【凶悪発掘】 『スーパーゼビウス(アーケード版)』――歴史の闇に葬られた、もっとも過酷な戦いを強いられた戦士たちの物語。

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『スーパーゼビウス』と聞くと、ファミコンで発売された『スーパーゼビウス ガンプの謎』の知名度が圧倒的に高いのですが、今回発掘したのはアーケード版の『スーパーゼビウス』です。これが、まあ、めちゃくちゃ難易度が高く、知名度の低さは、まさに歴史の闇に葬られたということなのでしょうね。

今回は、歴史に埋もれし、レトロゲームの闇を掘り起こしてみましょう――。





ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、1984年にナムコがアーケードゲーム用シューティングゲームとしてリリースした『スーパーゼビウス』。名作『ゼビウス』の続編ではなく、『ゼビウス』のデータをもとに、敵の出現パターンの変更、隠しキャラ「ソル」の位置変更など、部分改定と難易度調整が行われたアッパーバージョンになります。

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スーパーゼビウスはなぜ生まれたのか?
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もともとは、1プレイ料金が安い海外向けの難易度調整バージョン『ゼビウス』というものがテストマーケティングとして存在していました。その噂を聞きつけたファンからの熱望があって開発された、という経緯があります。

そもそもなのですが。

『ゼビウス』はそんなに難しいゲームではありません。慣れないうちは全然前に進めないのですが、敵の弾をおびき寄せて、そろそろ撃ってくるというタイミングで自機をズラしていく。この手法だけ死ににくくなり、先に進めてしまうのです。

だからこそ、高得点や隠しキャラ探しに没頭できる余裕がプレーヤーに生まれたわけで。それが作っても作っても生産が間に合わないという空前のヒットに繋がりました。

その一方で、1000万点プレーヤーが早期に増殖したこともあり、「早い段階で遊びつくされてしまった」という一面もあったのです。

「新しい謎を秘めたゼビウスで遊びたい」
「もっと歯ごたえのあるゼビウスで遊びたい」

このような要望が生まれた背景には、上記のようなことがありました。

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スーパーゼビウスはどうだったのか?
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スーパー難易度が高く、スーパーえげつないゼビウスになってしまいました。

『スーパーゼビウス』は、『ゼビウス』設置店の筐体のロム交換を前提に作られました。前述の通り、元データを利用したアッパーバージョンであり、ステージマップはほとんど変わりません。グラフィックもほぼ同じです。変更点は以下のようなところ。

・タイトルに小さく「SUPER」がついている
・ゲームスタート時に遠藤さんのメッセージが入る
・敵の出現パターンが変わっている
・ソルの数は変わらないが多くの場所が変更
・ソルの得点が半減
・スペシャルフラッグの出現位置変更
・エリア8に戦車が出現する
・エリア10にファントムが出現する
・エリア14にヘリコプターが出現する
・エリア15にもファルコンが出現する
・エリア16にギャラクシアンの敵が出現する
・一部の川に橋が残っている
・ガルザカートの誘導弾の得点が4倍に変更
・2周目以降は地上物から弾幕がばらまかれる

隠しキャラが増えたのですが、内容がかなり陰険です。これらは取れば1万点ボーナスですが、ブラスターで破壊するとこれまでの得点がゼロに。初見ではほぼ間違いなく、この罠にはまってしまいます。

要所要所で、確実にプレーヤーを殺しにかかる敵の出現パターンが用意されていることも特徴的でしょう。ガルデロータとブラクザカートという厄介な敵を同時に出現させ、動揺させているタイミングでテレポートアウト攻撃を仕掛けてくるとか。かなり無理ですぜ。

このような背景もあり、『スーパーゼビウス』は多くのゼビウスファンを巻き込みつつ、完膚なきまでに叩き潰した作品となってしまったのです。ファンからは大不評でした。

「歯ごたえのある新しいゼビウス」としてのカタチを間違えた、ということなのでしょう。

その後のスーパーゼビウス
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そんなわけで、『スーパーゼビウス』はシリーズ2作目にして黒歴史扱いとなってしまいました。『ゼビウス』が何度もナムコミュージアムに収録されるのに対し、『スーパーゼビウス』は腫れ物のような扱いで、話題にすら上がらなくなってしまったのです。バーチャルコンソールのラインナップにも上がりませんでした。

数年前に、高円寺あたりの飲み屋で、昔ソルバルウ乗りだったという店主のお店で飲んだことがあるのですが。『ゼビウス』の話ですごく盛り上がったんですね。でも、『スーパーゼビウス』の話題を振ったら、急に不機嫌になって。せっかくのいい気分が台無しだ。さっさと帰ってくれ的な扱いを受けるはめに。それだけ『スーパーゼビウス』がファンの心に残した爪痕は深く暗いということなのかもしれません。

その後、ナムコとしては『スーパーゼビウス』というIPの信頼回復を狙ったのか、ファミコンで『ゼビウス』の正統続編に『スーパーゼビウス』の名を冠しました。『ガンプの謎』のことです。

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この作品もこの作品でちょっと問題があるのですが(笑)。本来、『ゼビウス』の続編が行なうべきだった謎解きのあるシューティング、世界観を広げるシューティングを目指している意志が感じられます。開発はトーセなのですが。

ユーザーの声を反映して作ったゲームというのは、大抵ろくなことにはなりません。「ゲーム開発に必要なのは、2割のマーケティングと8割の作家性だ」という言葉があります。高円寺の飲み屋で知り合った別の酔っぱらいのおっさんの言葉です。

それはさておき。

『ガンプの謎』もいいけど、たまにはアーケード版『スーパーゼビウス』のことも、思い出してあげてく
ださい。

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▼スーパーゼビウス収録▼
 




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