
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1992年2月、メサイヤからPCエンジンSUPER CD-rom2用シューティングゲームとして発売された『超兄貴(ちょうあにき)』。巷は「バカゲー」とも言われている本作だが、個人的にはそんなひと言では片づけられない魅力があると思っている作品です。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『超兄貴』とは

ひと言でいうと、「お手軽に楽しめる筋肉シューティング」です。
もともとは、メガドライブで発売されていた『ジノーク』という神々と悪魔の戦いを描いた神話系シューティングの移植作として開発が進められていました。ところが、『ジノーク』が地味な作品だったため、PCエンジンでセールスを上げるためには何かインパクトのある追加要素が必要ということに。タイトルを変えようということでいくつもの案が出され、その中に『超兄貴』が出てきたそうです。「これにはすげえ言霊を感じる!」とスタッフが盛り上がり、カッコイイメカばかり描いていたデザイナーは急に筋肉を描き出し、荘厳な曲ばかり上げていた葉山宏治氏は急にノリノリな変な曲を量産しだし、次々と湧いてくるアイデアによって『超兄貴』という作品は生まれました。ところがタイトルに難アリと問題になり、一度、『超羅漢マッチョシューター』とタイトルが変わってしまったのですが、スタッフの直訴によって『超兄貴』に再び変更。無事に日の目を見ることになったとのことです(PCエンジンFANの記事の記憶より)。
なので、本作はたしかに一見すると「バカゲー」なのですが、もともときちんと遊べるシューティンクゲームとしての『ジノーク』が下敷きとしてあり、世界観も『ジノーク』をベースとした筋肉アレンジとなっているため、ふざけてはいるのですがふざけすぎていないというか、筋肉&ハードゲイ方面にアクセルを踏み切れていない感じが、独特の世界観を作りだしていい感じです。
『ジノーク』という原作があったこともあり、シューティングとしてきちんと遊べるクオリティが保たれているものの、当たり判定が大雑把だったり、メンズビームを多用していれば先に進めてしまうざっくりとした作りが、これまたいい味になっていて、子どもも大人もおねーさんも楽しめるシューティングゲームになっています。
本作は、「イダテン」か「ベンテン」を選び(攻撃方法が異なる)、敵を倒しながら進んでいくサイドスクロールシューティングです。特定の敵を倒すと「プロテイン」が排出され、接種すると「ビルドアップ!」のかけ声とともに自機がパワーアップします。また、特定の敵を倒すと、「アドン」と「サムソン」という人間界の王子2人をオプションとして付けることが可能に。彼らにも「プロティン」を摂取させていかないと、弾が弱くて後半苦労するのでご注意を。「アドン」と「サムソン」はオプションですが生身なので敵の弾を受けすぎると「アニキ…」と声を出してやられてしまいます。なので、本作では『グラディウス』とは違い、オプションの敵の弾に当たらないように気をつけなければなりません。ちなみにですが、隠しオプションとして「うみにん」と「エンジェル」もいますが、半裸のマッチョがクルクル回転しているほうが絵的に面白いので「アドン」と「サムソン」がオススメです。
『超兄貴』のストーリー

大銀河ボディビルコンテスト10連覇を果たした、ビルダー星の帝王ボ帝ビルにも不安があった。母星の残有プロテインが底をつき始めたのだ。
筋肉こそ最高の美徳とする文化のため、近隣の惑星は無差別侵攻を受け、ビルダー軍の支配下の下、プロテイン発掘プラントを作らされていた。
この様子を展開で見ていたイダテンとベンテンは、これをよしとせず、行動を開始する。イダテンとベンテンの2人は、ビルダー軍に侵略された惑星の王子、アドンとサムソンを救出。
彼らとともに侵攻を受けた星を巡り、ビルダー軍を駆逐しつつ、ビルダー星を目指した。
『超兄貴』のダイジェスト








『超兄貴』の魅力

『超兄貴』は、偶然の産物かもしれないのですが、笑いとゲームの黄金比を実現しているゲームだと思うんですよね。一見すると、アクが強いキャラと世界観の気がするのですが、くり返しプレイしても食傷気味にならない。何度でも楽しめる。何度でも笑える。それこそが『超兄貴』の凄さだと俺は思っています。
本作の掴みが上手いのです。大爆発音からのジャイアンリサイタルみたいな音楽がかかり、「銀河ボディビルコンテスト」「10連覇」「ボ帝」「残有プロテイン」「各星に侵攻」「イダテンとベンテン」というパワーワードとツッコミどころしかないストーリーが展開。そして多くの謎を残したまま、ジャーンとタイトル画面に。ゲームが始まれば、およそシューティングゲームの1面の曲とは思えない「らぁ~らら~らら♪」という変な男の歌つきの変なBGMが流れ出し、そのあまりに面妖な世界観にクラクラします。見れば、善良な市民が檻に入れられて輸送されているところを襲撃する緊迫感あふれるシーンのはずですが、全然そんな感じがしないまま、ゲームは進んでいくのです。
一般的な「シューティングゲームはかくあるべき」という文法をほとんど守っていないんですよ、『超兄貴』って。それは、下手すると違和感しか湧かなくなるのですが、本作の場合は、グラフィックとBGMで構成される面妖な世界観のインパクトが強すぎて、守らていない文法も「良し」というか、「だって超兄貴なんだもん」と思わせる何かが生まれて、かえって新鮮な感じになっているんですね。それが最終ステージまでずっと続くわけです。こういうところが『超兄貴』の魅力なんだろうなと思います。
レトロゲームとしての『超兄貴』

ゲームと笑いの黄金比を実現しているのは初代『超兄貴』だけで、続編である『愛・超兄貴』は新しいことに挑戦しようとして成し遂げられなかった感があり、『超兄貴 究極無敵銀河最強男』にいたっては笑いのセンスも悪くなり、『超兄貴 聖なるプロテイン伝説』では完全に迷走。初代は別格なんだなということは、シリーズ作品を通してプレイしてみるとよく分かります。また、こうした思索&プレイができるのも、レトロゲームならではの楽しみかただと思います。
これは推測の域を出ないのですが、『超兄貴』の一部ステージはメガドライブの『鋼鉄帝国』の影響を受けていると思っていて、ボスの攻撃の仕方などがオマージュといって過言ではないほど酷似しています。機関車トーマスによく似たヤエモンのあたりに『鋼鉄帝国』を感じるのですが、俺の気のせいでしょうか(笑)
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