【名作発掘】『グラディウスIII 伝説から神話へ』─―殲滅戦争ついに終結!虚空に散ったすべてのバイパーたちに敬礼!

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人類は、ついにこの時を迎えるに至った。仇敵バクテリアンとの最終決戦である。サラマンダ軍、特殊部隊GOFERを打ち破ってきた惑星グラディウスの戦力を脅威と感じたバクテリアンたちは、いよいよ総力をもって侵攻を進めてきたのだ。バクテリアンとの対話は成り立たない。彼らに敗れるということは人類の死滅を意味する。「デストロイ ゼム オール!(殲滅戦を開始せよ!)」。拳を振り上げ、歓声をあげる若きビックバイパー乗りたち。しかし、彼らはまだ知らない。この戦いがかつて経験したどんな戦争よりも長く、どれほど凄惨な結果が待ち受けているかを。

グラディウスサーガ第三章がついに幕開く。さあ今宵も、時代に埋もれしレトロゲームの歴史を紐解いていこう――。






ブログ代表
レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。今回発掘したのは、コナミが1988年にアーケードゲームとしてリリースした『グラディウスIII 伝説から神話へ』。まさにシューティングゲームの“伝説”となった前作『GOFERの野望』の正統な続編であり、惑星グラディウス宇宙軍とバクテリアン軍の壮絶な最終決戦が描かれた作品です。



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ビックバイパー 伝説から神話へ そのストーリー!
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限りなく深く暗い闇の彼方、幾重にも重なる暗黒運河…。その未知なる領域より生まれいでし謎の破壊神“バクテリアン”と、惑星グラディウスを中心とする惑星連合は度重なる戦いをつづけてきた。そして、いよいよ事態は大きく動き出す。バクテリアンは、最終兵器「ダークフォース」を使用したのだ。

「ダークフォース」は、連邦政府の想像を絶する強大なパワーを持つエネルギーで全宇宙を包みこみ破壊と殺戮の限りを尽くすものだった。すべてが謎。対処方法のない理不尽かつ強大な攻撃は、グラディウス周辺の惑星を次々と呑み込み、今まさにグラディウス本星に魔の手を伸ばしつつあった。優勢を誇り、戦線を拡大させていたグラディウス軍は、この脅威に対処すべく全軍を挙げての一大防衛網を決行。総攻撃に臨んだが、このかつてないほどのダークフォースを前に必死の防衛は破られ、敗走と撤退を余儀なくされていた。


このままでは最終防衛線を突破され、本星である惑星グラディウスが陥落するのも時間の問題と思われた。しかし、幸福という選択肢はない。パクテリアンに敗れた生命体は、彼らの細胞やマシンに冒され、まったく別の生命体となり尖兵となるのだ。ここにおいて、グラディウス連邦は最後の“賭け”に出る。最後の大規模反攻作戦を決行。その隙をついてビックバイパー部隊をバクテリアンの本拠地と思われる暗黒運河へ潜入。ブレーンに対して奇襲をかけるという作戦だ。

再び超時空ファイタービックバイパーが発進。全宇宙の運命を賭け、果てしない闇の彼方へと今、飛び立つ…。大空に舞う数多のその勇姿を全兵士が見守る。希望という名の奇跡を信じて。



ビックバイパー 神か悪魔か、生死の境で戦士たちは何を見る!?
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発売から25年が立とうとしている今もなお、ファンの間で賛否両論となっているシリーズの問題作、それが『グラディウスIII 伝説から神話へ』です。その理由は、極悪なまでの難易度! そのレベルは、前作をクリアした猛者でさえも、油断をしているとステージ1で撃墜されてしまうほど。

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鬼畜の名にふさわしいおびただしい敵の攻撃、ひたすら長い火山ステージ、鬼人のごとき最強の攻撃力と防御力を誇るビッグコアmk-III、見た目よりはるかに当たり判定の大きいグローム、ゴーレムと同じように考えていると即死ぬトリッキーな動きのグレゴリー。中でも悪名高きステージ9の突撃兵器「キューブ」は、パターン(戦術)を組み立ててきた歴戦のビックバイパー乗りたちを殺すための殺戮兵器。得意とするパターン思考を捨て、脊髄反射で殺り合わなければ、撃墜は必至です。

