命エネルギーがほとばしる)

(AC版のBOSSイントルーダーが小さいぞ!)

(今度はすごく大きくなっちゃった!)

(ステージ4の前半は『LIFE FORCE』のステージ2風)

(ステージ4後半は、オリジナルの高速スクロール!)

(ステージ4のBOSS「ギーガ」)

(ステージ5の前半はグラディウスっぽい感じ)

(ビッグコアに似ているクラッシュバムの編隊襲撃)

(ステージ5のBOSS「ツタンカーム」)

(幻想的だけど、結構攻撃がきついステージ6)

(前作に比べると、かなり描きこまれたモアイ)

(サラマンダーが出てくるのはFC版だけ)

(パイロットご尊顔。でもあんた誰?)




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