【良作発掘】『リンクの冒険』――ついに明かされる、3つめのトライフォースの在りかと本当の『ゼルダの伝説』!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1987年1月に、任天堂からファミコンのディスクシステム用アクションRPGとして発売された『リンクの冒険』。あの『ゼルダの伝説』の続編です。

さあ、今宵も、歴史に埋もれしレトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『リンクの冒険』とはどんなゲーム?

『リンクの冒険』は、トップビューのフィールド移動とサイドビューのアクションパートを合体させたアクションRPGです。前作『ゼルダの伝説』がトップビューのアイテムによるパワーアップ要素を入れたアクションゲームだったのに対し、見た目が大きく変わりました。

冒険の舞台であるハイラルにはいくつもの街があり、人々からヒントをもらい、時には体力や魔法力を回復させてもらったり、剣技を教えてもらって冒険を進めていきます。フィールドで敵シンボルに接触すると戦闘になるのですが、戦闘は横スクロールアクションに。前作にはなかった「ジャンプ」と、剣による「上段突き」「下段突き」という攻撃方法で敵に立ち向かいます。

もう少し先に進むと、「8種類の魔法」と「下突き」「上突き」という剣技を覚え、戦闘方法はより多彩に。言い方を変えると、アクション技術がより求められるようになっていくのが、『リンクの冒険』という作品です。

『リンクの冒険』のストーリー

リンクは、激しい戦いの末、ついにガノンを倒し、奪われていた力のトライフォースとゼルダ姫を取り戻しました。しかし、すべては本当に終わったのでしょうか。それからいくつかの季節がめぐりました。

ハイラルは荒廃の一途をたどる一方でした。ガノンの邪悪な心の残した力が、ハイラルの秩序をすっかり乱していたのです。そのうえ、ガノンが倒されたあとも、その一部の手下たちはハイラルに残り、ガノン復活の機会をうかがっていました。ガノン復活の鍵、それはガノンを倒した者――リンクの血。リンクをいけにえにし、その血を灰になったガノンにふりかけることにより、ガノンは復活するのです。

リンクは、この小王国に残り、ハイラルの復興に力を貸していました、しかし、状況はよくありませんでした。しかし、事態は思わぬ展開を迎えます。

リンクが16歳のとき。左手の甲に紋章が現れます。

それはまるで王国の紋章のようでした。気になったリンクは、ゼルダ姫の乳母であるインパの元に出かけ、その紋章を見せることに。インパは驚き、あわてふためきましたが、冷静さを取り戻すと、リンクを北の城に連れていくのでした。

北の城には、開かずの扉というものがあり、その開け方を知っているのは、代々王家に仕えるインパの家系を継ぐ者だけとのこと。インパはリンクの左手をとると、その扉に手の甲を押し当てました。するとどうでしょう。錠前のはずれる音がして、扉がきしみながらゆっくりと開いていくではありませんか。そして、その部屋の中央には、大きな祭壇があり、そこには美しい女性が横たわっていたのです。

「あのおかたが、初代ゼルダ姫じゃよ」

インパはおちついた口調で語りはじめました。

「リンク、おまえにハイラルに伝わる『ゼルダの伝説』を語らねばならない時がきたようじゃ。昔、まだハイラルが1つの国だったころ、偉大なる王がトライフォースを使って、ハイラルの秩序を保っておったそうじゃ。しかし王もまた人の子、寿命尽きて亡くなられた。そして、この国の王子が次の国王となり、そのすべてを受け継ぐはずだったのじゃが、トライフォースだけは不完全にしか受け継ぐことができなかったのじゃ。王子はその足りないものを求めて、ありとあらゆる所を探したが、なかなか見つからなかった。そんな時、王の側近の魔術師が思わぬ知らせをもってきたのじゃ」

「魔術師は、どうやら王は死ぬ前に、この王子の妹の初代ゼルダ姫だけにトライフォースについての何かをしゃべったという。さっそく王子はゼルダ姫を問い詰めたのじゃが、姫は決して口を割ろうとはしない。いっこうに聞き出すことのできない王子にかわり、今度は魔術師がしゃべらないのなら永遠に眠り続ける魔法をかけるとおどかしたが、それでも姫はしゃべろうとはしなかったのじゃ。業を煮やした魔術師は本当に魔法をかけようとし、おどろいた王子は呪文を唱えるのをやめさせようとしたが、魔術師は王子をはじきとばし、さらに呪文を唱え続け、そしてとうとう呪文を全部唱え終えてしまったのじゃ。ゼルダ姫は、その場に崩れ落ち、いつ覚めるともない眠りに入ってしまった。と同時に、魔術師もその場に倒れ、絶命していたそうじゃ」

