【名作発掘】『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)――シモン・ベルモンドの物語は最終章へ!現れた最大最凶の悪魔城での血戦はじまる!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘したのは、1991年10月にコナミからスーパーファミコン用アクションゲームとして発売された『悪魔城ドラキュラ』。スーパーファミコンが発売されて約1年後に発売された、スーパーファミコン初の悪魔城ドラキュラシリーズでした。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)とは

さまざまな資料を見ていると、初代『悪魔城ドラキュラ』のリメイク、新作という記載がされています。ファミコンで発売された『悪魔城ドラキュラ』『ドラキュラII 呪いの封印』『悪魔城伝説』の3作品は、シリーズの原作者といえる赤松仁司さんが関わっているのですが、本作には関わっていません。そのため、過去3作には存在した一貫した物語性がこの作品で途絶してしまった印象はあります。この作品がリメイクなのか新作なのか、はっきりしないところもファンとしてはヤキモキするところです。

ここから先は俺の独自の解釈になります。そのため、「事実ではない。あくまで一ブログ管理者の妄想」という前提で聞いてください。

俺は、スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』は『悪魔城ドラキュラ』シリーズ4作目であり、シモン・ベルモンドとドラキュラ伯爵との三度目の戦いだと考えています。その理由の1つは、本作のオープニングデモに出てくるドラキュラの墓です。墓は2作目『ドラキュラII 呪いの封印』のエンディングにも出てきます。そして、ある条件を満たすと、墓の下から手が出てきて、何者かの復活を示唆する描写があるんですね。これが同一の墓だとするならば、スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』は『ドラキュラII 呪いの封印』の続きの物語であり、シモン・ベルモンドの三度目の戦いと考えるほうが自然だからです。

ただし、この推論には問題点もあります。『ドラキュラII 呪いの封印』のエンディングで出てくる墓は、同作のストーリーに出てくるベルモンド一族の墓である可能性もあるということです。しかし、そうなると、ベルモンド一族の墓から蘇ろうとしているのは誰なのかという新しい問題も出てきます。個人的には、こんな説も考えました。1作前の『悪魔城伝説』に出てきたラルフ・C・ベルモンドが、シモン同様にドラキュラとの戦いで受けた傷がもとで呪いにかかり死んでしまった。その肉体は闇の眷属化してしまい、ドラキュラが肉体を失った時の緊急避難先となっていた…みたいな。ラルフゾンビとシモンとの対決みたいなこともあったかもしれません。しかし、あの墓の形態を見ると、ラルフの遺体だけが残っているのも不自然ですね。

話を戻します。ドラキュラシリーズはなぜ3作目で過去の話を語ったのでしょうか。これは憶測でしかありませんが、過去を語る必要があったと考えるのが妥当でしょう。では、『悪魔城伝説』と『悪魔城ドラキュラ』『ドラキュラII 呪いの封印』の違いは何なのでしょうか。俺は、①『悪魔城伝説』ではドラキュラは第三形態までであった(シモンは第二形態までしか倒していない) ②『悪魔城伝説』時代のほうがドラキュラは強大な力を持っていた(復活の度に力を増すのならシモンの時代ではまだ本気を出していない)の2点が、一度過去の物語を語る理由と考察しています。となると、4作目は本気を出したドラキュラ伯爵の最大最凶の悪魔城が待ち構えているということになり、シモンの最終血戦に一番きれいなカタチでつながると思うんですよ。

シモン・ベルモンドとドラキュラ伯爵との三度目の戦いだと思う理由の2つめは、本作が初代『悪魔城ドラキュラ』のリメイクだとするならば、初代らしさがほとんど残っていないという点。ほぼ新作です。リメイクならば原作の面影を残すものだと思いますが、それをまったく無視してイチから作る理由があるでしょうか。アーケード版はそういう使命を帯びた作品でしたが、スーパーファミコンで同様のことをやる必要があるのでしょうか。ファミコン3作を知らない新規ファン獲得のためなら戦略上ありだと思いますし、実際はそのために上層部が「あえて4作目」と名乗らせなかった…というのがありそうな話なんじゃないかと邪推しています(笑)。

シモン・ベルモンドとドラキュラ伯爵との三度目の戦いだと思う理由の3つめは、シモン・ベルモンドにスポットライトが当てられている点です。メインテーマといえるステージ1の曲名は「シモン・ベルモンドのテーマ」ですからね。そして最終決戦でかかるBGMも「シモン・ベルモンドのテーマ」。最終ステージは、『ドラキュラII 呪いの封印』の「BLOODY TEARS」、『悪魔城ドラキュラ』の「VAMPIRE KILLER」、『悪魔城伝説』の「BEGINNING」で繋いでからの「シモン・ベルモンドのテーマ」なんだぜ。これ、どう考えたって、シリーズ4作目でシモン・ベルモンド最終章ってことでしょ。

このような考えによって、スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』は『悪魔城ドラキュラ』シリーズ4作目であり、シモン・ベルモンドとドラキュラ伯爵との三度目の戦いと考えるほうがグッとくるし盛り上がるため、俺は推奨しています。ここまで長々とご清聴ありがとうございました。

