
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回は、いつもと趣きを変えて、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』に登場する宿敵、大魔王ミルドラースについて語っていきたいと思います。さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
不遇の魔王、ミルドラース
スーパーファミコン版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』において、大魔王ミルドラースはとても存在感の薄い魔王となってしまっています。というのも、その名前が明らかになるのは、本当にラストのラストだからです。主人公の父パパスを殺すなど主人公の前に何度も立ちはだかるゲマ、前作から再登場でとてつもない強さを誇る裏ボスのエスタークの挟まれ、「あれ、なんだっけ。あの二段階返信する赤い太ったドラゴン」と言われてしまうのが、大魔王ミルドラースでした。
個人的な憶測でしかないのですが、スーパーファミコン版『ドラゴンクエストV』は難産だったと思っていて。それはおそらく、モンスターを仲間にするといった前代未聞なことをやったことによるゲームバランス調整がとても大変で、作品としての細かいディティールまで精度を磨けなかったのでは?などと考えています。その結果、ラスボスの存在が希薄になってしまったのではないか、と。
そんな大魔王ミルドラースですが、リメイク版であるプレイステーション2版以降は、どういう魔王であったかという説明が追加されています。
大魔王ミルドラースの正体
・実は人間だった
・神を超える力を欲して、魔物に転生した
・その方法は、「進化の秘法」と「黄金の腕輪」
・マスタードラゴンと戦い、魔界に追いやられた
・結界が強くて地上には出られない
・結界を司るエルヘブンの者に扉を開かせようとしていた
・しかし、自力で結界を破れるまでに進化
はい、ここでおさらいです。
前作『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に出てきた自国の帝王エスタークは、魔族でありながら「進化の秘法」を使ってマスタードラゴンと互角に戦えるだけの力を付けました。しかし、それでは進化が不完全だったため、マスタードラゴンに敗れ、地下深くで永い眠りにつくことになります。
前作『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に出てきたデスピサロは、恋人のロザリーを人間に殺された怒りと悲しみによって、「進化の秘法」と、それを完全なものにするために欠かせない「黄金の腕輪」を使って、エスタークを超える完全な進化を遂げることになりました。しかし、心に残っていた優しさが仇になったのでしょうか。天空の勇者と導かれし者たちによって滅ぼされてしまいます。
つまり、
ミルドラースは、エスタークが初めに考案し、デスピサロによって完成された「進化の秘法」を使って、もっとも光の陣営にとって大きな脅威となった大魔王ということです。
興味深いのは、彼はもともと人間だったにも関わらず、人造進化によって魔物になってしまったという点でしょう。
しかし、その力はすでに強大で、マスタードラゴンの力をもってしても倒すことはできませんでした。そのため、魔界に追いやるのが精いっぱいといったところ。しかし、あれだけ巨大な魔力を持つ存在は、世界の法則によって作られた結果を破って地上に戻ってくることはできません。これで、事態は解決するはずでした。
ところが、ミルドラースは凶悪な魔物が跋扈する魔界においても進化を続け、ついには、魔界全土を統治。魔界の王と君臨することとなります。さらに、進化を続け、ついには自力で結界破りができるまでになるのです。世界の法則を超越した存在。それが、大魔王ミルドラースなのです。
ユア・ストーリーのミルドラース
実は、映画版『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』のミルドラースは、この原作の設定に則っていることにお気づきでしょうか。
・「人間」から誕生した
・独自に進化していく存在
・世界の外にいる
・世界の法則を破る力を持っている
一見すると、唐突感のあるコンピュータウイルスですが、実は、原作のミルドラースの上記4つの要素を抑えており、主人公が対峙するべき驚異の再解釈としては、なかなか面白いんじゃないかと俺は思っています。
今回はこんなところで。それでは!


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