【迷作発掘】 『いっき』──百姓“一揆”ではない!“一騎”当千だ!


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いっき無双

オラは見ただ!「権べ」はただ者じゃねえぞ!

みうらじゅん氏によって「ひどいゲームだけどどこか憎めない愛すべきゲーム」という意味で「クソゲー」の称号を貰うにいたった本作。その後、後世には「クソゲー」という印象だけが伝わってしまっている感がある。はたして本当に本作はダメなのか?発掘してあらためてプレイしてみたが、「うーむ。。。」な感じ。やっぱりクソゲーだった。しかし、人々に愛されてやまない“魅力”があるのも事実。今回は、そんな『いっき』のめくるめく面妖な世界にご案内しましょう。

ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、サン電子が1985年11月に発売したファミコン用ソフト第三弾『いっき』。『スーパーアラビアン』、『ルート16ターボ』、そして本作とつづいたサン電子は一部の悪童から「サン電子のゲームは全部面白くねぇ。クソゲーのジェットストリームアタックじゃあ!」などと言われていました。

しかし、それも実は悪夢の始まりでしかなく、その後、『アトランチスの謎』、『東海道五十三次』がつづき、ちょっとアレな負の連鎖は『マドゥーラの翼』が発売されるまで続くことになります。そんなサン電子ですが、決してクソゲー量産メーカーではなく、ノウハウを掴んでからは、『リップルアイランド』、『超惑星戦記メタファイト』、『ナゾラーランド』など名作傑作を生み出していくのです。

そんな“眠れる獅子”であるサン電子が送り出した『いっき』とはどんなゲームだったのか、解説していきたいと思います。

タイトル

いっきジャンル/おもしろおかしい時代劇ゲーム、なにこれ?
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本作は、年々重い年貢を取り立ててくる悪代官の悪行に、ついに堪忍袋の緒が切れた農民たちが「奴ら、許せねェ!」と立ち上がるというストーリーです。

魂斗羅
※イメージです。

江戸時代に起きていた「百姓一揆」をテーマにしたゲームというのはよく分かるのですが、立ち上がる農民が1Pの「権べ」と2Pの「田吾」のたった2人だけ。ゲーム内容は、ステージに散らばっている小判をこすねること。食べ物を食べるとスピードアップ。ボーナスステージはオニギリGET。腰元(美人という設定)に抱きつかれると10秒ほど抱擁のため動けなくなる。見事なまでに、食い物オンナという人間♂の三大欲求を貫く設定に、驚きを禁じえません。

3面

しかも、コツが分かっていないと瞬殺されるゲームバランス。最終面で当初の目的であった悪代官と戦わない。ゲームジャンルが「おもしろおかしい時代劇ゲーム」と来たものですから(まあ、本当にその通りなのですが)、「なんじゃ、このゲーム!」とお子様たちが放り出すのも無理のない話です。

カセット

いっきなんともいえない本作の持ち味がたまらない!
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そんな本作ですが、何度も何度もプレイをしていると、なんだかプレイせずにはいられなくなってくる脱法ドラッグのような魅力があります。

その大きな要因のひとつが、BGM。小井洋明氏による「メインテーマ」はさりげなく名曲で、ヘビーメタルアレンジもよく合うメロディライン。深夜に仲のいい友人とビールを開けながらプレイをすると、いつの間にか2人でメロディを口ずさみ、大笑いしてしまう…。そんな不思議なチカラがあります。

ゲーム全体に漂うシュール・モラトリアムも外せません。上記に書いたツッコミどころ満載なポイントは言うまでもなく、主人公2人のドット絵、ステージ構成、ボーナスステージの設定、お邪魔キャラの登場、赤い忍者は普通の忍者より3倍早いなど。すべて狙っているところを絶妙に外しており、それがかえって愛おしさに変わってくるというか。

ボーナス

これは、本作を20回くらいコンティニューしてプレイしてみると分かる感覚かもしれません。ゲームの面白さは、ゲームバランスだけじゃない。ゲームが創り出している世界観・空気も含めて、ゲームの面白さだ。そんなことを再確認させてくれます。

いっき主人公・権べと田吾とは、一体何者なのか?
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本作の主人公である権べと田吾ですが、冷静に考えてみると普通の農耕生活をしていたら絶対に身につかないような恐るべき戦闘力を有しています。

本作の攻撃方法は「カマ投げ」。このカマは、Bポタンを押せばどの方向を向いていても、敵に向かって飛んでいきます。つまり、権べと田吾の2人は、周囲の空間状況を把握し、どの方向にもカマを投げられるのです。さらに、カマを喰らった忍者は一撃で絶命。確実に急所を狙っている驚異の命中率

1面

同様のゲームデザインである、カプコンの『戦場の狼』、SNKの『怒』と主人公である手練の兵士たちよりも有能である点も見逃せません。さらに、サン電子の次回作である『アトランチスの謎』では、主人公であるトレジャハンター・ウィンが探していた師匠こそが「権べ」であることが発覚します(マジだぜ)。

師匠

ますます謎が深まる『いっき』。

本作は基本的に、敵が出てきたらすぐにカマを投げるという攻略スタイル。殺(や)られる前に殺(や)る。まさに、早撃ち・早投げのデッド・オア・アライブ!ようこそ、男の世界へ!農民にしか見えない凄腕のカマ使いが、たった1人(もしくは2人)で殺しのプロである忍び軍団を抱える悪代官に立ち向かう。

「ああ、そうか。『いっき』って一騎当千の“いっき”で無双ゲームの走りなんだ」
なーんて考えると、また違った面白さが味わえるかもしれませんよ(笑)。

サンソフト公式ホームページ
バーチャルコンソール「いっき」ホームページ
いっき おんらいん ホームページ

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