「王子は大いに嘆き悲しみ、ゼルダ姫をこの部屋に置いたのじゃ。いつかきっとよみがえることを願ってな。そして、この悲劇を二度と忘れぬようにと、代々王家に生まれる女の子には、必ず『ゼルダ』と名づけるように命じなさったのじゃ。」

インパは、ゼルダ姫の眠る祭壇の横の台の上より、やはり同じ紋章のある1本の巻物と、6つの小さなクリスタルを取り、リンクに手渡しました。

「リンク、それは偉大なる王が、きたるべき時のために用意しておいたものを、私の一族が代々伝えてきたものじゃ。古代の文字で書き記してあるので今では誰も読めぬが、紋章を持つそなたなら読むこともできよう。それにはトライフォースを完全なものとする鍵が隠されているという。さあ、読むがいい」

リンクは半信半疑で巻物に目を通しました。するとどうでしょう。今まで見たこともない文字なのに、まるで文字のほうから語りかけてくるように読むことができるのです。その巻物には、こんなことが書かれてありました。

『後世のトライフォースを操るものよ。そなたにトライフォースの秘密を伝えよう。トライフォースには、3枚の種類がある。すなわち「力」「知恵」、そして「勇気」。この3枚のトライフォースを合わせた時、トライフォースはその最大限の力を発揮するのだ。3枚のうち、「力」と「知恵」の2枚は王国に残すから受け取るがよい。しかし「勇気」のトライフォースは理由あって私が隠した。トライフォースは誰でも使えるというわけではない。悪しき心を持たぬしっかりとした人格も必要だが、生まれながらの特殊な素質も必要なのだ。残念ながら私の生きている間に、そのような人物を見つけることはできなかった。それで私はハイラル全土に魔法をかけることにしたのだ。素質を持った人間が道を誤らずに育ち、さまざまな経験を積み、ある年齢に達した時、紋章が現れるように。しかし、もしそれまでに、他の誰かがトライフォースを使えばどうなるだろうか。使い方を誤れば、さまざまな悪を産み出す。「勇気」のトライフォースは、ハイラルで一番大きい島の死の谷にある大神殿に隠してある。しかし、そこに入るには、まずハイラルにある6つの神殿で、守護神と戦い結界を解かねばならぬ。これらの守護神は、私が神殿に外敵が侵入するのを防ぐために作ったものだ。そして守護神を倒したら、その奥の石像の額にクリスタルをはめこむのだ。6つの神殿のすべての石像にクリスタルをはめ終わった時、死の谷に張られた結界は解け、大神殿に入ることができるようになる。そこでそなたは、最後の守護神と戦うことになる。その守護神を倒してはじめて、トライフォースを手にすることができるのだ。恐れることなかれ。そなたならきっとトライフォースを得ることができよう。そしてハイラルの希望の光となることを願う』

巻物を読み終わり、ゆっくりと顔を上げるリンクにインパは嘆願した。

「初代ゼルダ姫にかけられた魔法も、トライフォースを使えばきっと解けるはずじゃ。リンク、お願いじゃ。トライフォースを完全なものにし、姫を救っておくれ。そして、平和なハイラルを取り戻しておくれ」

リンクは無言でうなずくと、祭壇のほうを一目見て部屋を後にしました。そしてリンクは一人旅立ちます。左手にマジカルソード、右手にはマジカルシールドを持って。

いっぽうそのころ、ガノンの手下たちは魔界より新たな仲間を呼び寄せ、ガノン復活にむけて動きはじめようとしていたのです…。

『リンクの冒険』とは、つまりこういう話

前項のまとめです。

そもそもハイラルには「力」「知恵」「勇気」の3つのトライフォースが存在していました。前作『ゼルダの伝説』では、魔王ガノンが「力」のトライフォースを奪い去り、強大な力を手に入れます。ゼルダ姫は王国に伝えられている「知恵」のトライフォースを8つに分けてハイラル各地のダンジョンに封印。その後、ゼルダ姫はガノンにさらわれてしまいます。リンクはハイラル外からやってきて、インパからの懇願に応えるカタチで、8つのダンジョンに封印されたトライフォースの欠片を集め、「知恵」のトライフォースを復元。その力を持ってデスマウンテンにいるガノンと対峙し、見事ガノン討伐を果たします。ここまでが『ゼルダの伝説』のお話。

