【良作発掘】『グラディウスIV 復活』――リブートのため“伝統”を守らなければならなかった悲劇!重すぎる名作シリーズという十字架!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1999年2月にコナミよりアーケード用シューティングゲームとしてリリースされた『グラディウスIV 復活』。『グラディウスIII 伝説から神話へ』より11年の時を経て、ゲームセンターに『グラディウス』が甦ることになり喜んだのもつかの間、期待が大きかっただけに失望も大きく、激しく賛否両論が分かれた作品です。その真価はどうなのでしょうか。俺なりに考えてみました。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『グラディウスIV 復活』とは

『グラディウスIV 復活』は、『グラディウスIII 伝説から神話へ』以降11年ぶりにアーケードゲームとしてグラディウスの新作を出すという使命を帯びて作られた作品でした。ところがフタを開けてみると、姿形は『グラディウス』っぽいものの過去作が放っていた鮮烈さを失われており、グラフィックは新しいのにまったく新しさを感じない、そんな作品だったのです。

なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。

まず、理解しなければならないのは、1999年当時、11年ぶりに『グラディウス』の新作を作るということは、相当難易度が高いプロジェクトであるということです。ゲーム開発というのはセンスが要求されます。このセンスというのは、開発が完了しリリースされた市場に作品が受け入れられるかどうかを見極める目と言ってもいいでしょう。このセンスは使い続けることで磨かれるもので、逆に使わないと錆びつくものです。

過去作である『グラディウス』『グラディウスII GOFERの野望』『グラディウスIII 伝説から神話へ』が作られていた1980年代後半はアーケードゲーム黄金期といわれる時代であり、コナミにはたくさんのアーケード開発チームが存在し、ウケるアーケードゲーム開発のセンスが磨かれまくっていました。アーケード版グラディウスシリーズはそんな中で作られた作品だったのです。

ところが、1990年代後半になってくると、ゲームセンターにおけるウケるゲームの主流は大きく様変わりしていました。対戦格闘ゲーム、音ゲーがメインストリームとなり、シューティングゲームはかつての勢いを失っていたんですね。つまり、作られていなかったコナミ社内でも80年代のようにバンバン作られていなかったわけで、開発センスは磨かれる環境にはありませんでした。加えて、シューティングゲームの在り方も大きく変わっており、派手な演出の弾幕シューティングが台頭していました。

このような時代にウケる新作グラディウスのカタチはどうあるべきなのか?

それに対して明確な答えを出せなかったのが、『グラディウスIV 復活』の最大の敗因だと俺は思います。ただし、この問題は相当難しいです。結果、名作である『グラディウスII GOFERの野望』の雰囲気を残したグラディウスを最新のグラフィック&新しい小ネタアイデアを付け足して作ったのが、『グラディウスIV 復活』だったのではないでしょうか。厳しいことをいえば、安牌に走った。しかし、一番手堅い方向性ではあったのではないかとも思います。

本作は『グラディウスII GOFERの野望』をお手本にして作られており、ゲームバランスもシリーズ最高の完成度を誇る『グラディウスII GOFERの野望』のゲームバランスをベースに調整しています。その調整を「安直な仕事」という人もいますが、俺の意見は少し違っていて。たぶんですが、グラディウスのような横スクロールシューティングを作るノウハウが当時のコナミにはすでになくて、ロストテクノロジーになっていたんだと思います。だから、現存するものをお手本にして、ユーザーから愛されたグラディウスのゲームバランスとはこういうものだということを手探りで掴んで、そこにオリジナル要素を付け足していこうと考えたのではないでしょうか。素人がゼロから作るよりもよっぽど完成度の高いものが作れる合理的な方法だと思います。

しかし、ゲームバランスはセンスと言いましたが、左脳よりも右脳寄りの仕事です。横スクロールシューティングのゲームバランスを分かっていない人間が(ただでさえグラディウスIIのゲームバランスは神がかっていることもあり)、いろいろオリジナル要素を付け加えた結果、「ゲームバランスも悪い!」と評価されてしまう結果になってしまった気がしています。

敵キャラとボスキャラとステージギミックについては、明らかにデザインセンスが悪く、アイデアも凡庸で、くそダサいです。いや、これも主観でしかなく、もしかしたら新しさを受け入れられない老害脳なだけかもしれませんが(汗)。ただこれは、これまでのグラディウスシリーズのそれと比べた場合の話であり、他のゲームに出ていたらこんな印象は抱かないと思います。が、『グラディウス』という看板を背負っていると、どうしても過去作と比較されてしまう悲劇というやつでしょう。

結構ボロクソに『グラディウスIV 復活』のことを話してしまったのですが、ゲームとしては平均点以上で結構頑張っている作品だとは思うんですよ。そのあたりについては後半にお話ししますね。

