【名作発掘】 『イースII(MSX2/2+)』──失った少女を追いかけるように、アドルは“翼を持った少年”へ。

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“イースの書をすべて集めたとき、大いなる力が与えられる”。
それは、封印されし古代王国イースへ旅立つ、唯一の方法だった!

この記事は、『イースII』というゲームのレビュー記事です。名作といわれている作品ですが、何を持って名作たるのか。ゲームシステムとかそのあたりの小難しい話ではなく、アドルとしてプレイして面白かった理由をいろいろ探ってみました。

※この記事にはネタバレがあります。




ブログ代表
こんにちわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

さて、今回紹介する作品は、日本ファルコムが1987年にPC用ゲームとしてリリースした『 イースII  Ancient Ys Vanished The Final Chapter 』です。

タイトルになっている「イース」とは、かつて地上にあったとされる王国の名前。前作は、“呪われた国”と呼ばれるエステリアにたどり着いた少年剣士アドル・クリスティンが、エステリアにかつて存在したという「イース」があるときを境に歴史上から忽然と姿を消した謎に迫るという物語でした。

エステリアには「イースの本」という魔法に守られて、何百年も朽ち果てることのない不思議な書物が6冊存在し、それぞれにはイースがなぜ栄華を誇り、なぜ滅び去ったかが書かれているという。占い師のサラからその事実を聞いたアドルは、イースの本を揃えるべく、エステリアを駆けるのでした。

しかし、そこで待ち受けていたのは、新たな謎!

天に届かんばかりの巨大な塔。途方のない力で山がえぐられてできた巨大なクレーター。神殿の地下に幽閉されている少女。巨大な魔物。さまざまな事件の影に必ず出てくる「銀」。暗躍する黒いフードの男。

旅をつづけているうちに、イースには6人の神官と2人の女神が存在し、神官の子孫は今もエステリアの地で生き続けていることが判明。占い師のサラも、神官トバの子孫だった。そして、すべての元凶は、神官ファクトの子孫でありながら、魔に魂を売った裏切り者のダルク=ファクト!

天を衝く巨大なダームの塔の最上階。大地が崩れ去るほどの激闘の末、アドルはダルク=ファクトを討ち取り、イースの本をすべて集めることに成功するのです。

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朝日が昇ろうとしていた。 空は次第に明るみを増し、
塔の輪郭が浮かび上がってくる。
解き放たれたように鳥が鳴き始め、
魔物の姿は潮の引くがごとく消えていく。
アドルの心は、旅を終えた充実感に満ちていた。
すべてがやすらぎに満ちていた。
その中で彼は、長きに続いたイースの歴史を眺めている。
本に書かれてあったことが次々と現れては消えていき、
やがて女神の姿が浮かんできた。
その顔はおぼろげだったが、アドルは不思議と
その二人を良く知っているような気がした。
アドルが静まりかえった地上を見おろすと、
そこにはジェバの家がひっそりとたっていた。
フィーナの記憶は、もう戻ったろうか?
地上に帰ったら、真っ先に彼女に
これまでの出来事を話してやろうと思った。
どこからともなく眩い光があふれ出し、アドルを包んでいく。
まるで、その光は、彼を祝福しているかのようであった。

同時刻、別の場所。

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「ダームの塔が沈黙しました。いかがいたしましょうか?」
「おもしろい。アドルとやらがどこまでやれるか。見てみるとしようぞ」
「承知いたしました」

そう、何も終わっていなかったのです。
むしろ、ダルク=ファクトを倒したことで、何かが大きく動き始める。
すべての謎を解き明かすために。
すべての戦いに決着をつけるために。
アドルは、天空へと旅立つのでした――!

フィーナ 疾風怒涛の連戦・激戦・魔法戦!
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『イースII』は、700年にわたって天空を漂う方舟となっていた「イース」を舞台に、魔物の元凶がいるというサルモンの神殿に向かうまでの前半、サルモンの神殿の最深部へ向かっていく後半、大きく分けると二部構成になっています。このあたりは、前作『イース』の、エステリア国内を探索する前半、ダームの塔での後半という構成に似てなくもありません。

しかし一番の変化は、スピードです。

本作は、前作の2倍近くのキャラクター移動のスピード化が図られており、それによってゲームテンポも前作より増しています。シンクロ率400%を目指すレトロゲーマーとしては、ここの部分を、ゲーム的にはレベル1に戻ってしまったけど、エステリアでの戦いを経て強くなったアドルの力強い戦いを表している、と妄想してワクテカするべきでしょう。

