『かまいたちの夜』――事件の真相は、幾多にわたるデッドエンドのその果てに。

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1994年11月にチュンソフトより発売されたスーパーファミコン用ソフト『かまいたちの夜』。同社が発売した『弟切草』につづくサウンドノベルシリーズ第二弾です。

さあ、今宵も、歴史に埋もれしレトロゲームの魅力を、掘り起こしていこう――。

『かまいたちの夜』って、どんなゲーム

前作『弟切草』は、カップルがドライブの途中で古びた洋館に迷い込んでしまうのですが、実はその洋館に来たのは偶然ではなく運命だった…というホラー系ストーリーをベースにした作品でした。『弟切草』が生み出した、BGMやSEの演出を聞きながら小説のようなテキストを読むサウンドノベルというジャンル。ただし、前作は選択肢が主人公たちの体験する次のイベント変化につながるという遊園地のアトラクションのようなものでしたが、『かまいたちの夜』ではストーリー部分を大幅に強化。舞台を吹雪によって隔離されたペンションというミステリーの王道といえるシチュエーションで、姿なき無差別殺人犯と素人探偵の対決という話がくり広げられます。

本作は、基本ストーリーが推理ミステリーなのですが、このミステリー編を1回クリアすると、2週目以降から新しい選択肢が出現。その選択肢を選ぶと、同じ登場人物なのにまったくストーリー展開が変わっていくことに。分岐によって語られるストーリーは、スパイ編、悪霊編、釜井達の夜編、雪の迷路編、Oの喜劇編、チュンソフ党の陰謀編、不思議のペンション編などなど。ストーリーの面白さ、分岐選択によるストーリー変化といった仕掛けは、後のゲームに多大な影響を与えました。

Leafの『雫』『痕』『To Heart』も、TYPE MOONの『月姫』『Fate/Stay night』も、ちょっと亜種になりますが07th Expansionの『ひぐらしの鳴く頃に』も、生まれなかったといっても過言ではないでしょう。一時期、18禁美少女ゲームおよびコンシューマー美少女ゲームを席巻したビジュアルノベルは、『かまいたちの夜』というサウンドノベルから分岐・進化したゲームジャンルといえるでしょう。

『かまいたちの夜』のストーリー

大学生の透は、ガールフレンドの真理にスキー旅行に誘われ、彼女の叔父である小林夫妻が長野県で経営しているペンション『シュプール』に滞在することになる。ゲレンデでスキーを楽しむ2人だったが、空を見上げると天候は大きく荒れ始めていた。

『シュプール』には小林夫妻とアルバイトの他に、OL3人組、関西人の社長夫妻、フリーカメラマンといった人物が宿泊していた。しかし、中にはその場に似つかわしくない人物が1人。彼の名は田中。室内でもサングラスとコートを脱がない謎の男。

夕食後が終わって談話室で談笑をしていると、OL3人組の部屋に犯行予告とも取れるメモが入っていたのだ。そこにはこう書かれていた。

しかし、その場では誰かのイタズラだと思われた。夜9時を過ぎた頃、2階からガラスの割れる音が。一同は2階の部屋を調べると、バラバラになった田中の惨殺死体が発見される。部屋の窓は割れたまま開け放たれたまま。そして犯人の姿はなかった。

猛吹雪によって外に出ることもできず、全員がペンションに閉じ込められた形になった。しかも電話線も切断され、携帯電話も圏外のために警察を呼べない。そんな中、もう1人の被害者が出てしまう。

犯人はは外から来たのか。それとも内部にいる誰かの犯行か。なぜ、殺人が起きてしまったのか。透は真理を守るために、事件の真相究明に乗り出すことになった。

『かまいたちの夜』ダイジェスト

『かまいたちの夜』の思い出

この作品が発売された1994年は、まだ日本にはバブルの息吹が残っていて、大学生たちは冬にスキーを楽しむというのがトレンディ(死語)でした。94年時、俺はまだ子どもでしたが、本作の影響をモロに受けて、大学生になってからはインドア人間のくせにスキー場にばかり行っていたものです。あいにく非モテ人種だったので、彼女と二人でスキー、ということにはならず、アニメオタクと漫画オタクとゲームオタクと特撮オタクというパーティでゲレンデに侵攻。恋人たちのキャッキャッウフフを見せつけられてドヨーンとしたものでした。

まあ、どうでもいい昔話です。ゲームの話に戻ります。

本作後、さまざまなサウンドノベル作品がリリースされましたが、『かまいたちの夜』の完成度を超える作品はありませんでした。脚本を担当した安孫子武丸先生が前作『弟切草』をやり込んでいたこともあり、サウンドノベルに求められているものをユーザー視点で熟知していたことが大きいのではないでしょうか。

僕自身、アドベンチャーゲーム制作にシナリオライターとして参加していたことがあります。その視点で語ると、『かまいたちの夜』のテキストは芸術的なまでに美しいと思っていて。これは推測なのですが、スーパーファミコンの画面に表示される様を見て、何度も推敲しているのではないかと。それくらい文章に無駄がなく、表示のされ方が美しいんですね。これは、後発のサウンドノベルとの大きな差ではないかと個人的に思っています。

さいごに

『かまいたちの夜』は、プレイステーションやゲームボーイアドバンスといったハードに移植されており、移植のたびに追加要素が付け加えられたりしているのですが、それらはすべて“蛇足”と思えるほど、初代スーパーファミコン版の出来がいいです。

くり返しプレイをする際に簡易スキップができないなど、今プレイすると不便なインターフェースも目立ちます。しかし、それは逆に、ハイスピードで次の分岐まで飛ばすのではなく、語られるテキストときちんと向き合うことの大切さを教えてくれているようでもあると思うのです。

『かまいたちの夜』、もう吹雪のペンションで行なわれる殺人ゲームの世界を、ヘッドホンをして楽しんでみてください。

みなさんの思い出

■ウースさん
まぎれもない名作。1は密室感が抜群で好きです。2以降は「この部屋は鍵がかかってるからいいか」←えぇ・・・?みたいのでなえました。支離滅裂な展開ですけど弟切草も好きです。

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