【名作発掘】『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』(PCエンジン SUPER CD-rom2)――そして時は動き出す!シリーズはついにシモンの次のベルモンドの物語へ!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、コナミが1993年10月にPCエンジン SUPER CD-rom2用アクションゲームとしては発売した『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』。タイトルにある「X」は悪魔城ドラキュラシリーズ10作目という意味も含めていますが読みかた「エックス」、サブタイトルの「輪廻」は「ロンド」と読みますので間違えないように。ここ、テストに出ます。読みかたを間違えると超絶恥ずかしいので気をつけてくださいね(笑)

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』とは

ひと言でいえば、ファミコンディスクシステムで産声をあげた『悪魔城ドラキュラ』の「伝統」を守りつつ、「革新」的な手法を持って作られた『悪魔城ドラキュラ』の正統続編といえる作品です。

「伝統」と「革新」によって『悪魔城ドラキュラ』の新境地を切り開いた作品と言えば、スーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』と、X68000版『悪魔城ドラキュラ』がありますが、本作の特長はファミコンと同じ8ビットゲーム機であるPCエンジンで作られている点です。しかも、初代『悪魔城ドラキュラ』がファミコンのブースターマシンであるディスクシステム用ソフトだったのに対し、本作はPCエンジンのブースターマシンであるSUPER CD-rom2で作られているという類似点があります。

ハード性能は特に高いとは言えない中、黒の使いかたが上手いファミコン初期三部作のグラフィックの作風を受け継ぎつつ、PCエンジンの強みであるスプライトを活かしたデカキャラやステージギミックや演出を追加し、CD-romとしてのCD音源によるBGMといったパワーアップを図りつつ、その一方で、左右の攻撃ができるムチとサブウェポンによる攻撃という戦法を受け継ぎ、物語的にもシモン・ベルモンドの時代の100年後、次のドラキュラ復活の戦いを描いた本作は、まさに『悪魔城ドラキュラ』の正統続編にふさわしい作品だったと言えるでしょう。

『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』のストーリー

舞台は1792年。シモン・ベルモンドの時代からおよそ100年後。闇の神官シャフト率いる信者たちは、堕落した世界を再生するために再びドラキュラ伯爵を復活させる。それに立ち向かう新たな乾坤の血族の名は、リヒター・ベルモンド。彼は、一族が有する強靭な肉体に加え、先祖であるジュスト・ベルモンドから受け継がれている不思議なチカラを有した、歴代最強のバンパイアハンターだった。

リヒターは悪魔城に潜入し、シャフトに捕らわれていたバンパイアハンターの少女マリア・ラーネッドを救出。二人でドラキュラ伯爵の討伐に向かう。迎え撃つシャフトは、かつてシモン・ベルモンドが体験したものと同じ試練を用意し、待ち受けるのだった。

『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の魅力

『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』は、基本的にはディスクシステム版『悪魔城ドラキュラ』を踏襲しているゲームです。横スクロールアクションで、武器は「ムチ」、サブウェポンとして「斧」「聖水」「時計」「十字架」「カード」のうち1つを持ち歩くことが可能。ステージ内に設置されているロウソクを破壊すると、武器のパワーアップアイテム、サブウェポン使用に使うハート、金袋のいずれかが出てきて、これらを回収しながらステージの最後に待ち構えるボスを目指す…という流れも変わりません。

スーパーファミコン版では、ムチを使って上段攻撃や下段攻撃ができるようになりましたが、本作ではそれらは廃止に。代わりに、緊急回避に役立つバク転ジャンプと、サブウェポン所有時にハートを大量消費させることで使える全体攻撃アイテムクラッシュが可能に。加えて、過去作では点数以外の価値がなかった金袋ですが、本作では集めたお金は、ゲームスタート時の画面でステージクリアやボス戦の攻略動画を見るために使えるように。つまり、基本的にはディスクシステム版『悪魔城ドラキュラ』のプレイスタイルを踏襲しながらも、ライトユーザー向けの救済措置が強化されています。

共催措置といえば、リヒター以外のもう1人の主人公マリア・ラーネッドのことを忘れてはなりません。彼女は、悪魔城の地下で救い出すことができるのですが、救出後はプレイアブルキャラクターとして活躍できます。しかも、リヒターよりもキャラ性能が高く、彼女を使うことでライトユーザーでもクリアしやすいようになっているのです。『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』は、カンタンなアクションゲームではありません。むしろ難しい分類に入るでしょう。それでも、アクションが苦手な人でも諦めないように、何度もプレイしていけば活路が見える。そんな『悪魔城ドラキュラ』らしさを感じられるようにしつつ、これまでにない方法でサポートしている丁寧さは、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の大きな特長です。