楽曲も、前作以上にアップテンポなものが多く、「オープニング曲かよ!」と思わせるほど、前作の荘厳な印象を与えた『FEENA』や『OPEN YOUR HEART』とまったく異なる『TO MAKE THE END OF BATTLE』(上の動画の曲)からはじまり、ムーンドリア廃墟、ラスティーニの廃墟、ノルティアの氷壁、溶岩地帯バーンドブレス、サルモンの神殿と、アドルは戦いながら駆け抜けていく疾風怒濤の展開がつづきます。

まさに、最初からクライマックスのフルスロットル!
タイトルにある「The Final Chapter(最終章)」は伊達ではありません。

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『廃墟ムーンドリア』。
その昔はイースの神官区でもあった。700年前の戦いでもっとも激しい戦いがあった場所。今では廃墟となってしまい、魔物が巣食っている。ランスの村の住人も滅多に近寄らない。しかし、村長はここに向かう伝承に残る二人の女神そっくりな少女たちを見たという。何かが隠されているのだろうか…?

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『聖域トール』。
ここにはイースの書を書いた六人の神官たちの霊廟がある。言い伝えのとおりならば、神官たちはイースの書が戻ってくることを望んでいる。前作で
集めた6冊、ハダルの章、メサの章、トバの章、ダビーの章、ジェンマの章、ファクトの章のすべてを返すことができれば、何かしらの教示を得られるはずだ。

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『ラスティーニの廃坑』。
アドル最初の難関。スピードアップした剣撃での戦いは、通路が狭く、半キャラずらしの難しいこの地形では、機動性を活かした存分な戦いができない。イースは魔の本拠地。魔物のチカラは先へ進めば進むほど強力になっていく。互角に戦っていくには、魔に対抗するチカラが必要だ!

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『ジラの家の地下』。
ランスの村として安全とは限らない。魔物たちの生息地はイース中に広がっているのだ。ふとしたことからカベが崩れて、魔物の大群が噴出してくる事だってある。

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『豪腕の狂騒獣“ベラガンダー”』。
幹部クラスの魔物には、剣での攻撃はまったく通用しない。では、どうやって戦えばいいのか?その時、アドルの脳裏にダルク=ファクトの姿が思い浮かぶ。彼が使っていたのは、『魔法』!かつて、イースを反映させ、そして崩壊に導いた禁断のチカラは、魔を生み出すと同時に魔を滅することもできた。ここまでの道のりの中でアドルはすでに魔法の力を授かっていた。あとは、コントロールするだけだ!

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『ノルティアの氷壁』。
サルモンの神殿を守るために魔法で作られた二重の堀のひとつ。戦いの激しさは増していく。

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『溶岩地帯バーンドブレス』。
サルモンの神殿を守るために魔法で作られた二重の堀のひとつ。ここを抜けることができれば、ついにサルモンの神殿だ。

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『サルモンの神殿』。
かつて栄華を誇った理想郷イースの象徴。その広大な建造物はいまでは魔物たちに支配され、巨大で難攻不落な要塞と化していた。中央部、東部、西部、最奥部と別れている敷地内を駆け抜けて、すべての元凶が眠る中枢を目指さなければならない。

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『サルモンの神殿 地下水路』。
神殿の中枢へ繋がる唯一の通り道。魔物の人間狩りから逃げてきた人々、暗躍する暗黒魔導師ダレスの計略など、物語はさまざまな人々を巻き込んで、クライマックスに向けて加速してゆく。

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『鐘つき堂』。
サダの婚約者であるマリアを救うために、鐘が4つなる前に鐘つき堂にたどり着かなければならない。ダレス、これ以上、お前たちの好き勝手にはさせない!

前作『イース』は、もともと同じファルコム作品である『太陽の神殿』のフィールド移動の部分をベースに、「ここで敵と戦わせたりしたら面白くない?」という発想からスタートした企画だと聞きます。その構想は、「FIRST STEP TOWARDS WARS」という名曲が加わって、『イース』というゲームの根幹を作ったといえるでしょう。

『イースII』には、エステリアの草原のようなフィールドはありません。本作は続編として、さらに一歩先へ。ハイスピード化と魔法を使ったバリエーションアップによって、「冒険」から「戦い」へゲームの展開をシフトさせました。廃坑は両作品に出てきますが、『I』が自分のまわりの視界しか見えずに手探りで進んでいくのに対して、『II』は視界良好で坑道を選択しひたすら進んでいく構成からも違いは明らかです。

