【良作発掘】『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)――難産だったと推測されるモンスター勧誘ドラクエ!親子三代にわたる大冒険譚!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘したのは、1992年9月にエニックスがスーパーファミコン用RPGとして発売した『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。前作『ドラゴンクエストIV』から続く天空編の第二部であり、前作から数百年後の世界を描いた物語となっています。名作と語られることの多い本作ですが、個人的には「もっとすごいことを狙っていたのではないか?」と思うところもあり、主人公のモンスターを仲間にできる能力がストーリーにそれほど影響がない(必然性がない)ところなど「まとめきれなかった」感を感じる一作。とはいえ、ナンバリングタイトルに恥じない完成度の挑戦作だったと思います。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)とは

『ドラゴンクエスト』のナンバリングタイトル5作目であり、スーパーファミコン初の『ドラゴンクエスト』でした。本作の大きな特徴は2つ。1つ目は、ゲーム中盤から導入されている「モンスターを仲間にできるシステム」です。2つ目は、ゲームのストーリーに時間の経過が組み込まれており、「幼少期」「青年期(前半)」「青年期(後半)」の三部構成で、大体20数年にわたる物語が描かれていること。そしてサブタイトルにあるように、自分のパートナーを選ぶ結婚イベントがあり、2歳年上の幼馴染ビアンカを選ぶか、大富豪の箱入り娘フローラを選ぶか、究極の選択に悩んだプレーヤーも多かった作品です。

そんな『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を仕様の面から紐解いていくと、おそらく「モンスターを仲間にできる」というシステムが先にあったと推測されます。それは前作『ドラゴンクエストIV』が「ルイーダの酒場を介さず、馬車内でパーティ編成を変えられるRPG」だったことを考えると、それよりも先を目指すと考えた時、「仲間になるものの数が前作よりも多い」&「ストーリーに組み込まれていないランダムな出会い」になると思われ、「モンスターを仲間にできる」システムに行き着いたと思われるからです。モンスターが仲間になるかどうかがランダム制だとすると、周回プレイを想定するとストーリーは一本道のほうがいいのは『ドラゴンクエストIII』で実証済み。一本道のストーリーを『ドラゴンクエストIII』と被らない冒険譚にするために、「勇者らしくない主人公」「魔王討伐が目的ではない」というコンセプトで考えられていったのでしょう。本作のラスボス・ミルドラースの存在感が薄いのは、「魔王討伐が目的ではない」というコンセプトを考えると納得がいきます。

そんな『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』ですが、俺は相当難産だったと見ています。実際、開発期間が延びて、発売日も数回にわたって延期されており、それはメインプログラマーが開発中に独立したこととも言われていますが、俺は初期構想の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は今よりもっと違った形だったのでは?と邪推しています。その理由は、3人パーティ制であることです。これはおかしい。どう考えてもおかしい。前作まで4人パーティだったものをわざわざ減らす必要なんてないからです。

では、なぜ3人パーティ制にしたのか。実は『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』のように、マスター(主人公)が指示を出し、パーティに入っているモンスター3匹が戦うという戦闘を想定していたのではないでしょうか。ナンバリングタイトルでそれだけのゲームチェンジをするのはリスクが高すぎるため、開発途中で断念したのではないかと。そんな妄想をしています。

もう1つは、仲間にできるモンスターの数。このシステムをやるなら「ボス以外のモンスターすべてを仲間にできる」をやらないと意味がないと思うのですが実際は違います。リメイク版では仲間にできるモンスター数が増えていることから、このスーパーファミコン版での妥協・諦めがあったのは間違いないでしょう。そして、このモンスターを仲間にできることにより、ゲームバランス調整が大幅に複雑化したことも想像がつきます。

ここに書いたことは俺の推測の域を出ないことばかりなのですが、あらためてプレイしてみると、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』には振り切れなさ、中途半端さを感じるところはあるのです。かといって、本作がつまらないということはなく、むしろかなり遊べるすごい作品なのは間違いないのですが、「もっと先があったっぽい」と思うところから個人的には「名作」ではなく「良作」とさせていただいています。ゆえに、他のシリーズよりも出来が悪かったからこの記載というわけではないのでご了承ください。

そんな『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』とは、どんな物語だったのでしょうか。

『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)のストーリー

――今ではない時、ここではない場所。
王宮の一室と思われる部屋で一人の男が何かを待っている。そして響きわたる赤ん坊の泣き声。子どもが生まれたのだ。男は愛する妻の近くに駆け寄り、ねぎらいの言葉をかける。子どもに名をつけて、幸せな日々が始まる…はずだった。しかし、妻は突如苦しみだし、何かを察するように赤ん坊は激しく泣きはじめる…。

