その昔、太平の世をいいことに、全国各地の大名たちは庶民の暮らしを顧みず、やりたい放題の毎日。己の私腹を肥やしていました。そんな中、一人の義賊が立ち上がったのです。その名はゴエモン。彼は盗んだ小判を貧しい人たちへ恵みながら、諸国大名をこらしめる旅に出ました。ところが、お上の追手はゴエモンに伸び、警備体制は厳しく、お城に行き着くのは容易ではありません。それでもゴエモンは先へ先へと進みます。はてさて、この物語、どうなりますことやら。がんばれゴエモン!
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を紐解いてみよう――。
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、コナミが1986年7月に発売したファミコン用アクションゲーム『がんばれゴエモン からくり道中』。本日まで続くゴエモンシリーズの開祖というべき作品です。
知名度の高い本作ですが、実は前身(?)というべき作品があります。それが、アーケード(ゲームセンター)でリリースされた『Mr.五右衛門』という横スクロールアクションゲームです。こちらは当時のコナミアーケード作品にしては珍しく難易度が抑え目、1ステージも短く、手軽に遊べる作品でした。
動画を見ていただけると分かると思いますが、 本作と通じる要素があふれています。こちらの稼働時期は1986年5月と少し早く、開発時期はかぶっていたと思われるので、アーケード用と家庭用でもともとのコンセプトを共有しながら別々に作られていたのかもしれませんね。
本作は、トップビューでありながら、横スクロールのステージ制のアクションゲームです。クリア条件は、各ステージ内にある「通行手形」を3つ、制限時間内に集めて、ステージのどこかにある関所にたどり着くこと。
ライフゲージ制が用いられており、敵の攻撃や敵と接触しても複数回は持ちこたえることができます。また、お金の概念があり、ステージ内のお店でアイテムを購入したり、食べ物屋や宿屋で体力の回復も可能です。
アイテムは多種多様あります。「三度笠」はトリやカラスなどが落としてくるフンのダメージを防ぎ、「鎧」は敵が撃ってくる飛び道具を防ぐ。「お守り」は捕まると強制的にステージ入口に戻されるカゴ屋から身を守ってくれ、「ロウソク」は一定時間、地下への入口を教えてくれる…といった具合です。アイテムがなくともテクニック次第でクリアはできるのですが、あるとクリアが楽になります。
ステージは、町、村、山、海、田、屋敷、石垣、城内と多彩で、1つの国につき13ステージ。8周するとクリアになるので全104ステージあることになりますね。ウヘェ。さすがは脅威(当時は)の2メガバイトの大容量。
さて、そんな本作のキモは「いかに効率よく、制限時間内に通行手形を3つそろえるか」というところです。
つまり、アクションゲームではあるものの、敵を倒すことよりも、通行手形を見つけることに重きが置かれているゲームデザインであり、大きな区分では「探索型アクションゲーム」といえそうです。
実は、アングラな世界観ではないのか?
本作において注目すべきは、主人公が「政府から追われているものの、庶民からの人気は絶大」というダークヒーローである点です。関所の実力行使での突破は無理なため、正攻法以外の方法で通行手形を入手するというところが、実にドロボウが主人公のゲームらしいですね。
入手の方法も、「迷路屋敷に置いてある」、「隠し地下通路に置いてある」、「店頭で売られている」というものばかり。「なんでやねん!」とツッコミを入れず、ここは大人らしく、影ながらゴエモンを支持している支援者(たち)がゴエモンに救いの手を差し伸べていると考えるべきでしょう。
そう、がんばっているのはゴエモンは1人ではないのです。みんなみんな頑張っているんだ、生きているんだ、友達なのだ。
「表だって助けることはできないけど、アタシたちゃ、アンタの味方だよ!」と言ってくれるような人たちのさまざまな助け(からくり)を駆使して行なう悪大名成敗の旅。そんな風に考えると、ステージ内でヒントをくれる人たちの見方も変わり、ダークヒーローエッセンスが加わって、本作は3割くらい面白くなります。
とはいえ、天下の往来に地下通路を作り、偽造手形が白昼堂々と売られているって、8ビットでは表現されていませんが、本当はジンバブエ並に相当治安が悪い世界なのかもしれませんネ。
=注意=
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