続編といえども、「前作とマップとストーリーが変わっただけ」ではなく、より新しいアクションRPGの楽しさを提供してくれているところを私は高く評価しています。「イースIIのスピード感もいいけど、イースIの冒険している感じもいいんだよなぁ」というところが、この作品が長年愛されているところなのかもしれません。

フィーナ フィーナか? リリアか?
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さて、そんな本作を語る上で欠かせないのが、「お前はフィーナ派か? リリア派か?」という問題でしょう。ゲーム内に登場するヒロインの話です。

フィーナ

フィーナは、イースIのヒロインです。
エステリアにあるサルモンの神殿の奥に幽閉されていた謎の美少女。どうやら記憶を失っているようで、自分が何者なのか、なぜ神殿に捕まっていたのかは不明。Iにおいてその存在の謎が解き明かされることはありませんでした。しかし、エンディングでのアドルのセリフから、いつの間にかアドルにとって、かなり大きな存在になっていたことがうかがえます。

リリア

リリアは、イースIIのヒロインです。
イースの書のチカラで天空のイースに飛ばされたアドルを助けてくれたのが彼女。実は重い病にかかっており、余命わずか。しかし、アドルがロダの実とセルセタの花を手に入れたことで薬ができ、命が救われることになりました。アドルのことを一途に思っているようで、アドルのために神殿奥まで行くなど、かなりの行動派ヒロインです。

特に、リリアの人気はすさまじく、「ミス・リリア・コンテスト」なるものが開催されました。新宿のルミネのイベントスペースでその優勝者の発表会が行われ、そこで杉本理恵さんが優勝し、ファルコムレーベルからアイドルデビューしたのですが、実はワタクシ、その場にいました。えへへ。
話がズレました。

イースという作品は、「ヒロインが可愛い」ということでも有名な作品であり、必ず最低限一人はヒロインがいるというのはシリーズの伝統になりました。IとIIに関しても、ゲームを盛り上げる起爆剤として設定されたヒロインだと思われますが、IとIIに関しては少なくても二人の存在には意味があります。

イースシリーズのヒロインはフィーナです。そして、イースIとイースIIは、「相思相愛だったアドルとフィーナの悲恋の物語」なのです。

フィーナは、実はイースの女神でした。そして、イースとエステリアに700年におよぶ災いを起こすキッカケを作った本人ともいえます。ずっと人々を導く存在であった彼女でしたが、身分を隠して人々の暮らしを見たとき、彼女は悟るのです。もう人間たちには女神という存在が必要ないことを。正体を明かした以上、もう人間として暮らしていくことはできない。しかし、自分が望んだ未来を創ったのは、自分が好きになった少年剣士だった。彼女はそれ以上のことを望まず、そして女神としての責任を果たすために天へ還ります。

イースIIのエンディングでは、アドルとフィーナが二人で話し合うシーンがあり、そこで、フィーナは直接的な言葉は使っていませんが、アドルに自分の想いを伝えています。

「あんまり胸がいっぱいで、何から話したらいいのか…。
神殿の地下であなたに助けられたとき、
ジェバの家で楽しい日々を暮したとき、
なんだかすべてが分かったような気がしたの。
自分の知らない世界に素晴らしい人たちが生活しているってこと。
そしてイースがもう過去の国だってことが。
そして何より、あなたに出会えたことが一番うれしかった。
あなたとは、はじめて普通の女の子として
話すことができたような気がしたから…。
レアが待っているの。そろそろ行かなくちゃ…。
アドルさん、時々でいいから思い出してください。
私のような女の子がいたってことを…。」

エンディングのその後は、アドルとフィーナが気になるリリア。そしてアドルがやってきたことに喜ぶリリア。空を見上げて何かを思うアドル。フィーナが石になるビジュアルで締めくくられます。

ポイントは、続編である『ワンダラーズ・フロム・イース』でも、アドルは空を見上げたビジュアルで終わるという点。私はアドル・クリスティンのその後の冒険への活力に、フィーナが大きく影響しているような気がしてならないのです。アドルはフィーナともう一度会うために、会う方法を見つけるために、生涯、各地を冒険しつづけたのではないでしょうか。

『ワンダラーズ・フロム・イース』のメインテーマ曲のタイトルは「翼を持った少年」です。いろいろな解釈ができますが、「フィーナを追い続けるアドル」として考えるとなかなか深い意味が出てきそうであると共に、シリーズの楽しみ方がまた変わってくるのではないかと思います。大好きな作品です。

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