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時代が変わった。ゼビウスが変えた。
※10月18日文章追記
こんにちわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、ナムコが1983年にアーケード用シューティングゲームとしてリリースした『ゼビウス』です。今となっては、オールドシューティングのひとつ、という印象のこの作品ですが、アーケードゲーム史において、「ゼビウス」の名が刻まれないということはあり得ないほど、ゲーム史に多大な影響を与えた名作中の名作。まさに、レトロゲームの至宝。ナムコが自社ビルを建てられたのも、ファミコンがコンシューマゲーム機戦国時代を勝ち抜けたのも、「『ゼビウス』があったから」と言われているほどです。
なぜ、『ゼビウス』はそこまで神格化されているのか。
当時のゼビウスを知らない今の人が見ても、本作にそこまでの魅力を見出すことはおそらくできないでしょう。正直な話、現代の視点から見た『ゼビウス』は「地上物破壊という概念と、画面スクロールを本格使用した、よくできた縦スクロールシューティング」でしかありません。
ただし、すべてが新しくカッコ良かった!
そう、すべてが新しくカッコ良かっただけなのです。あの当時。
そのかわり、そのエッジの鋭さはとんでもありませんでした。
それこそ、ビデオゲーム史を、「ゼビウス前」、「ゼビウス後」と、二つにぶった斬ったほどですから。
今の人には全く分からないと思いますが、かなり類似ゲーム『アルフォス』の存在、完全な違法コピー品である『ゼビオス』『バトルズ』、PC6001版『タイニーゼビウス』、その他当時存在した多くのPC規格に、本作は移植されました。それほど『ゼビウス』は人々が喉から手が出るほどプレイしたがったゲームだったのです。そんな私も、家でゼビウスができるなら人を殺すかもしれない自分に、恐れおののいていた時期がありました。orz
『ゼビウス』といえば、まず耳に入ってくるのは、ピロリロピロリロ~♪のフレーズおなじみの曲「Xevious」なのですが、この独特の浮遊感があり、これぞ電子音シーケンスという構成によるミュージックが、実にテクノでした。しかも、5分経っても、10分経っても、ずっとおんなじフレーズ!浮遊要塞アンドアジェネシスが出てきても、ずっと同じ曲調!これだけでもうフツウじゃない。
ブラスターやザッパーの発射音も、そしてゼビウス軍の爆音も、すべてがこのBGMを彩るサウンドであり、自分のプレイがゲームセンターに響くオリジナルチューンを作り出していくかのような、オレのプレイをリスペクトしろ的な?、20年後を先取りした音楽ゲームのようなフューチャーさがヤヴァかったのです。
自機であるソルバルウ、浮遊要塞アンドアジェネシス、トーロイド、タルケン、テラジ、バキュラ、といったメカデザインも素晴らしかった!大枠のデザインは遠藤雅信氏によるものらしいですが、それをより工業デザイン的に支えたのが、ゲームより先に生まれたネズミ型ロボットマッピーや、近未来の宇宙船をコンセプトにしたゲームスペース・ミライヤをデザインされた遠山茂樹氏。ゼビウスのインストラクションカードに描かれたソルバルウの背面を描かれたのも同氏だったはず。
とにかく、ゲームで見たことがない本格的なデザインに、影をつけたことで立体感がつけられ、しかもそれらが、本当にそれっぽく動く!ひるがえる!さらにさらに、Mr.ドットマンとしておなじみの小野浩氏作で知られるナスカの地上絵。何もない特定位置の地上にザッパーを撃ち込むとニョキニョキっと生えてくる謎の建造物ソル!
