【惜作発掘】『愛・超兄貴』――弾を撃たずに心を打つ超変則型シューティングゲームが行き着いた、愛の不時着!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1995年2月にメサイヤよりPCエンジンSUPER CD-rom2用変則型シューティングゲームとして発売された『愛・超兄貴(あい・ちょうあにき)』。あの筋肉シューティングゲームとして大ヒットを記録した『超兄貴』の続編です。続編なのですが、一筋縄ではいかないこの続編の魅力について、語っていきたいと思います。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームも魅力を掘り起こしていこう――。

『愛・超兄貴』とは

『愛・超兄貴』とは、「弾を撃たずに心を打つ変則型シューティングゲーム」です。その名の通り、シューティングゲームと聞いてイメージするショットとバババッと出して、危なくなったらボムを使う…というゲームではありません。

自機は半裸のマッチョ。弾は一応出ますが、敵にオートで向かって行くという優れた性能を持つ者の、威力が非常に弱くザコしか倒せません。じゃあ、どうやって敵を倒していくかというと「ポージング」を使います。ポージングとは、ボディビルコンテストで、ボディビルダーたちが自分の鍛え上げた筋肉を美しく見せるために「ムンッ」と決めるアレのこと。「ポージング」は対戦格闘ゲームのようにコマンドになっており、「←(タメ)→+IIボタン」といったコマンドを入力することで「ポージング」が発動し、その有効射程距離内の敵がボカーンと壊れていくのです。

ちょっと何を言っているのか分からない読者の方もいらっしゃると思いますが、これは事実です。

「ポージング」によってなぜ敵がダメージを負うかというと、きちんとした理由があります。それは舞台となっている世界には、筋肉を最高の美徳とする文化があり、ポージングによって鍛えられた美しい筋肉を見せつけられた敵は、憧れや羨望、嫉妬や劣等感といった感情が自分の中に渦巻き、自爆してしまうというわけです。まさに、「弾を撃たずに心を打つ変則型シューティングゲーム」なんですね。

人は、生きているだけで何かを傷つけていくもの。美しいものを見せて、己の心に問いかけて、争いを止めさせるというこのゲームは、考え方によっては宇宙一やさしいシューティングゲームと言えるかもしれません(笑)。

『愛・超兄貴』とは、そういうゲームなのです。

『愛・超兄貴』のストーリー

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己の銀河ボディビルコンテスト十連覇のために、他国のプロテインを強奪するために侵攻していたボ帝ビルの野望は、天上の神イダテンとベンテン、そして何限界の王子アドンとサムソンらの活躍によって打ち砕かれた。ボ帝亡き後、イダテンは銀河ボディビルコンテストで優勝し、宇宙に再び平和が訪れたと思われた。

そんなある日、ボ帝の本拠地であるビルダー星系に不穏な動きがある、という知らせを聞いたイダテンは単身調査に赴いたものの、消息を絶ってしまいます。

ビルダー星系で何かが起ころうとしている。そんな予感を抱いたベンテンは、かつてともに戦った人間界の王子たちにして、イダテンのことを兄貴として慕う2人の勇者、アドンとサムソンにイダテン探索を命じたのでした。

『愛・超兄貴』の魅力

先にネガティブなことをお伝えしておくと、『愛・超兄貴』は作り込みの足りない残念な作品です。俺は当初予定していた完成形よりもかなり手前で製品化を余儀なくされた未完成作品だと予想しています。

そう思う理由は、前作に比べてステージ数などがあきらかにボリューム不足であること。最終ステージに至ってはエリア数が他のステージよりも足りないほど。ステージ構成を見ても、本当はあと2~3ステージあってもおかしくありません。あとは発売日が2月24日であり、3月の決算に合わせて発売されたのでないかと邪推しています。

おそらくですが、作品としては難産だったのだろうと思います。

ゲームのコンセプトは、実は前作『超兄貴』よりも世界観にマッチしたものだと思うのですが、ポージングだけで敵を倒していくゲームなんて前例がないわけですから、このオリジナリティあふれるアイデアを形にしていくために手探りで開発を進めていたものの、志半ばで会社から与えられていたタイムリミットに達してしまったため、未完成のものをなんとか製品として成立できるカタチに整え、発売に漕ぎつけることになったのではないかと、思うわけです。

そんなふうに惜しい部分はあるものの、俺は『愛・超兄貴』の、安易に前作と同じジャンルで勝負をせず、まったく新しい道を作ろうとした挑戦の心こそが本作最大の魅力だと思っています。

上下左右で自機を動かしながらコマンドを入力していくというのは、誤入力も起きやすく、慣れていない状態で咄嗟に対応するのは難しいです。しかし、ここがこの作品の良く出来たところで、慣れれば面白いように、連続でポージングをかますことが出来るようになります。さらに敵の出現位置に前もって移動して効率よく敵を倒していく様は、素晴らしい演技のフィギュアスケートを見ているかのよう。さらに、ポージングをきれいにきめていくことで溜まる男エネルギーを使ってくり出されるメンズビーム(↓↘→+IIボタン)は無双の威力を誇り、弱点に当てればボスも瞬殺できるほど。そんな凄腕のプレイを見せられたら「兄貴!昔から憧れてました!」と言いたくなること間違いありません。

レトロゲームとしての『愛・超兄貴』

『超兄貴』という作品は、一見するとただのバカゲーなのですが、『超兄貴』のゲームレビューでも話した通り、なかなか興味深い示唆のある開発秘話があります。それは、いい作品を作ればヒットするというわけではなく、ヒット作はいい作品であること+アピール要素が必要であるということです。『超兄貴』の場合は、『ジノーク』という元となる作品があり、そのシューティングゲームとしてのきちんとした土台の上に、筋肉を最高の美徳とする文化圏という世界観が積み重ねられることで、ヒット作となりました。

『愛・超兄貴』は、前作のヒット要素である“世界観”にあったオリジナルゲームを作ろうとした作品です。

レトロゲームとしてふり返った時、超兄貴シリーズは最初はこの世界観を活かしたゲームを作ろうと試みて、やがて原点であるシューティングに戻るという経緯があります。『愛・超兄貴』は世界観を広げるために挑戦して、成功しきれなかった作品といえるかもしれません。ただし、目指したところは、ゲーム全編をポージングだけで解決するという前代未聞のものであり、それをミニゲームではなく、フルプライスのゲームでやろうとしたところが、時代感もありますが、『愛・超兄貴』のレトロゲームとしての魅力だと思うのです。

レトロゲームの楽しみかたは、名作を名作として遊ぶだけではなく、挑戦作の失敗理由と失敗しなかった可能性を想像してみるという方法もあると思います。『愛・超兄貴』は大いなる可能性を感じさせてくれる作品だけに、そんな楽しみ方があるのかなと思いました。

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