『グラディウスIV 復活』のストーリー

バクテリアン…。
その存在は人々の記憶から薄れつつあった。かつて行われたグラディウス軍とバクテリアンとの大きな戦いは、今では神話のように語られている。すでに銀河の人々の復興を成し遂げ、恒久ともいえる平和な日々を送っていた。

しかし、災いは何の前触れもなく突然現れる。惑星グラディウスの衛星軌道上に突如現れた圧倒的な数の軍隊を、コンピューターはすでに滅びたはずの敵と認識した。バクテリアンの再来と。

突然の強襲に対して、惑星グラディウスの防衛戦力は壊滅的な被害を受け、幸福寸前まで追い詰められてしまう。しかし、多くの兵士が自らの死を覚悟した時、たった一機の白い機体が宇宙に駆け上がるのを見た。それは、超時空戦闘機ビックバイパー。その攻撃は、バクテリアンへの反撃の狼煙。人々は胸に闘志を湧き起るのを感じた。

第四次バクテリアン戦争、開戦!

『グラディウスIV 復活』のダイジェスト

『グラディウスIV 復活』の魅力

『グラディウスIV 復活』は、ヘンに過去シリーズの思い出を引きずっていなければ、なかなか楽しめるシューティングゲームです。「グラディウスらしさ」というのはファン一人ひとりがどうしても胸に抱いてしまうものですが、逆に言えば、ファンが主張する過去作によって作られた「グラディウスらしさ」によって、作品が過去に捉われてしまうこともあります。「~らしくない」は「シリーズの新しい挑戦」と考えてみてもいいのではないでしょうか。

例えば、本作を彩るBGMの数々は神秘的なシティミュージックなテイストに仕上がっています。たしかにこれは『グラディウス』っぽくない。『ギターフリークス』っぽい感じ。しかし、繁華街で流れる音楽が10年でまったく変わるように、音楽とは時の流れ、時代の移り変わりを表すもの。そう考えると、『グラディウスIV 復活』の渡辺篤紀による楽曲の数々もアリではないでしょうか。

今回、ゲームスタート時に選択できるパワーアップゲージは6タイプあり、強いタイプと弱いタイプの落差が激しい点も非難の対象です。しかし、すべてのタイプが同等の強さでなければならない理由は特にありません。『グラディウスII GOFERの野望』がそうだっただけです。強いタイプからプレイしていき、ウデが磨かれてきたら弱いタイプに乗り換えて戦っていく。そういう遊びかたをしてもいいわけです。

もっとも大きな変更は、グラディウスシリーズの伝統ともいえるパターン攻略への挑戦といえる運要素です。グラディウスシリーズはどんなに難しくても、敵の動きにはパターンがあり、それを読みさえすれば先に進める、つまり努力が裏切らないゲームでした。しかし、本作では敵にランダムな動きをするものが増えたため、突発的な臨機応変さがプレイに求められるように。これは、「グラディウスのお面を被っているけどグラディウスじゃない」と思われるほどの変化。でも、これも『グラディウスIV 復活』はそういうゲームだと割り切るべきかなと思います。

時代背景を考えてみてください。バブル景気に騒いでいた1988年とバブルが崩壊した1999年じゃ流れている空気が違うわけです。1980年代は辛いことがあってもじっと耐えて続けていればいつか報われるという価値観がありました。でも、バブルが崩壊して、じっと耐えていても報われないことは多いし、その時々を柔軟に生きていかなければならない時代になっていました。『グラディウス』もそんな時代の空気の影響を受けて、スタンスを変えなければならないタイミングだったのかもしれませんね。

『グラディウスIV 復活』は、ラーメン屋に例えると、インパクトのあるメニューとメディア露出をしている人気店ではなく、昔は騒がれたけど今は人気としてはちょっと下火なんだけど、ていねいな仕事をしていて分かる人にはこの良さが分かるお店といった感じなのかなぁと思いました。

レトロゲームとしての『グラディウスIV 復活』

『グラディウスIV 復活』が、開発体制にいろいろ課題を抱えていようがいまいが、市場のニーズと合わないものに仕上がってしまったのは間違いありません。

今の時代にウケる新作グラディウスのカタチはどうあるべきなのか?

この回答を2004年にトレジャーは『グラディウスV』というカタチで提示します。また、少し前になるのですが、1997年にプレイステーションで発売されたオリジナルタイトル『グラディウス外伝』も、1990年代後半のグラディウスのあるべきカタチを提示しており、なかなか興味深いです。

また、『グラディウスIII 伝説から神話へ』以降、パロディウスシリーズが開始されており、『パロディウスだ!』『極上パロディウス』がなかなかいい出来だったりします。パロディということで存分に挑戦作を作れたパロディウスシリーズのあとに、グラディウスシリーズのリブート作を作るというのはやっぱり結構無理ゲーだよねと、これらの作品をプレイしてみるとよく分かるので、興味がある方は一緒に遊んでみてください。

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