もっと先には、すごいものが出てきそう。
何があるかわからない。
『スペースインベーター』で開花した日本のビデオゲームムーブメントは、1983年当時、ある意味、「ビデオゲームとはこういうものだ」という固定観念がゲームプレーヤーのほうに出来上がっていたのかもしれません。しかし、見たことがないメカデザイン、古代遺跡や神話にまつわるオカルト的要素、先進的なテクノサウンドなど、さまざまな情報が織りなす多重奏にみんな萌えたのです。
なんのことはありません。『ゼビウス』の衝撃は、いわば、“80年代版の新世紀エヴァンゲリオン”。それだけの破壊力がありました。
そして、まだSFが知的オタクカルチャーのスタンダードだったこの時代だからこそ、遠藤雅信氏による綿密につくられたゼビウスの世界観「ファードラウト・サーガ」は、とてもしびれるものがあったのです。
知っている人は知っている。知らない人は知らない真実ですが、『ゼビウス』には膨大な裏設定があります。これは、『伝説のオウガバトル』、『タクティクス・オウガ』における「全8章構成のオウガバトルサーガ」のようなものとお考えください。
とはいえ、先に設定ありきで進められたプロジェクトではなく、先に作られていた試作用アーケードゲームをベースに、遠藤雅信氏が学生時代に書いていた小説をベースにしてゲーム開発と同時に創られたものだそうです。これが本当に膨大で、後に一冊の小説(小説版ゼビウス ファードラウト・サーガ)になるほどの量なのですが、その大枠のストーリーをご紹介します。
時は、西暦2000年。
地球の平和は、冷徹なる外界の侵略者の先制攻撃によって終わりを告げた。侵略者の名は、ゼビウス軍。彼方の外宇宙にあ
る第四惑星ゼビウスより飛来し、超知性体ガンプによって統治された軍隊だった。その目的は不明。地球よりもはるかに進んだテクノロジーを駆使したゼビウス軍に対して、多国籍から構成される地球軍は応戦するものの、核攻撃をもってしても彼らの装甲を破壊することはできず、わずか数週間で南アフリカは制圧されてしまう。
しかし、地球にも希望があった。惑星ゼビウスよりあらわれたムー・クラトーとアンドロイドイヴが救いの手を差し伸べてきたのだ。彼らはゼビウス軍の侵略の目的を語る。
紀元前12000年前。今の地球にある前の文明によって、バイオコンピュータ「ガンプ」は創られた。もともと人類への奉仕を目的としたものだったが、長い年月にわたって人工知能として思考を重ねてきたガンプにはいつしか自我が芽生えるように。そして、人類と同じようにドークト(ESP)を有していた。そしてガンプは、「自らが人類を管理下に置くことによってのみ、人類の恒久的な繁栄はもたらされる」と考えるようになり、そのための恐るべき計画を実行に移した。
その計画とは、気象観測によって予測された氷河期を利用し、「構造的に成長できなくなった自身を、ドークトを利用して再統合および能力の拡大をはかること」、「人類を自らに従う者とそうでない者とでふるいにかけ、地球に残った不適合者は氷河期を利用して排除する」というもの。そのために、ガンプは自分のレプリカを6体作り、6つの惑星にガンプレプリカと適応者である人類を移住させる。そして、不適応者である人類は地球の氷河期で全滅させようと考える。そして、14000年後。地球を中心にして、移住先の6つの惑星は惑星交錯(ファードラウト)を起こすとき、6つの惑星で人類のドークトを支配した6つのガンプレプリカは、地球に膨大なドークトを流入させ、ガンプはより高度な存在へと自身を進化させるつもりなのだ。
しかし、地球に残された不適応者たちはガンプに対して反乱を起こし、オリジナルガンプの破壊に成功する。しかし、6つの惑星に散ったガンプレプリカはこの行動を許さず、地球に対してドークトによる根絶攻撃を展開。地球文明は消滅し、人類は死滅したかに思われた。
そして時は流れる。
約束の時、14000年を迎える直前。ガンプの計画にイレギュラーが生じた。再生の地である地球に、不適応者の子孫たちが蔓延り、新たな文明を築いていたのだ。
つづく
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