【怖い話】 真夜中のサラリーマン

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前職は、酒造メーカーに勤めていたというHさんの話。

その日、Hさんは徹夜覚悟で残業に追われていた。
深夜になって、尿意をもよおした彼はトイレに向かうことに。

トイレは真っ暗だった。
トイレには先客がいた。
「どうも」とお互いに挨拶する。
ジョボボボ…
用を足す。
先にいた相手よりも、自分のほうが先に終わった。
内心の動揺を気取られないように
つとめて冷静を装ってトイレから出た。

足早に職場に戻りながら、Hさんは今起こった怪異を反芻していた。
どうすれば説明が付く?

トイレが暗かった。
それに問題はない。
会社の方針で、午後11時以降トイレの灯りはつかないことになっている。

自分以外に人がいる。
これもおかしなことではない。
今は四半期末。他部署も忙しいはずだ。

では、何がおかしかったのか?

トイレにいた先客は、Hさんが入ってきたのを見て
「どうも」と挨拶をしかえしてきた。
その目は、白く光っていたのだ。
まるで目自体が光源であるかのように。

メガネをかけていようと、
コンタクトレンズをしていようと、
廊下まで暗い状態で、どこまで明かりを拾えるものか。

男は、光る目のまま、Hさんを見て、ニヤァと笑ったのだ。

それが誰だったのか。
その日、残業していたメンバーを調べればすぐに分かることだった。
が、Hさんは調査をやめた。
気乗りしなかったのだ。
そしてそのうち会社を辞め、今はIT系の会社で働いている。

あのとき、調べなかったことを後悔はしていないが、
今でもアレはなんだったのかと答えを無性に知りたくなることがあるそうだ。
心に残った澱は、おそらく一生消えないだろう。