
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、2007年11月にコナミデジタルエンタテインメントからプレイステーションポータル(PSP)用アクションゲームとして発売された『悪魔城ドラキュラXクロニクル』。『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』をリメイクした新作と、PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』、プレイステーション版『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』の3本が収録されている作品です。今回は、リメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の魅力について語っていきたいと思います。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
リメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』とは

ひと言でいうと、PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』を表現手法をドットからポリゴンにして、キャラクターデザインを小島文美さんに、作品の雰囲気を『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』に合わせた、『血の輪廻』の“完成版”といった作品です。
PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』にもあった、「ステージのどこかに隠れているヒロインたちを救出する」という点は、原作では達成率向上の要素でしかありませんでしたが、リメイク版ではきちんと本編の内容に絡んでいます。マリアは原作同様プレイアブルキャラクターになるのですが、テラとイリスは救出することでリヒターはステージ内にある特殊な壁や敵を破壊する力を得ることができるのです。で、その力がないと本物のアネットを救出することはできず、アネットに至ってはテラとイリスを救出していないとドラキュラによって吸血鬼化されてしまい、あるステージのボスとして登場することに(涙)
また、ステージ内に隠されているものは、原作にあった【ハート】【肉】【1UP】【隠しルート】だけではなく、【PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』が遊べるモード】【プレイステーション版『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』が遊べるモード】【ミュージックプレーヤーで聴ける曲が増える】といったことも可能に。原作以上に長く遊べるようになりました。
このようにいいことづくしのように書いてきましたが、プラス要素だけではありません。これは個人差のある“好み”に関わる話でもありますが、アクションゲームとしての洗練さはPCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』よりもパワーダウンしているように思えます。ステージ間の演出がポリゴンによって派手になっているのですが、そのせいでゲームの流れが止まってしまい、それがアクションゲームとしての洗練さを欠くことになっている印象です。そして音楽。『血の輪廻』よりアレンジをきかせているのですが、より良くなったとは言えません。
もちろん、これらは致命的な問題などでは決してないのですが、『血の輪廻』が素晴らしい作品だっただけに、「すべてを上回る作品にはなれなかった」という一面もあると個人的には思っています。

リメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』のストーリー

舞台は1792年。シモン・ベルモンドの時代からおよそ100年後。闇の神官シャフト率いる信者たちは、堕落した世界を再生するために再びドラキュラ伯爵を復活させる。それに立ち向かう新たな乾坤の血族の名は、リヒター・ベルモンド。彼は、一族が有する強靭な肉体に加え、先祖であるジュスト・ベルモンドから受け継がれている不思議なチカラを有した、歴代最強のバンパイアハンターだった。
リヒターは悪魔城に潜入し、シャフトに捕らわれていたバンパイアハンターの少女マリア・ラーネッドを救出。二人でドラキュラ伯爵の討伐に向かう。迎え撃つシャフトは、かつてシモン・ベルモンドが体験したものと同じ試練を用意し、待ち受けるのだった。

リメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』ハイライト





















リメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の魅力

PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』がドット絵で過去作のオマージュを楽しむ作品だったのに対し、本作はPCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』の世界観をより強化した作品といえるでしょう。そのため、過去作のオマージュを楽しむ要素はなくなってしまい、かわりに『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』の世界観に寄せた作風になっています。グラフィックがすごく描きこまれており、PSPのソフトなのですが、PSPだと画面が小さくて味わえないので、テレビに接続するか、もしくはPS VITA TVでダウンロード購入して楽しむのがオススメです。
本作の魅力は、物語の続編である『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』と世界観が統一されたことではないでしょう。PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』は素晴らしい作品なのですが、あのアニメ絵はやっぱりちょっと厳しくて、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』と並べたときのちぐはぐ感は拭えませんでしたから。また、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』に合わせて、各ステージの内装などがゴシック調にアレンジされている点にも注目。このような動きから、シリーズの転換期を作り、新しいファン獲得に成功した『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』をベースに、当時のコナミデジタルエンタテインメントが新しいシリーズ展開を画策していたことが伺えます。そう考えると、ステージ内の隠し要素を見つけていく部分がパワーアップしていることも、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』に寄せたことが見えてきますね。
少しマニアックな話になりますが、PCエンジン版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』では発売までに間に合わなかったため不在だった裏ステージ5のボスが新たな追加されている点も良かったです。また、ドラキュラが自分の復活を何度も阻んでいるベルモンド一族に対して怒りを抱いていること、死神やシャフトたちがベルモンド一族をかなり警戒している演出が入ったことで、よりドラマチックなアクションゲームになっていることも、本作の魅力といえるのではないでしょうか。

レトロゲームとしてのリメイク版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』

ポリゴンを使った2Dアクション型悪魔城ドラキュラとしては最終作にあたるという点でしょうか。プレイステーション3で『キャッスルヴァニア ロード・オブ・シャドウ』が出ていますが、あれは国産悪魔城ドラキュラとはいえない別物だと思いますので、本作が最終作になると思います。
この作風が続かなかったことからマーケット受けが(会社が考えていたほどには良くなかったという意味で)悪かったことも、この作風が続かなかったことからも伺えます。とはいえ、レトロゲーム発掘の真骨頂とは、当時の世論に左右されることなく、自分が本当に良いと思うものを見つけること。本作でプロデューサーを務めた五十嵐さんが後に手がける『ブラッドステインド リチュアル・オブ・ザ・ナイト』は探索型とはいえ、すべてポリゴンで表現してカメラアングルも凝った演出をするなど、本作の延長上にある作品ともいえます。
このように五十嵐さん作品の系譜をたどっていく上でも、非常に面白い作品ではないでしょうか。

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