
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘した作品は、1998年7月にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたPS1用アドベンチャーゲーム『季節を抱きしめて』。プレーヤーの選択肢によってストーリーが変わっていくやるドラシリーズの第二弾で、「春」「サクラ」がコンセプトで「恋愛要素」の強いちょっと不思議なストーリーでした。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『季節を抱きしめて』とは

『季節を抱きしめて』は、やるドラシリーズ第一弾である『ダブルキャスト』と同様に、作中のほとんどのシーンがアニメーションで動くアドベンチャーゲームです。企画・原作・アニメーション制作がProduction I.Gなのは『ダブルキャスト』と同じですが、キャラクターデザインは樋口香里さんが務め、音楽担当も変わったため、同じシリーズとは思えないほど異なる作風になっています。
ゲーム内の選択によって微妙に内容が変わっていくのは同じですが、前作『ダブルキャスト』が基本的に1つのストーリールートといくつかの細かい派生ルートという作りだったのに対し、本作 『季節を抱きしめて』は選択肢によってはまったく異なる2つのうちどちらかのルートに進む作りとなっており、それがヒロインの真由を選ぶか、もう一人のヒロインのトモコを選ぶか、ということにもなっていきます。
つまり、三角関係のもつれによる修羅場が不可避な恋愛アドベンチャーということなんですね(笑)
『季節を抱きしめて』のストーリー

<あの子>と出会ったのは、この大学に入って間もなくのこと。
ちょうど桜の花が咲き始めた頃のことだった。
木々が芽吹き、花咲く春。山間の地方都市に住む主人公は、1年間の浪人生活の末、地元の大学へ通うことになった。大学に続く坂道を歩く彼の隣には、予備校時代からの友だちトモコがいる。苦楽寂しい浪人生活をクリアできたのはトモコのおかげだと主人公は思っているが、自分のことを恋人のようにふるまう彼女に少し迷惑を感じていた。
ある日、大学から帰る途中、主人公とトモコは大学構内の桜の樹「悲恋桜」の下に1人の少女が倒れているのを見つける。駆け寄って助け起こした主人公は思わず息を飲む。その子は、高校時代に片思いを続けていながらも交通事故で無くなってしまった同級生、真由にそっくりだったから。
目補佐ました彼女は名前を聞いてもどこから来たのか聞いても、「分からない」と首を振るばかり。そんな1人の少女との出会いが、主人公の平凡に過ぎていくはずだった日常を少しずつ変えていく…。
『季節を抱きしめて』のスクリーンショット











『季節を抱きしめて』の魅力

『季節を抱きしめて』の魅力は、かわいい女の子2人にどう考えても好意を持たれているのが分かる日常を過ごせるという少し昔のマンガの『きまぐれオレンジロード』感と、原田知世さん主演の映画『時をかける少女』のような少し(S)不思議(F)な「別れの物語」を味わえるところではないでしょうか。
恋愛には「さびしさ」が欠かせません。普段すぐ近くにいる時には気がつかないものが、何かが起きて、別れて失うことで初めてその大切さを思い知る。心にぽっかり穴が開いたような喪失感をもって、恋愛ストーリーとは円環を為すのです。2人の関係がずっと続いていくような物語的なハッピーエンドは、この世の中には存在しないことを大人である俺たちは知っています。続いていく物語は、いつか熱が冷めて、陳腐化していき、ごくありふれたものになってしまうもの。しかし、別離によって生まれたかがやくような思い出は、二度と手に入らないからこそ完璧なものになる。『季節を抱きしめて』の物語には、そんな切なさがあります。
恋愛アドベンチャーゲームは、プレイステーションに数多く発売されていますが、プレーヤーの没入感に大きく関係するのは登場人物の仕草だと、俺は思います。なぜなら、細かい感情の機微にこそ、心が動く要素があるためです。普通のアドベンチャーゲームの場合、声優さんの声と表情の差分ファイルでその部分を上手いことやるのですが、アニメーションには敵いません。この点が、恋愛モノとアニメーションの相性の良さであり、やるドラシリーズで恋愛ものをやる『季節の抱きしめて』の存在意義なのではないでしょうか。
ゲームとしては、前作『ダブルキャスト』よりも狙ったルートに行くフラグ立てが難しくなっており、エンディング数も増えたことで、チト骨が折れる仕様になっています。逆に言えば、プレイごとにまるで異なるストーリー展開を楽しめるサウンドノベルっぽさが強くなった作品ともいえるでしょう。
2人の女の子たちから好かれ、そのどちらかを選ばなければならない学生生活。このゲームで、ちょっとだけアオハルしてみるというのはいかがでしょうか。
『季節を抱きしめて』で遊ぶ方法
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