『キャサリン』を再評価してみた!

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タイトル

サイコで、ホラーで、アダルティックで、ロジカルな、男×女のゲーム。

こんにちわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回、発掘した作品は、2011年にアトラスがPS3・Xbox360でリリースした『キャサリン』だ。あのペルソナチームが放つHD機初の作品は、実にアトラスらしい、それでいて他に類を見ないとてもアダルトテイストな仕上がりの作品となっている。

 男がロマンティストであることが、罪。
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システムエンジニアのヴィンセントは、そこそこ幸せな日々を送っていた。同窓会で知り合い、付き合い続けている恋人のキャサリン。行きつけのバーで酒を飲みながら本音を言い合える友人たち。特別、幸せなことはない。だが、不幸でもない。そんなこれまでと同じような毎日がつづけばいい。漠然と、そう思っていた。

「私たち、付き合ってどれくらいになるっけ?」
「最近、親がうるさいんだよね…」

恋人のキャサリンとの会話の中に、“結婚”というキーワードが見え隠れする。お互いにいい歳なんだし、そういう選択も当然といえば当然だろう。しかし、ヴィンセントは結論を後ろ延ばしにする。ここで決めてしまっていいのか?決めなければならないのか?そんな優柔不断な様子もキャサリンの機嫌を損ねる一因となっていく。

「ちょっとここ。相席でもいいですかー?」。バー“迷える子羊”で酒をあおっているヴィンセントの前に現れた可憐な女性。少女のようなあどけなさを装っているが、自分の身体の魅力を知っており、その使いかたもよく分かっている小悪魔。重なり合うのは点と点、そして広がる辺と辺。その夜、二人は体を重ねてしまう。

その夜からヴィンセントは奇妙な夢を見るようになる。自分が羊となって塔をひたすら登っていく…という夢だ。塔の名は“断罪の塔”。しかもその塔には、人を殺すための仕掛け、追いかけてくる者などがおり、塔の中で死ぬということは現実世界での死を意味しているという。

夢か、現か、はたまた呪いか。「結婚」、「浮気」、「父親になる」、「独身を謳歌する」、「仕事を辞める」、「生きる」、「死ぬ」…。ヴィンセントは人生最大の選択を迫られる─―!

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 アダルティックな雰囲気に酔いしれるのが、正しいスタイル
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『キャサリン』は「雰囲気を愉しむゲーム」だ。これは、女性を口説くとき、バーでひと息つくとき、プライベートでシガレットを愉しむとき…すべてに通じることであるが、創りだされたムードを打ち壊すことほど野暮なことはない。本作にいたって個人的には、[アドベンチャーパート]、[パズルパート]という区分やゲームジャンルへの言及も無粋でしかないと思っている。20代後半、人生に岐路に立つ男の、嬉しいような、厄介なようなハプニング、そして生死をかけた生きることへの葛藤をテーマにしたゲーム、それでいいではないかと思う。

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『キャサリン』は、ストーリーを楽しむためのゲームではない。そもそもそういう目的であるならば、このゲームデザインにすること自体がおかしい。これは投げかけである。プレイヤーに対する「あなたならこんな時どうする?」という問いかけだ。その観点からすると、この作品のメインターゲットが、主人公のヴィンセントと同年代である20代後半のゲーマーであると推測される。

私のように結婚し家庭を築いている者、独身生活を楽しんでいる者、結婚願望はあるもののチャンスのない者、魔法使いとしての修行で大詰めを迎えている者、さまざまな方がいるのではないか。誰もが通り、誰もの共感を呼ぶこの葛藤はアドベンチャーやRPGで表現するのは不可能だろう。

事前に修羅場における話の持って行きかたを考えるロジカルな思考、実行に伴われる行動力、最初のシナリオ通りにいかなくなったときの出たとこ勝負、そんな男の生きかた(生き様)を≪断罪の塔≫はよく示している気がする。『キャサリン』とはそんなゲームなのだ。

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 こういうテーマの作品が出ることは素晴らしい!
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個人的に、こういうテーマを扱った作品が世の中に出ることは大歓迎だ。というのも、近年の日本のゲームに共通していることは「ゲームであることにこだわりすぎている」点にあるからだ。もちろん、それはそれで大切な考えではあるのだが、その手の分野は任天堂に任せておけばいい。もっと、さまざまなテーマやメッセージをメーカーは発信すべきなのだ。エッジのある作品は商業的にはリスクを伴う。しかし、リスクを回避するために同じようなゲームばかり乱造した18禁ゲーム市場を見よ。すでに袋小路に迷い込んでいるではないか。

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『キャサリン』のエロスは、テーマ性のある作品において商業的リスクを回避するという戦略にすぎない。エロいものは売れるのである。しかし、それを商業主義と非難するのは間違いだ。いかに崇高な志をもってゲームを作っても売れなければ努力は水泡と帰す。採算を取るために、取れる手段をすべて講じるのはビジネスでは常識だ。

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「なんでゲームにおいても、結婚とか、子どもの認知とか、そういうことを言われなくちゃいけないんだ」。そのようなユーザーの声を反映したのが、何人の女の子と膣内射精をくり返しても子どもが出来ない18禁美少女ゲームであるとするならば、『キャサリン』はその対極に位置するゲーム。

『キャサリン』という作品の功績は、すでに閉塞感のあるHDゲーム市場において未開拓なテーマで作品を作っても商業として成り立つ、ということを実証したことといえるだろう。

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