【良作発掘】『BloodStained -Curse of the Moon-』――8bit風に描かれる悪魔城ドラキュラ×月風魔伝テイストのアクションゲーム。

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『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』は、後期悪魔城ドラキュラシリーズを手がけてきた五十嵐孝司(IGA)氏がキックスターターで資金援助を募った新作メトロイドヴァニア系ゲーム『ブラッドステインド リチュアル・オブ・ザ・ナイト』の公約にあった8bit風アクションゲーム開発の約束が果たされたものです。この記事では、『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』のゲームレビューを行ないたいと思います。

※2018年6月17日20時、画像追加、記事加筆しました。






ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、PS4、XboxONE、PSVITA、ニンテンドースイッチ、ニンテンドー3DS、steamなどで、2018年5月24日よりダウンロード販売を開始した、『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』。

本家コナミからまともな悪魔城ドラキュラシリーズが出ない間隙を狙った、悪魔城ドラキュラシリーズみたいな8bit風2Dアクションゲームです。

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どんなゲーム?
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レトロゲーマー向けにひと言で本作を言い表すならば、「21世紀によみがえった悪魔城伝説(ドラキュラ3作目)」でしょう。

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(ロウソクのかわりにカンテラが置いてあります)

主人公は、本編『ブラッドステインド リチュアル・オブ・ザ・ナイト』の登場キャラクターの1人である悪魔に月の呪いをかけられた侍・斬月(見た目はガブリエルだけどほとんど月風魔です)。カタナで敵をバッサバッサと斬り倒していきます。

各ステージのボスを倒すと、封印されていた者たちが解放され、仲間にすることが可能。仲間になるのは、ムチ使いのミリアム(ベルモンドっぽい女の子 ※奪われた刻印の設定も入っているよ)、錬金術師のアルフレッド(サイファ・ヴェルナンデス枠のおじいさん)、コウモリに変身できるジーベル(使い勝手のいいアルカード枠)の3人です。

『悪魔城伝説』との大きな違いは、『悪魔城伝説』が「主人公ラルフのパートナーを1人だけ選ぶ」だったのに対して、『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』では、3名全員を仲間にして、自由に選択できるということ。ライフも全キャラ共通ではなく、キャラごとに設定されているあたりは『コナミワイワイワールド』的といえるかもしれません。

悪魔城ドラキュラシリーズ同様に、サブウェポンが存在し、こちらも各キャラごとに別々のサブウェポンを装備することができます。斬月では苦戦する場所が、ジーベルだと楽勝…というように、キャラ性能と攻撃方法の特徴を考えて、その場でキャラチェンジをして進めていく感じ。このプレイ感覚も『コナミワイワイワールド』的です。

各ステージには、各キャラクターの能力を使うことで進めるルート分岐が存在し、その時には、攻撃力UP、防御力UP、ウェポンポイント上限UP、ライフ上限UPといった強化アイテムが置いてある仕様。つまり、さまざまなルート探索をすれば、プレイの度に発見があり、ゲームを進めやすくなるご褒美もあるというわけです。このあたりも、『コナミワイワイワールド』に似ていますね。

本作について、ファミコン時代の悪魔城ドラキュラ風ゲームと評されることが多いし、たしかにそれも事実なのですが、『悪魔城伝説』の雰囲気をした『コナミワイワイワールド』のようなライトユーザー向けというのが、個人的な感想です。


8bit風ドットで描かれた世界!
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本作は、ファミコンっぽい色使いでゲーム画面が構成されています。正確には、ファミコンよりも色数を使っていたりとか、ファミコンでこのサイズは動かせないとか、ファミコンではこの多重スクロールはムリだとか…。ツッコミはたくさん入れられるのかもしれませんが、それは野暮というもの。

本作は、「8bitゲームマシンのif進化のカタチ」です。

私たちのいる世界線では、ゲームハードは、使える色数とスプライトがともに増えて、ゲーム画面が華やかになっていったわけですが、『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』はなぜか色数は増えなかったけど他の部分は進化した…そんな別世界線で生まれたゲームと考えるべきでしょう。