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難易度をあげているのは、敵の攻撃だけではありません。ビックバイパーの兵装にも大きな問題があります。A~Dタイプのうち、AタイプとDタイプでは序盤戦の山場、ステーシ2の泡を乗り切るには火力が足りず、BタイプとCタイプもあくまであらゆる要素に対応し得る程度のアドバンテージしかないという仕様に。本作から導入された兵装のエディット機能にも大きな「罠」があり、使える武器はほとんどないという有様。結論、ゲームプレイには相当高いテクニック&長時間の集中力が求められます。

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では、『グラディウスIII』はやっちまった作品なのでしょうか?

私はそうは思いません。その根拠は、本作に存在する根強いファンたちの存在です。彼ら・彼女たちに「なぜ、グラディウスIIIが好きなのか」を問うと、必ずこのような台詞が返ってきます。「だって、面白いから」。しかしも、グラIIIを楽しいと答える人の中には『GOFERの野望』をクリアしていない人もいるという事実も。これは、一体、どういうことなのか。私はひとつの結論にたどり着きました。それは、

グラディウスIIIはパターン殺しのSTG

ということです。

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グラディウスシリーズには、パターン攻略という戦術が存在します。敵の登場パターンが決まっているため、どのシーンでどういう動きをすれば先に進めるというクリアの道が拓かれているのです。ゲーセンで『沙羅曼蛇』や『GOFERの野望』を長時間プレイしている人たちは、大体この戦術を身につけたビックバイパー乗りといって過言ではありません。

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注目すべき点は、本作ではパターンが通用しないランダム要素が多分に含まれているということ。これはおそらく、『沙羅曼蛇』や『GOFERの野望』の攻略状況を見たコナミが「次のグラディウスが取るべき、新しい“壁”」として設定したものなのでしょう。しかし、巧妙にグラディウスの正統続編を装いながらも、さまざまなところで見られるコンパイル系シューティングのような脊髄反射を求める展開は、これまでのグラディウス脳を持った人たちには「最悪の超難易度」と見られたのではないでしょうか。

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本作攻略のコツは、「本作がグラディウスの続編だ」という先入観を捨てるところにあると私は考えます。パターン作りとそうでない箇所を割り切って考え、戦局に応じてフレキシブルに脳を切り替えていく。この最終決戦を戦い抜くには、そんな臨機応変さ(ネオ・グラディウス脳)が求められると思うのです。

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余談になりますが、私の友人でMSX時代からのS級シューター(トップガン)のトムに言わせると、「グラIIIの攻略の果てに、俺はザナックを見た!」と言っていました。まあ、彼の場合は40度の熱が見せた幻かもしれませんが、インフルエンザなのにゲーセンに来るのは正直勘弁していただきたいですね。



ビックバイパー シチュエーションで燃えろ!絶体絶命の最終決戦!
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『グラディウスIII』を楽しむためには、バックストーリーをきちんと把握していくことも大切です。特筆すべきことは、前作『GOFERの野望』よりもグラディウス宇宙軍は劣勢を強いられているという点。バクテリアン軍の最終兵器ダークフォースによって、すでに壊滅的なダメージを負っているグラディウス宇宙軍の最後の反攻戦が本作ということを忘れてはなりません。

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そう考えると、兵装が『GOFERの野望』よりもメリットが少ないことも「限られた物資と技術力をめい一杯つぎ込んでもこれが限界」というシーンが浮かびますし、シリーズ伝統の空中戦BGM「Departure for Space」の勇ましいリズムになる前の序曲的なところも「最終決戦に命を燃やすビックバイパー乗りたちの不安⇒決意」を表しているようにも聞こえます。そして何よりも、それでも難しい本作の難易度を「激しくない最終決戦があるものか、バカモノ!」と納得できるというものです。

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本作をもって一度はゲームセンターというステージから降りてしまう、グラディウス。そして、シリーズはしばらく歴史から姿を消します。しかし、すべてが終わったわけではありません。殲滅させられたはずのバクテリアンは静かに胎動し、はるか未来の復活のときを待っているのです…。


   



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