1986年4月25日に、ゲームセンターで人気だった『グラディウス』がファミコンで発売されました。アーケードでの稼動から1年弱、あまりにも早い移植に、ゲーム少年少女たちは狂喜乱舞した。「ゼビウスが家で遊べる!」的な興奮を、みんな期待していたのですが…。
※2018年2月5日追記。
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、コナミが1986年4月25日に発売したファミコン用シューティングゲーム『グラディウス』。アーケードゲームにおいてシューティングゲームに革命をもたらした、あの『グラディウス』の移植版です。
結論からいうと、『ファミコン版グラディウス』はそんなにいい出来とはいえないモノでした。これはアーケード基板とファミコンのハード性能の差や技術的な問題、ロム容量の問題などにより、いくつもの要素が欠落した劣化移植だったからです。
(でも、今見ると悪くないぞ)
アーケード版よりパワーダウンしてしまったところは以下の点。
・オプションが4つではなく2つしかつかない
・レーザーが伸びない
・シールドが小さい
・ビッグコアが小さい、色が違う、ダサイ
・ステージ1の空中岩石の砲台がない
・縦スクロールがない
・ステージ4の逆火山が噴火しない
・アイアンメイデンが出てこない などなど
もうほとんど別物じゃないかといえるくらい『グラディウス』じゃないと、私の友人は怒っていました。
(当時は許せなかったが、なかなか味があるビッグコア)
しかし、賢明なる読者の皆さんはこう思うはず。「家庭用ハードへの移植は劣化が当たり前。それを踏まえてゲームと対話すべきではないか」と。たしかにその通りです。
『ファミコン版グラディウス』は、よくよく見ると、そんな悪い出来ではありません。グラフィック面で劣るところはあるものの、パワーカプセルを集めて装備を選び、自分なりの攻略を組み立てていくところ。弾幕を避けて死中に活を見出す面白さ。グラディウスらしさをきちんと受け継いでいる良作です。
(縦スクロールはないけど頑張っている)
しかし、『アーケード版グラディウス』の魅力の50%くらいはビジュアル面にあったと思います。暗い宇宙を切り裂く青く長いレーザー。4つまで追加できる援護兵器オプション。美しいだけでなく心強いシールド。緻密に描かれたグラディウスの宇宙。それらが削られたことによって、グラディウスの魅力が大きく削られてしまった…かのように見えてしまったのだと思います。
だから、半年後にはロヂャース(関東によくあったディスカウントショップ)で、新品500円くらいで叩き売られてしまったのでしょう。
(売れなくて、おもちゃ屋のおばさんも泡吹いていた)
当時のコナミにとっても、この作品のユーザーからの反応が好ましくなかったこと(出荷量に対してあまり売れなかったこと)は、大きな問題と考えたようです。
そのため、本作以降のグラディウスシリーズのファミコン移植において、コナミはユーザーを納得させるオリジナル要素を搭載し、劣化移植とは言わせないオリジナル作品を発表してきました。『ファミコン版沙羅曼蛇』や『ファミコン版グラディウスII』は、本作での失敗(?)がなければ、生まれなかったかもしれません。
そういう意味では、コナミファミコンソフト開発のターニングポイントとなった作品ともいえるでしょう。
(オリジナル要素のワープゾーンではチト物足りなかった)
また、本作の良さが分かるか・分からないかは、『グラディウス』という作品の本質を理解しているかどうかの踏み絵的な存在でもあり、レトロゲーマー自身が試されるという一面もあります。
(色が違うんだよなぁ。試されるなぁ…)
私がオススメするファミコン版を楽しくプレイするための方法は、「勝手な設定を作る」です。
『グラディウス』という作品は、アーケード版とMSX版で、別ストーリーのシリーズ展開がされています。これは並行宇宙での別々のグラディウス軍とバクテリアンの戦いと解釈することが可能です(『V』での二機のビックバイパーはこの2つの宇宙が交わったと考えることもできる)。
では、ファミコン版は、「グラディウス軍もバクテリアンも、正史とは異なる軍備が整いきらないタイミングで交戦することになった1つの可能性」と解釈はできないでしょうか。
そうすれば、オプションが2つ足りないことも「会戦までに間に合わなかった」ことになり、リーザーが長く伸びないのも「レーザー連射技術が採用された歴史のif」となり、いい感じの味つけになるのではないでしょうか。
(ショットレーザーが開発された世界線での物語だったり)
レトロゲームの楽しみかたは、足りないところをいかに愛せるかどうか。一度は遠ざけたかもしれない『ファミコン版グラディウス』。この機会にもう一度楽しんでみてはいかがでしょうか。
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