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(ステージスタート。各ステージにタイトルが付いているのは『悪魔城ドラキュラ 血の輪廻』のオマージュですね)

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(背景の森に使われている黒シルエットの感じは、実に『悪魔城伝説』的。手前の木の描かれかたもいいですな)

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(斬月は魔の気配を追って、産業革命の象徴、蒸気機関車の駅舎へ向かったのだが…)

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(斬月のサブウェポンの1つチェインウィップ。斜め上方の敵に対して攻撃を行なえる)

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(怪しいところを攻撃するとアイテムや隠し部屋が出てくることも。ただし、MSX2版のようにオッサンは出てこない。残念)

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(戦いは列車の中へ。窓の外の背景が流れていたり、シャンデリアが揺れていたり。細かいところもきちんと描かれています)

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(手前の木が高速で流れていったり。暗雲が不吉に蠢いていたり。はるか向こうに見える月とシルエットの悪魔城が美しい)

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(当時はかなり工夫しないと描けなかった巨大ボスキャラ。これは機関車の化物で、手で石炭を腹の中に入れて攻撃してきます)

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(ボスが仕掛けてくる全体攻撃は、一見回避不可能に見えます。しかし、よく観察すれば、どこかに安全地帯か突破方法があるもの)

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(ボスを倒すと封印されていた者を救出できます。『悪魔城伝説』のように会話をして、必要最低限の情報だけがプレーヤーに与えられる流れ)

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(1人目の仲間はムチ少女ミリアム。闇の力を結晶にして体内に埋め込んだシャードリンカーであり、『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』のシャノアと同じような設定です)

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(湖に浮かぶ三日月が美しい。ちなみに、ステージ1よりも月が満ちているじゃないですか。コレ、実は伏線だったりします。早すぎるよね)

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(水の流れに逆らいながら進んでいくこのシチュエーションは、『ドラキュラ伝説II』のオマージュかな)

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(ミリアムのサブウェポンの1つ三方向投げナイフ。これ、全編にわたって使える武器なので、個人的に最後まで使いつづけます)

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(んっ!? 闇の彼方から、何かが飛んできたぞ)

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(2人目の仲間は錬金術師のアルフレッド。リーチは短く、ライフも少なく、一見すると使えないおじいさんなのだが、実はボス戦で大活躍する)

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(ガトリングガンのように矢を撃ってくる敵に対しても、サブウェポンの1つファイアシールドでのぞめば、一気に距離を詰めることができる)

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(『悪魔城ドラキュラ ギャラリー・オブ・ラビリンス』のような、かなり昔の作品『ウシャス』のようなステージ)

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(無数のトゲがついた吊り天井が斬月に襲いかかる!『ドラキュラ伝説』終盤のオマージュかもしれません)

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(砂と溶岩に生まれた墓所の最奥に眠っていたのは、黄金の山!?ここで世にも恐ろしい攻撃がくり広げられる!)

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(『悪魔城伝説』ではポンコツだったアルカード。しかし、ジーベル先輩は『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のアルカード並に使えます)

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(そして舞台は空中庭園へ。Wicked Childはかかりませんが、まあ、おんなじ感じに鳥が飛んできて、跳ねる敵を大量に投下していきます)

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(二つの塔ならぬ三つの塔を制覇していくステージ。いくつも設置された鐘を通り抜けていく展開は、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のオマージュかな)

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(『悪魔城ドラキュラXクロニクル』で出てきた、裏ステージ5のボス・ヒドラを思い起こさせる三つ首竜がパーティを襲う!)

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(そして戦いの舞台は幽霊船へ。このあたりは『悪魔城伝説』的であり、『悪魔城ドラキュラX 血魔の輪廻』的な展開ではあります)

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(外に出ると天候は悪化していた。大雨が降り注ぐ中、甲板で斬月たちと魔物たちの戦いはつづく)

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(幽霊船に浮かぶ絵画…。まんま『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』のあの展開やんけと思うものの、コイツ、一撃必殺攻撃を持っているので要注意です)

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(気象攻撃を仕掛けてくるこのボスにはミリアムが最適。機動力とジャンプ力で敵の背後に回り込んで、ピンチをチャンスに変えろ!)

