8bitの宇宙の果てで、ボクたちはGOFERの奇跡に出会った。
ファミコン版の『グラディウス』の発売はうれしかった。うれしかったが、なーんか違った。発売からしばらく経つと「こんなのグラディウスじゃねえ!」と思うようになり、そんな僕たちの気持ちが市場に伝わったかのように、ファミコン版グラディウスはワゴンの常連になり、パールとかロヂャースで安値で叩き売られることになってしまった。で、今度はグラディウスIIだという。期待したい。期待してもいいのか。そんな不安に見事に応えた、コナミの職人技が光る逸品、それがファミコン版グラディウスIIなのです。
さあ、今宵も歴史に埋もれしレトロゲームの魅力について語っていこう。
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回紹介する作品は、ファミコン版『グラディウスII』。1988年の12月にコナミより発売されたシューティングゲームであり、グラディウスシリーズの3作目です。
本作は、アーケード版『グラディウスII GOFERの野望』の移植作ではありますが、正直なところ移植度合いは高くありません。当然です。当時、最先端の業務用基板のフルスペックを使ったアーケード版をファミコンで再現するのは不可能なのですから。しかし、それだけの理由でこの作品を切り捨ててしまうのは愚行以外の何物でもないのです。
なぜなら、このFC版『グラディウスII』は職人集団コナミの匠たちが数々の不可能に挑戦した渾身の力作、FC版『グラディウス』のオリジナル続編であるからです!
さて、FC版『グラディウスII』を評価する上で避けては通れないのが、原作ともいえるアーケード版『グラディウスII GOFERの野望』です。この作品はすごかった。本当にすごかった。
はじまりは、88年春のAOUアミューズメントエキスポ。その会場には、当初予定されていなかった謎のシューティングゲームが展示されていた。編隊をくんで飛来する敵機、漆黒の宇宙に輝くパワーカプセル、青くどこまでも伸びるレーザー、そして見覚えのある愛機ビックバイパー!誰もがひと目で「グラディウスの続編」だと分かった。
しかし次の瞬間、会場にいたすべての人が息を飲んだ。画面いっぱいに映し出される人工太陽!プロミネンスの代わりに噴き出す火竜!全身が炎でできた不死鳥のボス!無機質な意匠と有機的な生物にあふれるエイリアンの巣!触れ合う音が響き渡る巨大なクリスタル!悪意を持って襲いかかるモアイの群れ!立ちはだかる強敵ビッグコアmk-II!とっさの判断が生死をわける高速迷路!
それは見たことがないゲームの宇宙、いやグラディウスの新しい世界だった。
『グラディウスII GOFERの野望』を讃える記事はネット上にあふれている。しかし、私はそのどれとも異なる意見としてこれを提言しよう。「グラディウスIIの真の魅力は、誰もが心を掴まれたあの圧倒感にある」、と…!
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まず、最初にお断りしておきたいことがある。FC版『グラディウス』は出荷本数が多すぎたために、発売後、急激な値崩れを起こしたこと、名作と名高いアーケード版に比べると劣っている箇所がいろいろ見受けられたことなど、弱点はいろいろありました。だが、ゲームとしては実に丁寧に作られた作品です。
そのFC版『グラディウス』をあらゆる面で圧倒したのが、FC版『グラディウスII』なのです。
いくつか例を挙げてみよう。
・オプション装備数2個が限界 ⇒ オプション装備数4個に
・レーザーが短射 ⇒ レーザーが長射に
・パワーアップ時無音 ⇒ 内臓音源DPCMを利用してしゃべるように
・縦画面スクロールなし ⇒ 縦画面スクロールを可能に
・ボスは基本ビッグコア ⇒ 各ステージごとに巨大生物兵器・巡洋艦クラスを配備
そんな8bit機の限界を超えるグラディウスIIの世界を、とくとご覧ください。
最初に待ち受けるのは要塞兵器「人工太陽」! 震えるぞハート!バーニングするほどヒート!
かつて高い文明を誇ったと思われる謎の遺跡…。しかし今はエイリアンの巣だ!
敵の猛攻を受ける逆火山ステージを抜けると、神秘の輝きをはなつクリスタルステージが続く。
お前はいままで破壊したモアイの数を覚えているか!? オールドストーンリベンジ!
大人になってもグラIIをクリアできないほうが怖いと思わないの!? 「姉ちゃん、明日って今さ!」
無機質な要塞の奥にぜん動する有機的な通路を発見! GOFER、地獄から戻ってきたぞ!
ステージ1のボス、灼熱の守護神・フェニックス! ステージ2のボス、監視者・ビッグアイ!
ステージ2のボス、スカルブラスター・ギーガ! ステージ3のボス、迷彩戦艦クリスタルコア!
第一の刺客、巡洋艦ビッグコア(Type-G)! 第二の刺客、生物兵器ゴーレム!
第三の刺客、テトラン! 第四の刺客、サラマンダ戦役の敗北者ゼロスフォース!
要塞内部に待ち受けるのは、「デモス」と「クラブ」! どちらも強敵であることは間違いない!
ついに特殊部隊GOFERの司令官と対峙する時…!
名作はいつまで経っても色あせない。ファミコンというハードで『グラディウスII GOFERの野望』の新しいサーガを作り出そうとした当時のコナミに、私はスタンディングオベーションを送ります。自宅の書斎の前でひとりバカみたいですが。製品リリース時のキャッチコピーは 「ファンタジー、創世」。その言葉にすべてがこめられているのではないだろうか。