【珍品発掘】 『シュビビンマン零』――購入する価値は零(ゼロ)ではない。

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復刻されたレア商品をレビューしてみた。

『改造町人シュビビンマン零』は、もともと任天堂スーパーファミコンのサテラビューという通信サービスで限定配信されていたアクションゲーム。サテラビューで受信したユニットを持っていなければプレイできない幻のソフトとか言われていたのですが、2017年6月にコロンバスサークルさんの手によって復刻。多くの人がプレイできるようになりました。

今回は、そんな最新レトロゲームの魅力を掘り起こしてみたいと思います。

ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、『改造町人シュビビンマン零』。サテラビュー限定配信だったメサイヤの2人同時プレイ可能アクションゲームの復刻版になります。

 結論、買う必要はありません。
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ハッキリ言うと、ゲームについては特筆するところもなく、この作品に6000円以上をかけるくらいだったら、他のことに使ったらいかがですか?と提案します。

商品のプロモーションに対して、発売元であるコロンバスサークルさんもまるで出来を承知しているように、「幻のレトロゲームの復刻」というところしか推していません。レアさが一番おいしいところ。まあ、そういうことなのでしょう。

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 そもそも、改造町人シュビビンマンって何?
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『改造町人シュビビンマン』は、日本コンピュータシステム(メサイヤ)から発売された、PCエンジン用のアクションゲームです。

シュビビンマン
(改造町人シュビビンマンの画面)

<シュビビンマンストーリー>
魚屋の青年「太助」と女子高生「キャピ子」は、町のマッドサイエンティスト豪徳寺博士によって勝手に改造手術を受けさせられ、巨大なパワーを持つ町の守護神シュビビンマンとなった。

「さっさと身体を元に戻せ」という二人に豪徳寺は、「いま、町は邪悪な亜空魔団の侵略を受けようとしており、これに対抗できるのはシュビビンマンしかいない」と語る。

ちょうどその頃、謎の軍団によって町が攻撃されている知らせが入り、博士はその者たちに捕まってしまう。二人は事態が解決したら身体をフツウの人間に戻すことを博士に約束させるため、亜空魔団との戦いに向かうのだった――!

<シュビビンマン2のストーリー>
亜空魔団を撃退し、フツウの人間に戻る手術を控えたある日、今度はライオ帝国の侵略があり、手術に欠かせない豪徳寺博士がさらわれてしまう。

<シュビビンマン3のストーリー>
ライオ帝国を撃退した後の話。町内会の福引でハワイ旅行を当てたキャピ子は、太助と博士をともなってハワイに来ていた。そこに謎の宇宙船(?)があらわれて…。

一作目が発売されたのは1989年、PCエンジンの黎明期。PCエンジンはファミコンに対抗して、色数の多いグラフィックの誰もが楽しめるゲームをリリースしていました。

そんな背景の影響もあり、『シュビビンマン』は、「誰でも手軽に遊べる難易度」「二人同時プレイが可能」というゲーム的な特徴と、「80年代らしいはちゃめちゃ設定ヒーローもの」「うらべ・すぅ先生によるオタク受けしそうなキャラクターデザイン」のかけ合わせによって生まれたゲームでした。

『2』は正統進化形、『3』はCD-rom2対応でキャラクターに声がつきましたが、なんか残念なカタチに。ただし、『超兄貴』につながる敵デザインが見れたり、葉山宏治さんサウンドが聞けます。

個人的にキライな作品じゃありません。

が、

作品の魅力の中に時代感に頼る要素が大きいため、当時を知っているレトロゲーマーしか楽しめない要素が強く、当ブログでは取り上げてきませんでした。

 で、改造町人シュビビンマン零って何?
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メサイヤが『改造町人シュビビンマン』というコンテンツのリブートを行なうために、スーパーファミコン用に制作されていたアクションゲームです。

タイトルに『零』とついていますが、過去作の前日談といったことはなく、ストーリー的なつながりは一切ありません

ゼロからのリブートという意味だったのかもしれませんね。ゲームのコンセプトは同じで、「誰でも手軽に遊べる難易度」&「二人同時プレイが可能」というゲーム的な特徴と、「80年代らしいはちゃめちゃ設定ヒーローもの」。

残念ながら、うらべ先生は開発には関わっておらず、絵柄は過去作に比べると残念なこと(個人的な感想)になっています。さらに復刻版のパッケージイラストはさらに残念なことになっています。

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開発が遅れたためにリリースタイミングが合わず、お蔵入りになりそうだったところをサテラビュー(スーパーファミコンで実験的に行なっていた衛星通信でゲームのDLができたサービス)での限定配信タイトルとして日の目を見ることになりました。

ところが、

サテラビュー自体の利用者が少なく、またサービスも早期終了してしまったこともあり、すぐにプレイ困難なレアゲームとなってしまいました。そして、入手困難という状況が、本作に従来の価値以上の価値をつけてしまったのかもしれません。

 シュビビンマン零の真価はいかに――!?
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難易度の低い、誰でも楽しめるアクションゲームです。

これまでの『シュビビンマン』の二人同時プレイと協力プレイのメリットを活かしつつ、『ガンスターヒーローズ』のように敵に当たってもダメージを受けないことを利用してコマンドとコンボによる多段攻撃を入れられるといった新要素が追加されました。

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もう少し練り込めれば、ガンスターヒーローズ系『シュビビンマン』としてなかなかのポジションを築けたかもしれません。

でも、たぶん、この作品、見切り発車でリリースされている疑いありです。

理由の1つが、「ボス戦」。このゲームシステムを活かすのなら、ボス戦は多段攻撃を食らわしながら少しずつ敵のライフを削っていくカタチになるはず。雑魚で慣れてきた技をボスで披露するパターンになるべきなのですが、そんなことなく、カンタンに倒せてしまいます。

2つ目の理由が、「シューティングステージ」。『シュビビンマン』にはシューティングステージがつきものなのですが、本作にもそれらしい箇所があるものの、あからさまにカットされています。

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グラフィックとか、キャラクターモーションとか、丁寧に作られているだけに、もう少し時間があったら、もう少し予算をかけられていたら、もっといい出来になったのではないか?と期待させられる作品だと個人的には感じました。

 迷子の子猫を拾うような気持にさせるゲーム
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正直、80年代のノリで作った『シュビビンマン』の世界観は90年代でもキツかったと思うんですよ。2010年代ならなおさら…というね。

ただ、出来の悪い子ほどカワイイという側面もあり、本作は制作陣が意図して手を抜いているわけではないので、なおのこと、「分かっている人のところで可愛がってもらいなさい」と言いたくなる作品です。

おそらく再販はありませんので、「俺のレトロゲームを愛する気持ちがホンモノだぜ!」という方は、ぜひご購入いただければ、と思います。

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