
こんちには、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘した作品は、コナミが1987年にアーケードのシューティングゲームとしてリリースした『ライフフォース』。『ライフフォース』は『沙羅曼蛇』の海外バージョンのタイトルなのですが、本作は『沙羅曼蛇』をベースに背景グラフィックと一部敵グラフィックの描き替え、攻撃パターンの一部変更、パワーアップ方式を『グラディウス』のパワーカプセルによるストック制に戻した作品であり、海外版の『ライフフォース』とはまったくの別物になりますのでご注意ください。ここ、テストに出ますよ(笑)
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『ライフフォース』(アーケード版)とは

『ライフフォース』(アーケード版)は、ひと言でいえば、『沙羅曼蛇』を元にして作られたアナザーバージョンです。設定は後述の【ストーリー】を読んでいただきたいのですが、『沙羅曼蛇』がなかったことになっており、『グラディウス』の続編として位置づけられています。雑誌やチラシの告知では「グラディウスシリーズ第三弾」というアピールをされていたこともあるとか。不出来なゲームがバランス調整などを行なった新バージョンを出すことはアーケードゲームではたまに存在しますが、『沙羅曼蛇』はプレーヤーからもお店からも評判のいい作品だったはずです。では、なぜ、本作は作られたのでしょうか。それは、商業的な意味合いがったようです。
本作は、当時新作がなかったコナミのバブルシステムのコンバージョン用に作られたという経緯があり、上部基板のを交換することで新しいゲームになるキット販売用商品として開発されました。かなり急ぎの仕事だったようで、開発期間は3ヵ月しかなかったと聞きます。地獄ですね。
『沙羅曼蛇』からの変更はいくつかあるのですが、一番大きいのは、自機のパワーアップ方式を『グラディウス』のパワーカプセルによるストック制に戻した点でしょう。これは、『沙羅曼蛇』のレビュー記事で書いたのですが、2人同時プレイでカプセルストック制にした場合、2機のフルパワーアップには大量のパワーカプセルが必要となり、プレーヤー間でのパワーカプセル争いが起きてしまいます。ところがコナミは発想の転換といえるアイデアでその事態を回避しました。2P側のパワーゲージの並びを変えたのです。1P側は「スピード」「ミサイル」「リップル」「レーザー」「マルチプル」「フォースフィールド」の順に対して、2P側は「ミサイル」「レーザー」「マルチプル」「リップル」「スピード」。つまり、2P側は少ないパワーカプセルで「レーザー」や「マルチプル」を付けられる仕様になっており、これがゲーム序盤のパワーカプセル争奪戦を防ぐとともに、1Pと2Pの役割分担をも作るという驚きのアイデアなわけです。
背景や敵のグラフィックは、ストーリーに合わせて、いくつかのものが有機的なものに変更されました。ステージ2のボス「テトラン」の変更版「サイラン」は、ステージ1のボス「ゴーレム」と同じ脳と触手というモチーフで二番煎じ感が否めませんが、ステージ5のボス「デス」の変更版「ガウ」はオリジナルよりも良いデザインとなり、シリーズで何度も出演するボスになりました。
前述した開発期間の短さから、グラフィックの変更は『沙羅曼蛇』に比べるとやっつけ感があり、そのため、改造版ゲームっぽい見た目になっていますが、実は『沙羅曼蛇』でのバグが修正されていたり、ゲーム中に発せられる英語音声の種類が増えていたり、バージョンアップしている箇所もある作品でもあります。残念なことに、出回っている本数が少なかったらしく、一時期は幻のゲームと言われていたほどです。俺の生活圏では、「グラフィックがおかしく、敵とかがみんな有機的になった沙羅曼蛇がある」というのは、人面犬や口裂け女と並ぶ都市伝説のように語られていました(笑)
『ライフフォース』(アーケード版)のストーリー
バクテリアン星団との攻防から2年の月日が経ったある日のこと。平和を取り戻した惑星グラディウスにかつてない危機が訪れる。超生命体「ライフフォース」の出現である。宇宙空間に突如現れたライフフォースは、あらゆる物質を吸収しながら止まることのない成長を続ける驚異の生命体だったのだ。このままでは、惑星グラディウスも吸収されてしまう。最悪の事態を避けるため、人々は超時空戦闘機ビックバイパーに最後の望みを託した。
『ライフフォース』(アーケード版)のスクリーンショット





『ライフフォース』(アーケード版)の魅力

こんなことを言っては元も子もないかもしれないのですが、『ライフフォース』(アーケード版)の魅力は「『沙羅曼蛇』とどこが違っているか探し」になるでしょう。前述したように『沙羅曼蛇』よりもパワーアップしているところはあるものの、基本的にはマイナーチェンジ版でしかないため、オリジナルの『沙羅曼蛇』を超える衝撃はない作品と言えます。
ただ、ですね。商業的な都合で突貫で作られたバージョン違いという開発背景を知ると、グラフィックやキャラクターを差し替えて、オリジナルなのに海賊版っぽくなっているところなどは、なかなか見られる所業ではないので必見です。
また、ファミコン版『沙羅曼蛇』は本作と同じくパワーカプセルによるストック制パワーアップを採用しています。そればかりかオリジナルステージも生体ステージという点からも、『ライフフォース』寄りの移植になっているところも要注目です。本作では差し替えられたステージ2、ステージ4、ステージ5のうちステージ2の「Thunderbolt」はファミコン版でもステージ2の曲として使用されています。
2P側のロードブリティッシュのパワーゲージの兵装順が異なる点に関しては、『グラディウス外伝』のゲージエディットやパロディウスシリーズの一部キャラのゲージにも活かされています。さらにいえば、プロミネンス噴出時に音声が危険を知らせてくれる仕様などは、『グラディウスII GOFERの野望』以降や『実況おしゃべりパロディウス』の先駆け的な演出でもあります。
そういう意味では、存在自体がマイナーではあるものの、グラディウスシリーズに影響を残すだけのアイデアと存在感があった作品なのかもしれません。これらのことを踏まえて、今一度遊んでみると、新しい感動が心に湧き上がるかもしれませんね。
『ライフフォース』(アーケード版)で遊ぶ方法

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