【傑作発掘】 『フェリオス』─―拉致監禁された妹が“ワキ見せ”でオレを挑発するはずがない!

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ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。

今回発掘した作品は、ナムコが1989年にリリースした、アーケード用シューティングゲーム『フェリオス』です。知らない人はまったく知らない、知っている人は“超”がつくほど有名という本作。その大きな理由は、ヒロインであるアルテミス(冒頭の女の子)にあります。

それでは今回も、歴史に埋もれしレトロゲームの魅力にふれる旅に出かけましょう。

アイコン 『フェリオス』ってどんなゲーム?
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ひと言でいうならば、ギリシャ神話をモチーフにした、ヒロインのアルテミスのデカいグラフィックが出たり可愛い声で嬌声をあげたりするのでゲーセンでプレイするのがちょっと恥ずかしい、縦スクロールシューティングゲームです。

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うん、我ながら恐ろしいほど的確にこのゲームのことを伝えており、これ以上の解説はいらなんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうもいきません。

たしかに、本作におけるヒロイン・アルテミス様の破壊力は圧倒的です。東亜プラン風に答えるなら「達人ボム並みの破壊力」といえるでしょう。

ステージクリア後にほぼ画面いっぱいにグラフイックが映し出され、かわいい声優さんの声でしゃべくり回すわけですから。

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羞恥プレイ。

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火責め。

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電気ウナギ。

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天井のシミを数えながら妄想。

囚われのヒロイン・アルテミスは、恋人であるアポロン(プレーヤーが操るペガサスの騎士)にステージ内の敵構成について助言を与えてサポートするのですが、それが敵であるデュポンの怒りを買い、毎回、ややハレンチっぽい拷問を受けてしまうのです。

プレイをしていて、こんなざわつく気持ちになったのは、どこかのゲームメーカーが作った、仲間の女性工作員がステージ間のデモで服を脱がされていく『ローリング・サンダー』以来です。あっ、あれもおんなじナムコでしたね(てへぺろ)。

そんなアルテミス様は、今は亡きゲーメストの『ギャルズアイランド』の人気キャラ投票でトップ10入りを果たすほどのランカーですから、当時のゲーセン野郎たちに与えた衝撃がいかに大きかったか、お分かりいただけるでしょうか。

上記の点から、本作は「ギャルゲー要素」「凌辱ゲー要素」ばかりにスポットが当てられることが多く、ゲームブログでも「ネタ」扱いされることが多いです。しかし、私は本作の魅力はそこではなく、“シューティンクゲームとして新しい境地を開くことに挑戦した”という点を評価したいと思っています。

では、『フェリオス』はシューティングゲームの何を変えたのでしょうか?

アイコン シューティングはよりドラマティックに!

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『フェリオス』は、シューティングゲームのステージ展開をドラマティックなものにしました。本作は、ナムコのアーケード基板システムIIを用いたもので、この基板の大きな特徴は、ビデオボードに設けられた「拡大」「縮小」「回転」機能。この点が“肝”といえます。

それまでの縦スクロールシューティングは、ただ画面上部にむかって背景がスクロールし、敵が編隊を組んで襲いかかってくる…というものでした。『ゼビウス』も『ドラゴンスピリット』も同様です。

しかし、本作は違います。

システムIIの「拡大」「縮小」「回転」機能を活かして、大空から地上へ急降下したり、特定エリアを縦横無尽にまわったり、地上から再び雲の上まで飛び交ったり…。まさに、大空で戦っていることを意識したシューティングになっているのです。さすがは、『スカイキッド』において、わずかなハード機能でプロペラ機の空中戦を表現したナムコの血脈といったところでしょうか。

ステージ間の展開に合わせ、本作はBGMも非常に多く作られており、状況に合わせて流れる曲が変わります。そのため、1ステージで6曲も使用されるなんてことも。メインテーマといえるシューティングゲームらしいメロディラインの曲もなく、全体的に控えめな印象を受けますが、これもゲーム内の展開に集中させるための工夫なのです。

そしてもうひとつの特徴は、ステージ間に出てくるアルテミスの助言。ある時は敵の弱点を、ある時はステージ中の現在位置を、ある時は背後から静かに忍び寄るグリフォン騎士の存在を教えてくれるアルテミス。彼女は、愛する恋人アポロンのために、それこそ必死で敵情報を教えてくれるのです。< /p>

結論を言いましょう。
『フェリオス』は「見せるシューティング」です。

シューティングゲームはもともと上手いテクニックをギャラリーに見せるという楽しみ方もあるのですが、本作は“ドラマティックなゲーム展開”を見せることをコンセプトにしています。だからこそ、スタート時に難易度を選べるといった機能があるのでしょう。

この「見せることを重視したゲームデザイン」は、下のステージ1をプレイ動画を見ていただくと明らかです。

残念なことに、

「見せることを重視したシューティングゲーム」としての本作の完成度はそこまで高くなりませんでした。明らかなコンセプトが存在しているにもかかわらず、ステージ後半になると、「拡大」「縮小」「回転」を使ったアイデアが枯渇、もしくは削られたような跡が見られ、逆にこれらの機能を使った演出がオマケ程度の存在感になってしまっているのです。

そんな本作が描こうとしたシューティングゲームの未来は、1994年にタイトーから生み出された『レイフォース』によって一つの到達点を迎えたと孤児的には思っているのですが、まあ、このへんは、一人ひとりの想いがあると思うので言及はしないでおきますね(おっさん読者が噛みついてくるので 笑)。

アイコン 黄金期の末期に生まれた不遇の作品。
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家庭用ゲームの台頭により「ゲーセンでしか遊べないゲームを!」という流れの中、『フェリオス』はゲームセンターで生まれました。ファミコンでは移植不可能、「拡大」「縮小」「回転」機能を備えたスーパーファミコンに移植されることもなし。CD-rom2を備えたPCエンジンとは「ギャルがしゃべる」という点で相性が良かったはずですが、ナムコはCD-rom2ソフト開発に消極的であり、結果として唯一移植されたハードはメガドライブでした。

特別、大きなグラフィック表示に強みがあるわけでもなく、サンプリング音声はすべてダミ声で再生される、拡大・縮小・回転機能があるわけでもない。そんなメガドライブ版の『フェリオス』は、ゲーム単体としてはいい出来のがんばっているシューティングだったのですが、アーケード版で目指したものを捨てた別物といえるものでした。でも、アルテミス様のドット絵と脱衣されていく展開は個人的に評価したいです。

時は流れ、プレイステーションでナムコの往年の名作が復活する『ナムコミュージアム』シリーズが展開されるわけですが、ワクワクするものの同じシステムII基板作品で『アサルト』や『ワルキューレの伝説』が収録されたにも関わらず、『フェリオス』は無視されつづけることに。

「女の子の服の上でヴォルフィードをやって服を脱がせていく『ダンシング・アイズ』並みに、ナムコ社内で黒歴史扱いされているのではないか?」、「グラディウスのオプションとR-typeの溜めショットをパクったことで訴訟を起こされるのをナムコは恐れているのではないか?」など、悶々とした日々が続いたのです。

業を煮やした筆者は、ついに基板購入を決意するのでした。

そんな本作ですが、今ではWiiのバーチャルコンソールで気軽に遊べるように。いやあ、時代はどんどんレトロゲームユーザーにやさしくなっていくと感じる今日この頃です。ひと目を気にせず、じっくりプレイするためにも、ヘッドホンプレイをオススメします(笑)。

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