【怖い話】 ユカちゃんと秘密の部屋

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稲川さん

はじめて行く友達の家って、ちょっと不気味ですよね…。

怪談仲間から聞いた話。

小学5年生のユカちゃんはクラスの人気者。
学級委員を務めていて、先生からも頼られる存在だった。
そんなユカちゃんのクラスにある時、転校生が。

その子の名前はヒトミちゃん。
ユカちゃんは自分も転校生だったこともあり、
ヒトミちゃんの抱える不安をよく分かっていた。
だから、先生から「ヒトミちゃんをよろしくね」と
言われたときには喜んで引き受けたのです。

ヒトミちゃんは、
長い黒髪が似合うちょっとカゲのある女の子。
性格はちょっと引っ込み思案。
だけど、よく見ると美人顔で、
ユカちゃんは同姓でありながら憧れたそうだ。

ユカちゃんは、積極的にヒトミちゃんに声をかけ、
みんなで遊ぶときにも必ずヒトミちゃんを引き入れた。
そんな甲斐あってか、
ヒトミちゃんはユカちゃんに気を許すようになり、
2人は友だちとして仲良くなっていた。

「ヒトミちゃんの家に遊びに行きたい」
そんなユカちゃんの申し出にヒトミちゃんはちょっと躊躇した。
理由を聞いてもモゴモゴと要領を得ない。
でも、ヒトミちゃんもユカちゃんと仲良くなりたかったのでしょう。
「日が暮れてからなら、いいよ」
と、言ってくれた。

なんで日が暮れてから?
ユカちゃんは当然ギモンに思いました。
でも、特に気にすることもなく、
学校が終わってからしばらくは2人でユカちゃんちで遊び、
日が暮れかけた頃、ヒトミちゃんちに向かいました。

ヒトミちゃんちがあるのは街のはずれ。
2人はテクテクと歩いていき、着いたころにはあたりは真っ暗。

ヒトミちゃんの家は、お屋敷風の佇まい。
あきらかにユカちゃんちの倍くらいの大きさです。
その存在感にユカちゃんは驚きました。
でも、住みたいとは想わなかったのです。
なぜなら、家全体がとても古い作りだったから。

(この家が恥ずかしかったのかも?)
ユカちゃんは思いました。

家の中もお屋敷風なジュウコウな作りでした。
でも、かつては白かったであろう壁はくすみ、
また、こうこうと照らされるオレンジ色の照明のせいで、
ますます古臭さを感じさせました。

家には誰もいませんでした。
「家の人は?」
「お母さんは働いているの。もう少しで帰ってくると思う」
ヒトミちゃんの部屋は2階でした。
子供部屋とは思えない広さ。
ふかふかの大きなベットもステキでしたが、
壁にある大きな窓もユカちゃんの気を引きました。
でも、窓にはカーテンがかけられています。

「カーテン開けてみてもいい?」
「ダメ」

ヒトミちゃんは断りました。
普段は、あまりはっきりした意思表示をしないヒトミちゃんの
その態度はちょっとヘンでした。

2人は部屋でしばらく過ごしました。
気がつくと時間は20時近く。
ユカちゃんはそろそろ帰らなければなりません。
ヒトミちゃんがちょっと部屋を出たすきに、
ユカちゃんは気になっていたカーテンをそっと開いてみました。

驚きました。

カーテンの向こう側には、ザラザラの曇りガラスが。
その先に、赤や黄色、青や緑の光のイルミネーションが
輝いていたからです。
さまざまな光が宙を舞う。
曇りガラスで輝きが増しているそれを、
ユカちゃんは「ディズニーランドみたい!」と感動しました。

ヒトミちゃんが部屋に戻ってくると、
ユカちゃんは振り向いていいました。
「こんなすごいのを隠しているなんてずるいよ!」
(えっ?)となっているヒトミちゃんは
ユカちゃんがカーテンを開けていることに気づいて慌てました。

「ダメ!」
「えー、なんで? こんなにキレイなのに」

と、ユカちゃんが再び窓を見るとそこには暗闇が広がっていました。
光なんてどこにもありません。
ユカちゃんはヒトミちゃんの静止を聞かず、
カギを外すとガラガラと大きな窓を開けて外をみました。

 墓地。

窓の向こうにあったのは、墓地でした。
竹林に囲まれた、大きくも小さくもない墓地。

(じゃあ、私が見た光って何だったの?)
ある答えが浮かんで、ユカちゃんとゾッと鳥肌が立ちました。
ヒトミちゃんは泣いていました。

それからというもの、
ヒトミちゃんは学校でユカちゃんを避けるようになりました。
ユカちゃんが時々視線を感じると、ヒトミちゃんが睨んでいる。
そんなことが続いたそうです。

そうこうするうちに、
ヒトミちゃんはユカちゃんに「おまじない」をしたそうです。
それは、「好きな人と結ばれないおまじない」。
「これは私の復讐だから」
ヒトミちやんはユカちゃんにそう言ったそうです。
そのせいかどうか分からないけれども、と前置きして
現在、ピンク系のお店で働いているユリアちゃん(本名ユカ)は言いました。

 「それ以来、男でロクな目に合わないのよ」。

そう言って、ふーっとタバコの煙を宙に吹きかけました。

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