ハッと目が覚める少年。ここは船の中だった。少年は父親と2人で世界中を旅している。そして今は、数年ぶりに故郷の村サンタローズに戻るところだった。船が桟橋にさしかかろうとしていた。急いで船を降りようとする少年を父パパスは微笑みながらたしなめる。船着場からサンタローズはすぐ近くだ。強くて頼りになる父親との2人旅。その先に待ち受ける悲劇と過酷な運命を、この時の少年はまだ知らない。

『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)の魅力

『ドラゴンクエストIII』との対比という話をしましたが、『III』が「父親の背中を追っていき、最後の最後で父親を超える展開」だったのに対し、本作は「父親といっしょに旅をして、早い段階で父親から思いを受け継ぎ、父親の果たせなかった夢を追う展開」になっています。これは、作品としての明確な差別化であるとともに、「幼少期」「青年期」と時間経過による章構成と世代交代を意識させる仕掛けでしょう。

堀井雄二さんもインタビューで「少しやりすぎたかも」とおっしゃっていますが、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は「他の誰かの人生を体験できる物語」でした。他のシリーズに比べて、主人公周りの設定が固まりすぎており、プレーヤーの想像が入る余地が少なめです。そんなドラクエもアリというポジションを築いているのが、本作の魅力の1つです。

個人的には、青年期(前半)に漂う「ビアンカに会いたい」とプレーヤーに思わせる演出が上手いと感じました。「背が伸びて逞しくなった自分を見て、あの子はどう思うかな?」と思って、懐かしのアルパカの町に行ったら引越してしまっていて。その後の行方が分からなくなっていて。諦めて旅を続けていくうちにフローラとの縁談で迷うタイミングで、美しく成長した姿で再び現れる。劇的ですよね。そして、忘れられない女性は忘れられると思ったタイミングで現れるという人生の本質みたいなところを突いていて、俺は堀井雄二さんが書くシナリオのこういうところが好きなんですよ。

反対にフローラを選ぶと、義父であるルドマンから何回か贈り物が届けられるのですが、その中身が「本当に欲しい物から少しズレている」という当たりも、結婚後に義父や義母から孫ちゃん宛てに送られてくるプレゼントが大抵そんな感じで、向こうも途中から気がついて現金を送ってくるようになるあたりも、結婚あるある話で面白いですね。

モンスターが仲間になるシステムによって、ゲーム中盤以降の戦闘に「経験値とお金を稼ぐ」以外に「仲間になるモンスターを探す」「仲間にしたモンスターを育てる」という意味が付加されたことも大きいです。ドラゴンクエストのような昔ながらのRPGはプレイ時間の大半がバトルなわけで、そのバトルに新しい意味が加わるだけでプレイ感覚がガラリと変わります。

そして、鳥山明先生デザインのかわいくもかっこいいモンスターとこのシステムの相性も良かったです。最初は数合わせで入れた暫定メンバーだったモンスターといっしょに旅をしてピンチを何度もくぐりぬけているうちに、「お前のなしの旅は考えられない!」と思うまでの愛着を感じ、でも激化していく戦いの中で戦力不足を感じて泣く泣く3軍落ちさせる。グラフィックと数値データしかないモノに対して、こんな感情を抱いてしまう。不思議ですよね。不思議なんですよ。

本作におけるモンスター集めは、最高の戦闘集団を作るためではなく、家族づくりなのかなと思います。母の愛を知らず、父とも幼い頃に生き別れた主人公が、その寂しさを埋めるかのように、どのようなものに対しても差別や偏見なく受け入れていく。そんなあたたかい力で魔と対峙していく物語というところが、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』なんだろうなぁと思ったりします。

レトロゲームとしての『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)

レトロゲームとしての『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(スーパーファミコン)の魅力はですね、スーパーファミコンの能力をどこに使おうか定めきっていないところですね。本作より戦闘背景が付くことになりましたが、雲が流れていたり、毒沼の地形に合わせていたり、本作だけのアイデアも多いです。敵の表示が、地上・空中に分けられていたり、同一モンスターが重ね表示されているのも本作だけ。街や洞窟の移動も1マスではなく半マス単位で動けるようになってかえってやりにくさを感じたり。こんなふうに進化の過程を味わえるのは、スーパーファミコン版ならではの楽しみといえます。

また、同時期に発売されたのが『ファイナルファンタジーV』です。最先端のグラフィック、演出、ゲームシステムを兼ね揃えたFFに対して、ひと昔前のゲームという印象になってしまったのが、このスーパーファミコン版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。ここから「DQを超えるのはDQだけ」というキャッチコピーの『ドラゴンクエストVI 幻の大地』につながっていくわけであり、そういうレトロゲーム史を体感する上でも非常に面白みのある作品だと思います。

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