
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1985年5月、コナミからリリースされたアーケード用シューティングゲーム『グラディウス』。残念ながら現在では新作が発売されず、シリーズとしては止まってしまっているのですが、30年近い歴史を持つシューティンクゲームシリーズの第一作目になります。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『グラディウス』とは

『グラディウス』は、ひと言でいうと、「自分で道を切り拓いて行く!」を強く感じられるシューティンクゲームです。
というと、「どんなゲームでもそうだろう」と言われてしまいそうですが、その根拠はグラディウスの特長であるパワーアップ方式にあります。本作では、特定の敵を倒すとパワーカプセルというパワーアップの素が排出されます。これは、取っただけでは自機はパワーアップしません。画面下にあるゲージが1つ点灯します。ゲージは「スピード」「ミサイル」「ダブル」「レーザー」「オプション」「?(バリア)」と書かれており、点灯している時にパワーアップボタンを押すと、点灯している兵装がパワーアップされます。
これは、当時としてはかなり画期的なシステムでした。というのも、それまでのシューティングゲームでは、出現するパワーアップアイテムは決まっていて、自分が欲しいパワーアップを自分のタイミングでパワーアップさせるなんて自由はなかったからです。
『グラディウス』のパワーアップはインフレ具合がすごく、パワーアップすればするけど、ガンガン強くなっていきます。ミサイルは自機下部に連続してミサイルを投下し、そのミサイルは敵を撃破するまで地面を這って進めます。ダブルは斜め上部に弾が撃てるようになり、上部の敵を迎え撃つことが可能に。レーザーはすべての敵を貫通。オプションは、自機と同じ挙動をしつつ自機と同じ攻撃をくり出す最強の分身武器で、オプションが1つ装備するごとに火力は倍増していきます。
最終的にはフルパワーアップを目指すのですが、その過程・順序はプレーヤー次第。そのステージの攻略のために、どの兵装からパワーアップさせるべきかはプレーヤーのその場の判断に委ねられているのです。
画面下にあるパワーアップゲージのどの部分が今点灯しているか、敵の弾をかいくぐっている最中に確認するのは大変です。大変なのですが、慣れればできるようになります。このマルチタスクを動くできるようになることも、プレーヤーに「俺、上手くなった!」と思わせる仕掛けなんですね。
せっかく育てたパワーアップも、自機がやられてしまうとパワーアップなしの状態からやり直さなければなりません。これを『グラディウス』用語で「立て直し」と言います。パワーアップが派手で強力だからこそ、ノーマル兵装は貧弱貧弱です。しかし、『グラディウス』の真の面白さは「立て直し」にあると言っても過言ではありません。人は何故落ちるのか。それは、這い上がることを学ぶため。手持ちの貧弱な装備とテクニックで難局を乗り切る。これが、『グラディウス』の最高に面白いところなわけです。まあ、パワーカプセルの出現がないステージ5で死ぬと詰むんですけどね…。
『グラディウス』のストーリー

はるか昔、遠い彼方にある銀河系で、ひとつの惑星が絶滅の危機に瀕していた。突如飛来した謎の軍隊バクテリアンの侵攻を受けたのである。バクテリアンは、膨大な無人戦闘兵器を有し、侵略した惑星を次から次へと有機生命体に変えていく。その目的や行動原理は不明。ただ、彼らの歩んだ道筋には、強力な生命力を持つ肉塊と化したバクテリアンの植民地が残るのみだった。
惑星グラディウスは、遠方宇宙への探索船が謎の消失を起こしたことを契機に、バクテリアンと交戦を開始。しかし、幾度となく行なわれた大規模戦闘にことごとく敗退したグラディウス宇宙軍はその度に植民惑星を失い、ついにグラディウス本星が狙われるのも時間の問題といえた。
有史以来最大の危機を前に、グラディウス人のひとつの奇跡を起こす。敵・バクテリアンから奪取した技術を用いた超時空戦闘機の完成である。機体は「VIC-VIPEER(ビックバイパー)」と名づけられた。
漆黒の宇宙へ飛び立つビックバイパー小隊に課せられたのは、敵移動要塞ゼロスへの奇襲。無論、行き着くまでは数々の敵防衛網を突破しなければならない。しかし、進む以外、彼らに生きる道はない。小隊の動きを察知して敵編隊が向かってくる。グラディウス宇宙軍総司令官は、最初で最後の指令をビックバイパーパイロットたちに贈った。
「Destroy them all!(奴らを殲滅せよ!)」
『グラディウス』の魅力

