『ファイナルソルジャー』――シリーズ最終作と思わせて、まったく異なるソルジャーがやってきた!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、ハドソンが1991年7月5日に発売したPCエンジン用シューティングゲーム『ファイナルソルジャー』。第7回キャラバン公式ソフトです。 しかし本作は、数多くのキャラバン戦士たちの期待を裏切った作品かもしれません。なぜかというと、かなり『スターソルジャー』っぽくないのです。

「どこがファイナルやねん!」と思った方もいるかもしれません。本作にダメと烙印を押してしまった人もいたかもしれません。しかし、それは違います。本作はきちんと遊びかたさえ間違えなければ、かなり良いシューティングなのですから。さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていきましょう――。
 

『ファイナルソルジャー』のストーリー

時は23世紀初頭。平和であった地球に最大の危機が訪れた。太平洋の上空2000マイルに、突如時空の歪みが発生し、おびただしい数の未来兵器が出現したのだ。時間と空間を自由自在に操る生体兵器”ガデルエル”の率いるその兵器群は、25世紀の未来超大国が人類の歴史を変えんとするために、過去のあらゆる時代に送り込んできたものであった。

23世紀の地球上の各国家軍隊は、この未来からの侵略に必死の抵抗を試みたが、200年の戦闘能力の差の前では成すすべは無かった。だがその一方で、各国の科学アカデミーが総動員し、当時の科学の粋を結集して一機の戦闘機を作り上げた。史上初の時空航行システムを搭載し、各国軍部内機密の新兵器を搭載したこの戦闘機は”零式(れいしき)ドライアード”と命名され、対未来超大国への最後の切り札として、備えられたのである。

すでに20世紀の地球では、ガデルエルによって大規模な破壊と殺戮が引き起こされていた。そして23世紀の地球においても、ガデルエルの魔の手は地上から宇宙へとのびていた。過去、そして現在の地球を守るため、ドライアードは未知なる時間の彼方へと旅立っていく…。
 

作風を変えてきた『ファイナルソルジャー』

本作をスターソルジャーシリーズの1つと考えるのであれば、大きな変更点は、敵の出現の仕方です。

スターソルジャーシリーズの敵出現の特徴は、「テーブル制」といって、敵が編隊ごとに現れて、編隊を全滅させると次の編隊が現れるというものでした。これによって、早く敵を倒せば、早く次の敵が現れて、より多くの得点を稼ぐことができたわけで。この仕掛けこそが、上手くなればうまくなるほど戦いと点数稼ぎが熱くなっていくスターソルジャーシリーズのバトルを形成していたといっても過言ではありません。

しかし、本作ではこの特徴を撤廃。一般的なシューティングゲームのように、敵の出現位置が決まっている「配置制」になりました。その結果、いつも通りに早く敵を撃破すると、次の敵が出てくるまでまったく敵が出てこない時間が発生。結果として、ゲームのテンポを著しく悪くしてします、いままでのシリーズに慣れているとイライラしてしまいます。
 

デザインについても、不満があります。自機も、敵も、なんかカッコ悪いのです。色づかいはこれまでのシリーズが鋼鉄っぽい色だったのに対して、明るい色になったため、パチモノロボットのプラモデルを見ているみたいといいますか。語弊のある言いかたになっちゃうんですが、『テラクレスタ』みたいな感じ。

いや、実際はグラフィックは綿密に描かれているし、決して悪くない、むしろ結構頑張っているのですが、スターソルジャーっぽくないということだけで印象が悪くなってしまったのでしょう。
 

あと、これは偶然かもしれないのですが。
『スターソルジャー』というゲームはそもそもテクモの『スターフォース』の続編『スーパースターフォース(仮)』として作られた作品だったのですが、テクモが『スーパースターソルジャー』という正統続編を自前で作っていたため、名前を変えて発売したという経緯があります。

で、『ファイナルソルジャー』のストーリーなのですが、いろんな時空を飛びぬけていくという展開が『スーパースターフォース』と似ているわけで。なんでこういう、一度『スターフォース』から離れておいて、もう一回寄せてくるのかな?という個人的な思いがなくもありません(笑)。
 

キャラバンシューティングは、なぜ、迷走するのか

同じ作風で作ってくれればいいのに、毎回ヘンなことをして、『スターソルジャー』からどんどん離れていく…。そんな印象もあるハドソンのキャラバンシューティングゲーム。その理由は、キャラバンシューティングだからだと、私は推測しています。

キャラバンはお祭りです。今回初出場という方も気軽に参加できるイベントであるべきでした。もし、対象作品が、『スターソルジャー』と同じような作風で、続編みたいなゲームばかりだったとしたら。前作のテクニックが活かせる作風だとしたら。前作やりこんだプレーヤーが有利になってしまう。それはフェアではありません。

だから、キャラバンシューティングは毎回作風を変えてきて、発売とともにみんな一斉に練習を始められるという公平さが必要だったのではないでしょうか。「今回はこういう作品なのか!」と、全国のキャラバン戦士たちがイチからウデを磨いていく。このような流れを作るために、あえて外してくるような、毎回違う作風になったと推測できます。

だとすれば、『ファイナルソルジャー』は、どんなシューティングゲームを目指したのでしょうか?
 

本作は、「STE-UP」が展開をアツくするSTGだ!

『ファイナルソルジャー』で注目すべきポイントは、タイトル画面から選べる「SET-UP」です。

これで、自機の攻撃方法を自由に変えることができます。例えば、レーザーの攻撃方法だけでも、「SPEAR(前方だけの極太レーザー)」「SHORT(前方だけの連射レーザー)」「BUBBLE(前方への拡散レーザー)」の3通りから選ぶことができます。

同様に、エナジービーム、ファイヤー、ミサイルの攻撃方法を変えることができます。つまり、自分の使いやすい攻撃方法にカスタマイズできるわけです。 分かりやすく言えば、 『グラディウスIII 伝説から神話へ』のパワーアップカスタマイズみたいなもの。自分好みの兵装に変えていいし、攻撃方法を変えてくり返し遊んでもいい。『ファイナルソルジャー』とは、そういう作品なのてす。
 

(グラディウスIIIのウェポンセレクト)

とすると、敵の出現方法がテーブル制じゃないことも納得できます。テーブル制だと、敵がの編隊が現れたときに瞬時に敵を倒せる武器が選ばれてしまう。せっかく武器の自由度があるのに活かせなくなってしまいます。だから、フツウのシューティングのように配置制にして、「敵が出現する場所は決まっています。倒しかたはご自由に」としているわけです。

つまり本作は、「武器の組み合わせをいろいろ試して、浅く広く遊んで、気に入ったスタイルを追求していくシューティングゲーム」を目指していたと考えられます。

これって、実はかなりの大冒険ではないでしょうか。

というのも、これまでのキャラバンシューティングゲームって、速く効率的に多くの敵を倒していく方法を探るという1つの道を極めていくゲームだったのに対し、いろいろな道を用意して道選びから戦いは始まっているゲームにモデルチェンジしたわけですから。

しかし、このような冒険ができたのも、2分間モードと5分間モードが従来のスターソルジャーシリーズだからこそ。そうです、本作の2分間モードと5分間モードと、ノーマルモードは、全く違うゲームになっています。

しかも、2分間モードと5分間モードはキャラバンシューティングシリーズ屈指の完成度を誇ります。やればやるほど高得点につながる面白さ。つまり、『ファイナルソルジャー』は正しい遊びかたさえ分かっていれば、これまでのソルジャーと新しいソルジャーが入った決定版(ファイナル)といえる作品であり、かなりお買い得な逸品だったのです!
 

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