1990年代、コナミはPCエンジンへの参入に消極的だったのですが、「コナミ参入決定!」の知らせとともに発表されたのが、『グラディウス』『沙羅曼蛇』『パロディウスだ!』のPCエンジン移植でした。素人目には「アーケード版の移植!」と映るかもしれませんが、実は本作はそういう作品ではありません。今回はそのあたりに注目したいと思います。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を紐解いていこう――。
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。
今回発掘した作品は、コナミが1991年11月に発売したPCエンジン用シューティングゲーム『グラディウス(PCエンジン版)』。続編である『GOFERの野望』はSUPER CD-rom2でしたが、こちらはHuカードの作品でした。
PCエンジン版ってどうなの?
分かりやすくひと言でいえば、「アーケード版とMSX版のハイブリッド移植」です。まあ、これは公式リリースされている情報ではありませんが。
根拠は、下記のような特徴が見られるところです。
(1)タイトルロゴがアーケード版よりMSX版に近い
(↑アーケード版タイトル画面)
(↑MSX版タイトル画面)
(↑PCエンジン版タイトル画面)
アーケード版の移植ならロゴのカラーリングを赤ピンクにすると思うのですが、本作はどちらかといえばMSX版のカラーリングに近いです。
(↑PCエンジン版のデモ画面)
アーケード版にはない要素としてパッケージイラストに描かれているグラフィックをデモ画面として踏襲しているところもMSX版を意識しているっぽい。他のPC移植版にもあるみたいですが。
(3)骨ステージがある
(↑MSX版の骨ステージ)
(↑PCエンジン版の骨ステージ)
もっともテーマが同じというだけでステージ構成はまるで違うのですが。ただ、アーケード版『グラディウス』のステージコンセプトからズレているこのネタで追加ステージを作るということはMSX版を意識しているとしか思えません。
(4)音楽がSCCアレンジ寄り
(↑MSX版SCC音源のBGM) ※お借りしています。
(↑PCエンジン版PSG音源のBGM) ※お借りしています。
もちろん全曲ではないのですが、音数の多いSCC音源原曲アレンジの影響を受けているBGMが何曲かあるような気がします。
「白」をなぜか「灰」にしているため画面が全体的に暗いとか、画面が切れて上か下の敵が見えないとか、アーケード版らしいキンキン音がないとか。欠点もいろいろ言われてきたPCエンジン版なのですが、今の時代、レトロゲームとして当時の移植具合を楽しむ上では、アーケード版らしさを残しつつも新しいことにも手を出そうとしている姿勢を楽しむことこそ、PCエンジン版ならでは面白さではないかと思います。
当時は、「雑誌ではアーケードの完全移植!とか書いてあったのに全然違うじゃねえか」とか怒る原作原理主義者も多かったPCエンジン版。しかし、「完全移植だけが正解ではない」と今の私たちは知っています。PSG音源のグラディウスミュージックが聞けるのは本作だけ。時代の過渡期に、PCエンジンでグラディウスをやろうとした開発チームの努力を、52色で描かれた宇宙の中に、見てみるというのも一興ですね。
=注意=
この記事に使われているゲーム画面やゲーム音楽の著作権はすべて権利者にあります。当ブログは権利者の温情によって使わせていただいている立場ですので、権利者から削除要請があった際には迅速に対応いたします。