『グラディウス』は全方位的に素晴らしい作品なので、魅力を語ろうと思えば一晩中でも語ることができるのですが、あえて話す内容を限定するのならば、本作が構築した世界観――グラディウスが描いた“宇宙”について語りたいと思います。
本作以前にも宇宙を描いたビデオゲームは数多くありましたが、本作が描いた宇宙はより具体的でアメージングなものでした。これまでのビデオゲームで描かれていた、店の星が散らばっている宇宙空間や荒涼とした惑星表面や基地だけでなく、宇宙が本来持っている地球の物差しでは測れない常識を超えた空間の恐ろしさ・ミステリアスさをステージ構成や世界観構築に使っている点です。
分かりやすい例は、ステージ3に登場する「モアイ」。なぜ、イースター島の観光名所になっているモアイが宇宙にあるのか。それは、モアイ像が宇宙人によって地球に置かれたものという説があるからです。イースター島のモアイ像にはいろいろな謎が残っていて、原材料をどこから調達してきたのか、なぜ倒れているものと起き上がっているものがあるのか、向いている方向にどんな意味があるのかなど、分からないことが多いんですね。1980年代の月刊ムーでは、モアイは宇宙からの異文明の遺産説が有力だったのです。本作のモアイは、宇宙を象徴する要素としてモアイを使ったわけです。
ステージ2のストーンヘンジは、イギリスにある環状列石のことですが、これも詳細が不明です。『グラディウス』では地球にある石の積み上げは一部分にすぎず、本当はもっとたくさん積み重ねられていて、バクテリアンの前線基地にされているという設定になっていました。ステージ4の逆火山では重力がおかしなことになっている星、ステージ5では宇宙空間を漂う巨大な捕食生物、ステージ6では惑星規模の生物の存在が描かれました。
こんなのなかったんですよ、これまで。『グラディウス』はビデオゲームという体験できる装置を使って、これまで誰も見たことがない宇宙を表現した…という一面があると思うのです。ゲームにアート的な表現なんて必要あるかという話もあるのですが、以前こちらの記事(↓)に書いた通り、

アーケードゲームには、「直感的にどう動かすのか、何が面白いのかが分かる」ある種のコミュニケーションというものが必要で、グラディウスの宇宙はそういう点でとても機能していたと思います。「この先に何が待ち受けているのか」「そのステージはどの兵装で突破するべきなのか」。そんなワクワクが感じられる作品だったんですね。
『グラディウス』のダイジェスト








レトロゲームとしての『グラディウス』

シリーズにおける作風というのは2作目で決定づけられることが多いもの。グラディウスシリーズもこの作品の続編である『グラディウスII GOFERの野望』で「グラディウスとは」という型が決定づけられたところはあります。続編は初代のいい要素を吟味して抽出&発展させて作られるわけですが、当然、削除されてしまう部分もあります。レトロゲームとしての『グラディウス』の面白さは、その部分にあるのではないかと俺は思っています。
1つはステージボス。続編である『沙羅曼蛇』や『グラディウスII GOFERの野望』ではステージごとにステージボスが異なるのですが、この初代『グラディウス』ではステージ5までステージボスはすべてビッグコアです。今観ると、物足りなさを感じるのですが、どんなステージの最後にもビッグコアというのが、敵バクテリアンの正体がイマイチ分からなくていい雰囲気を醸していたんですよね。
同様に、ステージボスの前にある中ボス的なステージギミックも初代『グラディウス』ならではのもの。一見すると普通の火山なのですが、内部は侵食されていて生物兵器にされているんじゃないか?的な想像力を掻き立てられるところがあったんですよね。
続編で取り上げられたネタのほうが大多数の支持を得ていたのは分かります。しかし、こうして過去作をふり返り、切り捨てられたネタに注目してみるのも、レトロゲームの楽しみかたではないでしょうか。俺は結構好きだったりします。
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