『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)のストーリー

過去に幾度か復活を遂げた魔王ドラキュラ伯爵。しかし、全世界を征服しようとする魔王の野望は、いつの時代でもベルモンド一族によって打ち砕かれてきた。魔王ドラキュラ伯爵が人間界から追放されてから百年が経とうとしていた時代、トランシルバニアでは干ばつが続き、かつての繁栄に陰りが訪れていた。

そんな折、ある日邪悪な雷雲が町を覆い、一筋の稲妻が町に落ちる。それは、魔王ドラキュラ伯爵の復活であった。復活を果たすたびにより強い魔力を身につけていくドラキュラ伯爵は、過去最強の魔王となり、強大な魔物軍団を引き連れて人間界へと舞い戻ってきたのだ。これに対し、ベルモンド一族の血を引く青年シモンは人間界の解放を誓い、不安を抱きながらも先祖伝来のムチを手に悪魔城へと単身乗り込んでいく。

『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)の魅力

本作は、『悪魔城伝説』の流れを引き継ぎ、悪魔城までの険しい道のりを経て、悪魔城に至るという展開となっています。その魅力は、各ステージごとに大胆なギミックを用意し、プレイヤーを殺しにかかってくるのですが、そのアイデアと演出がすごすぎてプレイヤーを飽きさせない作りになっています。それはまさに、初代『悪魔城ドラキュラ』の面白さの本質。そういう意味では本作は『SUPER悪魔城ドラキュラ』といえる出来となっています。

さらに注目したいのはグラフィックですね。背景は多重スクロールで奥行き感を出しているのですが、風にゆれる草、身体にかかる水しぶき、飛び散る骸骨など、非常に細かいところまで描きこまれている&細かい演出が施されています。

細かい演出といえば、シモンが持つムチも、本作では敵に向けて放った後、ジャラッと重力の影響を受けて下に垂れます。その状態で、ブンブンと振り回すことができ、この予備動作の少ない攻撃によって、敵の攻撃を回避しやすくなっているのです。

とにかく徹底的に作り込んでいる、コナミの職人魂が感じられるこのような作品を、スーパーファミコン末期ならまだしも、初期である1991年で作り出していること自体が驚きです。そして長い。ボリューム満点な内容のため、ノーコンティニューでもクリアまで2時間くらいかかってしまいます。しかしこれも、シモン最終決戦と考えれば、なかなか燃える要素と言えるでしょう。

『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)のダイジェスト

レトロゲームとしての『悪魔城ドラキュラ』(スーパーファミコン版)

悪魔城ドラキュラシリーズは、この後、シモンの時代の100年後の戦いが描かれる『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』に移っていくのですが、こちらは原点回帰、ディスクシステム版『悪魔城ドラキュラ』や『悪魔城伝説』に近い作風になってしまいます。が、その続編である『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』では、スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』と、X68000版『悪魔城ドラキュラ』が開拓した、ブキミ楽しいステージときめ細やかな演出が引き継がれていくところにも注目です。

本作では、初めて悪魔城内に図書館が出てきましたが、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』ではこの図書館が重要な役割を果たします。図書館司書はドラキュラ伯爵の手下ではあるのですが、その息子である主人公アルカードにもさからうことができないため、秘密裏にアルカードに協力していきます。このような展開が後に生まれたのも、このスーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』の作り出した悪魔城が素晴らしかったからこそ。新しい着想が得られたのではないでしょうか。

音楽についても触れないわけにはいきません。本作のBGMはこれまでのシリーズとは作風が変わっています。それゆえ、異端視されることもありますが、こういう曲でも悪魔城ドラキュラとして成り立つことを証明した側面もあると思っており、前述した『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』の楽曲にも少なからず影響を与えたのかもと考えてしまいます。

スーパーファミコンではもう1作『悪魔城ドラキュラXX』という作品が出ており、そちらもいい作品なのですが、ゲーム自体に込められたアイデアと情熱は本作のほうが上だと思います。興味が湧いたら遊び比べてみてください。スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』の濃密世界を感じていただけるのではないかと思います。

この作品を遊ぶ方法

現行機で手軽に遊ぶには、ダウンロード専用の『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』がオススメです。PS4、Xbox ONE、steam、ニンテンドースイッチ版があるので、お好きな環境でお楽しみください!

また、下記のような方法で遊ぶことも可能です。

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■グリーンヒルさん
SFC初期の頃のゲームでしたが、その頃の他のゲームと比較しても、完成度が高かったと思います。攻撃方法(鞭の振り方)が多彩になり、敵の倒し方を工夫するのが楽しかったです。また、SFCの推しの機能だった多重スクロールや回転拡大縮小をゲーム内の演出で上手く使っていたと思います。音楽も名曲が多くバランス良くまとまっていたと感じました。今までのドラキュラシリーズとしては比較的ボスが弱かった(個人の感想です)ので、何度も気軽にプレイしやすいのも良かったです。

ジョーンズ
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