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(激闘が終わると、悪天候がウソのように晴れわたる。そして、ついに悪魔城が目の前に姿を現す。本当の戦いはこれからだ!)


ゲームバランスが大雑把…に見えるが!
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さて、そんな『ブラッドステインド カーズ・オブ・ザ・ムーン』ですが、ゲームバランスがかなりゆるめに作ってあり、「こんなのクリアできないのはゆとりゲーマーだろ!?」というくらい、ユルユルのガバガバです。

例えば、この作品は性能の違うプレイキャラクターの使い分けが攻略のポイントだと思うのですが、ぶっちゃけ、主人公・斬月の性能が高いため、使い分けなくてもなんなく先に進めてしまうのです。

私はアクションゲームというのは、敵の攻撃の見極めにより被ダメージが抑えられ、効率的に敵をバッサバッサと倒せるようになるプレーヤーの成長要素こそが、「肝」と思っている人間ですので、本作のカンタンすぎる難易度には正直ガッカリしました。カンタンすぎるアクションゲームとは、大味のカレーライスに似た虚しさがあるからです。

しかし、それは早計でした。すみません。

本作は、今の時代のゲーマーに親しみやすいように、あえて通常モードの難易度を抑え、とっつきやすいように調整しているようです。1回クリアしたあとに解放される「ナイトメアモード」では、キャラの使い分けが「肝」になってきます。

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(ラスボスを倒したかに見えたが、暴走した闇のチカラがパーティを襲う。その危機を救ったのは斬月!戦いを通じていつしか利用するだけの存在だった3人のことを思う人間の気持ちをとり戻していたのだ!しかし、チカラに飲み込まれた斬月は新たな魔王となってしまう!)

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(魔王となった斬月の魂を救うため、ミリアム、アルフレッド、ジーベルの3人は、新たな悪魔城へと向かう。ちなみにこの燃える展開は、ご存知、『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』の蒼真魔王エンド後のオマケモードのオマージュ)

というわけで、通常クリアした後には、主戦力である斬月抜きで、全ステージをクリアし直すという「ナイトメアモード」が解放されます。

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サムライである斬月の心が反映されているのか、「和」をモチーフにした地獄ステージが追加され、3人はそれぞれのコースに分かれて、斬月と再会するために激闘をくぐり抜けます。その先に待ち受けていたのは、変わり果てもはや救いようがない斬月その人でした。

ちなみに、

通常モードで、ミリアム、アルフレッド、ジーベルに話しかけることなく、剣で斬りつけて倒してしまうと、ソウルアーツという新しいアクションを手に入れることが可能。そのチカラを身につけた状態で斬月一人でクリアすると、新たなアクションと敵の難易度が上がった「アルティメットモード」が解放されます。

登場ボスとの連戦を味わえる「ボスラッシュモード」に至っては、使用アイテムと回復ハートの数が限られているため、体力の高い斬月でダメージを受けつつ、ここぞというところでキャラチェンジして大ダメージを狙うという戦い方が求められ、これが結構遊べたりするのでした。


まとめ
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8bit風ゲームというと大半のモノは褒められたものではありませんが、本作は別格。980円という価格分は充分遊べるでしょう。ファミコン時代のコナミ作品の色づかいがよく再現されています。サウンドチームには山根ミチルさんの名前もありますしね。

その一方で、980円ゲームの限界というのもあります。ステージ内の演出が凝っているのは1面だけですし、ゲームボリュームもフルプライス作品に比べると少なめ。しかし、そこは価格のこと、本作が本編の序章というプロモーションということを考えるべき話。

そこそこの期待値でのぞめば、大満足の作品だと思います。オススメです。


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