※2018年4月18日、一部調整。
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、コナミデジタルエンタテインメントが2009年5月21日から配信されたWiiウェア(ダウンロード専用ソフト)、『魂斗羅ReBirth』(コントラリバース)。タイトルを見て分かる通り、コナミのアクションゲームシリーズ魂斗羅のリブート作品になります。
『魂斗羅』といえば、アーケードからその歴史が始まり、『魂斗羅』、『SUPER魂斗羅』とリリース、スーパーファミコンで『魂斗羅スピリッツ』、メガドライブで『魂斗羅 ザ・ハードコア』、海外オンリー作品が2つくらいあって、PS2で『真・魂斗羅』、『ネオコントラ』、ニンテンドー3DSで『魂斗羅デュアルスピリッツ』とシリーズがつづいてきた作品です。
(↑初代魂斗羅)
(↑SUPER魂斗羅)
(↑魂斗羅スピリッツ)
(↑魂斗羅ハードコア)
(↑魂斗羅デュアルスピリッツ)
タイトルにある『魂斗羅』とは、「熱い斗魂とゲリラ戦術の素質を 先天的に合わせ持つ、最強の闘士の呼称」というもっともらしい説明がされていますが、これはウソです。
元ネタは、中米ニカラグアの親米反政府民兵(ゲリラ)の名称である「コントラ」から来ています。熱い斗魂を持ち、ゲリア戦術を得意としている怖い人たちです。
その名前がメジャーになったのは、1986年。ロナルド・レーガン政権がイランへの武器売却金をニカラグアの反共組織コントラ援助に流用していたことが発覚したイラン・コントラ事件。アメリカ国内はおろか世界を巻き込む政治的大スキャンダルでした。
くわしい内容は伏せますが、『メタルギアソリッド』シリーズでよくやっている、冷戦時代の共産主義勢力に対抗するために陰で反政府組織に協力していたのがバレちゃった的な事件です。
映画『プレデター』に出てくるアーノルド・シュワルツェネッガー似の男と、映画『ランボー』の主演シルベスター・スタローン似の男たちが、映画『エイリアン』に出てくるギーガデザインによく似たエイリアンをバッタバッタと撃ち殺すアクションゲームを作っていたコナミが、「なんか、こう、ゲリラっぽい、強い感じの名前のアイデアがどっかに落ちてねえかなー?」と悩んで末につけられたのが、この『魂斗羅(コントラ)』。1987年、イラン・コントラ事件の翌年のことでした。
(↑アーノルド・シュワルツェネッガー氏)
(↑シルベスター・スタローン氏)
(↑ふたりは魂斗羅マックスハート)
こう書くと、当時のゲーム制作会社は不謹慎な輩ばかりと思われるかもしれませんが、まったくもっとその通…いえいえ、ゲームセンターでプレイしていただかなくてはいけないですから、興味を持ってもらうことがとても重要。多少不謹慎でも、インパクトのある名前を付けることが、とてもとても大切だったのです。
私もゲーム制作に多少なり関わっていたので分かりますが、作品名というのは、実は結構大事なこと。言霊という話がありますが、つけられた名前で作品のパワーが、スタッフのモチベーションが変わるということは意外にあるのです。変に格好つけた誰の心にも刺さらないタイトル名は、ほとんどの場合、作品内容もダメです。はい。
話がズレましたが、『魂斗羅』とはそういうゲームでした。
ひと言でいうと、「最高で最低なシリーズ最新作」でした。個人的には。
ゲームは、スーパーファミコンの『魂斗羅スピリッツ』に近く、作品の演出などは『魂斗羅 ザ・ハードコア』『真・魂斗羅』に近いテイスト。ニンテンドーDSの『魂斗羅デュアルスピリッツ』がシリーズ初期のテイストを受け継いだ作品だとすると、本作はシリーズ後期のテイストを受け継いだ作品と言えるかもしれません。
とにかく撃ちまくってエイリアンたちを撃破しまくる。『魂斗羅』らしい爽快感あるゲームスタイルは健在。むしろ磨きがかかっており、Wiiというハード性能に支えられて、何体ものドット絵キャ
ラが迫ってきても画面がチラつかない&処理落ちしないという点では、1つの到達点に達した『魂斗羅』と言えるかもしれません。
これはWiiウェアのReBirthシリーズすべてに言えることですが、フルプライスのゲームに比べるとボリュームは少なめです。作り込みの粗さもあります。しかし、手軽に遊べるボリューム&遊べは遊ぶだけ面白さが湧いてくるスルメ的な作り。ゆえに、1028Wiiポイント(1028円)なら余裕で元が取れるくらい遊べる作品であることは保証します。
「褒めまくりじゃねーか。どこが最低なんだ」と、お思いの方もいるでしょう。その点を説明させていただきますと、ストーリーやゲーム中のデモが
超・絶・サムい
…のです。
(↑なぜかアタマが悪いビル・レイザー)
(↑さらにアタマが悪い銀河大統領)
(↑ユカタン半島の遺跡”SHIZUOKA”のくだりに失笑)
(↑エイリアンをして~のくだりは脱字?あとコントラのスペルが違う)
(↑こういうキャラとかどうでもいい)
(↑ツッコミどころがたくさん。そもそもグラディウスと一緒の世界観にしないでほしい)
(↑完全にブランディングを間違えていると思う)
(↑何の脈略もなく女装するランス。面白くもない)
(↑戦犯は誰なのか。知りたい)
やばいくらいつまらない展開が垂れ流され続け、個人的には「コレジャナイ感」に襲われ吐き気を催すレベル。ネットでの評判を見ても、あまりこの点についてふれているレビューはなく、自分の感覚を疑ったくらいです。でも、やっぱりこれはおかしいって!こんなの魂斗羅じゃないと思う。
当時の私は、開発を担当しているM2の千葉県我孫子市天王台にあるオフィスまで行ってビルの前でウンコしてこようかと思ったくらいです。クソくらえってな。いや、ひょっとしたら、コナミデジタルエンタテインメントのほうか?
そこ以外は最高です。
並木学さんによる過去作品のアレンジも大変素晴らしいのですが、上記の部分によって大好きなクラス一の美少女がワキを剃らない主義という事実を知ってしまった時と同様に私を苦しめたのが、この『魂斗羅ReBirth』なのでした。
『グラディウスReBirth』、『ドラキュラ伝説ReBirth』同様に、コナミデジタルエンタテインメントのこれまでの姿勢を見るとニンテンドーSWITCHなどでの再配信は難しいかもしれないので、気になる方は今のうちに購入しておくことをオススメします。