丁寧さはゲームシステムだけではありません。本作はアクションゲームとして、非常に凝った作りがなされています。初代『悪魔城ドラキュラ』はステージが進むごとにどんな展開が待ち受けているかが楽しみな作品でした。リメイク作であるX68000版『悪魔城ドラキュラ』は、美麗なグラフィックと大胆なギミックで「どんな展開が待ち受けているか」という展開を踏襲。そして本作は、美麗なグラフィックと大胆なギミックに加えて、過去作のオマージュ、過去作のBGM「VAMPIRE KILLER」「BLOODY TEARS」「BEGINNING」の使用、隠しルート・ステージへの分岐、救出するヒロイン、息を飲むような演出で、プレーヤーを楽しませる作品となっています。

まあ、いろいろ書いてきたのですが、早い話がカッコイイんですよね。

オープニングが終わった後は、悪魔城に向かう馬車の上で、小手調べに来た死神と対決。魔物たちの襲撃によって炎に包まれる街を背景に表示される「ステージ1 炎の晩餐」。そしてかかるのは、リヒター・ベルモンドのテーマ、その名も「乾坤の血族」。多重構造の街を抜け、現れる岩の巨人ゴーレム。悪魔城の門の前で急降下して襲い掛かってくるワイバーン。雨が降る中進んでいく庭園。轟音とともにかかる跳ね橋。ゾンビが突進してくる場内。突如壁を壊して登場するベヒーモスゾンビ。満月を背にあらわれる狼男、などなど。1993年という時代においても、グラフィック、敵の配置、ギミック、演出すべてが、最高峰の2Dアクションゲームだったと思います。

レトロゲームとしての『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』

悪魔城ドラキュラシリーズの中での本作は、一応、2Dアクションとしての最終作といえるポジション(厳密にいうと違うのですが)です。シリーズを追っていく上では、続編『月下の夜想曲』でリヒターは衝撃の展開を迎えてしまうわけであり、ベルモンド家から聖鞭バンパイアキラーが失われてしまう物語の前編として押さえておく必要があるでしょう。

レトロゲームとしての『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』は、前段でも書いた通り、1993年~1994年はドットで描かれたゲームの最盛期といえる時期であり、この時期に発売された作品はハードの性能をフル活用する、美麗なグラフィックが多用されるといった特長が多く、本作はそのような中でもアクションゲームとしては最高峰の出来です。PCエンジンにも名作アクションゲームは数多く存在しますが、SUPER CD-rom2を使ったここまで完成度の高いものは他にありません。そういう意味でも、レトロゲームを楽しむのなら、一度はやっておくべき作品だと個人的には思っています。

今プレイしても充分面白いですし、今でも「すごい!」と思える、まさに時代を超えても輝きを失わない名作だと思いました。

『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』ダイジェスト

この作品を遊ぶ方法

現行機で手軽に遊ぶには、Playstation4のダウンロード専用ソフト『悪魔城ドラキュラXセレクション 月下の夜想曲&血の輪廻』をご購入されるのがオススメです。こちらは、『血の輪廻』と物語の続編である『月下の夜想曲』の2本がセットになっています。

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■グリーンヒルさん
ドラキュラシリーズとしては初のCD-ROMメディアでのゲームで、音楽がCD音源を使用できるようになったのは非常に大きなメリットでした。しかも、ゲーム内で最初から自由に曲を聞けるオプション付きだったので、ゲームを始める前によく聞いてました。PCエンジンのゲームとしてはやや後期のゲームだった事もあり、ビジュアルシーンと呼ばれるアニメのような映像が使われていたのが特徴で、ドラキュラのダークな雰囲気とは少し違うと思った人もいた様ですが、個人的にはそこまで気になりませんでした。というのも、ビジュアルシーンの演出頼りではなく、ちゃんとゲームの部分もしっかり遊べるようになっていたのが大きいと思います。ステージ単なる一本道ではなく分岐もあり、またステージ踏破の達成率も記録されるので、100%達成までやりこんでしまったゲームでした。

ジョーンズ
ジョーンズ

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