【良作発掘】『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』――シナリオ分岐こそないものの、これもサウンドノベルの可能性の1つ!個人的にはセガサターン版よりもオススメ!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘した作品は、ハドソンが1995年8月に発売したPCエンジン SUPER CD-rom2用サウンドノベル『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』。これがですね、実話怪談が好きな自分としてはなかなかいい作品なので、個人的には絶対に推しておきたい1本です。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』とは

朝日ソノラマから発売されていたホラー小説『ほんとにあった怖い話』に寄せられた一般投稿による実話怪談を元にしたテキストに、背景と効果音とBGMを載せたサウンドノベルです。

サウンドノベルという伝えかたをしましたが、『弟切草』や『かまいたちの夜』のように選択肢によってストーリーが分岐することはなく、1話ずつお話を読んでいく、時には聞いていくスタイルとなっています。「ただ読んでいくだけ、ただ聞いているだけではつまらない!」という意見もあるでしょう。

しかし、本作は百物語なのです。百物語は文化人の遊びの1つで、日が暮れてから日が昇るまでに世の中にあった不可思議な出来事を話し合い、100話語り終わるとそこに怪異が起こると言われています。かくいう俺も、今から20年くらい前に、怪談研究家のいたこ28号さんが主催する百物語の会に何度か参加させていただき、会の最中に怪異に見舞われたことがありました。

何が言いたいかというと、百物語とは人の話を聞くものであり、その会に参加して数々の怪異譚と自分の中に湧き起る未知への恐怖心と向き合うことが、本質だと思うんですね。なので、ビデオゲームとしてのゲーム性は薄いかもしれないのですが、百物語のビデオゲーム化としては正しいカタチなのかなと思います。

で、立体音響とか使われているので、ぜひともヘッドホンをつけてプレイしていただいたほうが震えます。部屋の電気を消すこともお忘れなく(笑)。

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』のストーリー

百物語――。
それは古くから商人の間に流行した怪談会。黄昏時から100本の蝋燭を灯し、怪談を1つ終えるごとにロウソクの火を1つずつ消していく。そして丑三つ時、最後のロウソクが消える頃、真の闇が舞い降りる。現在では、その時に本物の怪異現象が起きると伝えられている禁断の召霊法である。これから何が起きるのか。それを知るのはあなたかもしれない。

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』のダイジェスト

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』の魅力

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』は、「怖い話を堪能できる」という点ですね。俺はレトロゲームブログを運営していますが、実は竹書房から毎月のように出ている実話怪談本を欠かせず買っていたり、怪談会に語り手として参加している怪談ジャンキーという側面も持っているのですが(笑)、本作における怖い話のチョイスはなかなか良いと思います。ただ怖い話ばかりではなく、意味不明な話、ちょっと切なくなる話、やるせない話などがいい感じで集まっていて飽きさせません。

本作は、『ほんとにあった怖い話』に寄せられたさまざまな投稿作品、稲川淳二さんご本人によって語っていただくスペシャルストーリー、学校の怪談、首都圏のホラースポット紹介と、バラエティに富んだお話が集められています。100話完遂は結構大変なのですが、なかなか楽しませてくれます。

ちなみに、セガサターンで『古伝降霊術 百物語〜ほんとにあった怖い話〜』という続編があるのですが、いい雰囲気を作っているのは本作のほうだったりします。

レトロゲームとしての『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』

これは、サウンドノベルの新しい進化を模索した作品であると思うんですね。サウンドノベルというジャンルは、ス-パーファミコンでチュンソフト作品から生まれて、チュンソフト作品によって進化していきました。『弟切草』、『かまいたちの夜』、『街 ~運命の交差点~』…。多くのサウンドノベルが、チュンソフト作品のいずれかの亜種以上になれなかった中、本作はオリジナリティを貫いています。

SUPER CD-rom2という大容量による生音によるBGM、PCエンジンならでは描画機能を活かして、「実話怪談を読む・聞く」ことだけに特化。多くのサウンドノベルがストーリーに干渉する「参加」をするのに対して、ストーリーに干渉することなく講話を聞く側として「参加」をするという、まさに「百物語会」に参加するバーチャル体験、独特の世界観を作り上げているのです。

『百物語〜ほんとにあった怖い話〜』で遊ぶ方法

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