それから数年の月日が経ち、リンク16歳の誕生日に、左手の甲にハイラル王家の紋章が現れる。それは、はるか昔のハイラル王が王国全体にかけた魔法の効果であり、王によって隠された最後の1つ「勇気」のトライフォースを手にする資格がある者が現れる兆しでした。

トライフォースは神から与えられた宝具であり、邪な心を持つ者が手にすれば、その力に溺れてしまい、悲劇を起こしてしまう。そのことを予見していたハイラル王は、持つのにふさわしい者があらわれるまで、トライフォースは3つ揃わない仕掛けを施していたのです。しかし、王の息子である王子は、王座とともにトライフォースも継承できるものと考え、妹であるゼルダが何か知っているという疑念に突き動かされ、結果、事故によりゼルダ姫は永遠に解けない永い眠りにつくことに。王子は自らの愚かさを嘆き、王家に生まれる姫の名前は代々『ゼルダ』と名付けるようになったのでした。

左手の甲にハイラル王家の紋章が現れた者は、「勇気」のトライフォースを手にする試練を受けることができるそう。6つの神殿に6つのクリスタルを奉納すると、死の谷に眠る大神殿の封印が解け、その大神殿の奥深くに「勇気」のトライフォースが眠っているという。トライフォースが3つ揃えば、その力によって、ガノンによってハイラル各地にばらまかれた悪意を取り除き、人々を正しい方向に導き、復興を実現できるはず。そう信じてリンクの冒険は始まるのでした。

ところが、その一方でリンクの命を狙う者たちがいます。それは、ガノンが生み出した闇の残党たち。彼らはガノンを復活させるために、ガノンを倒したリンクの血を狙っていたのでした。

…ということなんですね。

『リンクの冒険』の個人的感想

「惜しいゲームだな」という感想ですね。
何がもったいないかというと、「どうやれば面白く遊べるのか」を上手く説明できていない点だと俺は思いました。やはり、『ゼルダの伝説』の続編であるわけですからプレーヤーは前作のプレイスタイルを踏襲してしまうわけで。前作は分かりやすいトップビューのアクションゲームだったことに加えてレベルデザインが神がかり的なバランスでしたので、説明書を読まなくてもホイホイ進められたのですが、本作はそうもいきません。

体力はどうやって回復するのか。魔法はどうやって覚えるのか。まずはどこから行けばいいのか。とにかく迷う。説明書を読まないと分からない。読んでも分からない。なぜなら、それまでのファミコンゲームにないタイプの「トップビューのフィールドを歩いて戦闘はサイドビューアクションで、かつ、経験値があるアクションRPG」だったから。また、街で聞けるヒントもすべてカタカナ表記であることと謎解きが分かりにくくて、プレーヤーの心をへし折りに来ているんですよね。

まあ、分かりやすく言うと、「前作よりも馴染みのないタイプのゲームデザインになって、謎解きも難しくなってしまった続編」。俺がこの作品を「惜しい」と思う理由は、遊びかたが分かっていれば、これはこれでなかなか面白いゲームだと思うからです。

これは推測の域を出ないのですが。本作で開発者が思い描いていたのは、「成長して背が伸びた青年リンクの剣撃アクション」だと思うんですね。その根拠がサイドビューのアクションパートです。リンクは前作よりタテ2倍の大きさで描かれ、同じ大きさの魔物たちと対峙します。この魔物たちとの戦いは、基本的に剣撃を加えて加えて、ガギィン、ガギィインと防御されて防御されて、その何発かに一発の合間に、ザシュッ!と攻撃を入れられるという戦い。これは「敵を倒すのに手間がかかる」という見え方になっているのですが、もう少し想像力を働かせてみると、体格が同じ敵と振り下ろした剣を盾で止められ、二撃目はフェイントで敵に一撃を与えて…といった戦闘という解釈もできるのではないでしょうか。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』では、マスターソードを手にした青年リンクが武器を魔物たちとZボタン注目を活かして、左右に避けたり、盾で防いだり、ジャンプでかわしたり、飛び込んで切りつける…という戦いをします。あれは、『リンクの冒険』で描きたかったリンクの戦いだったのではないかと俺は妄想するわけです。そして、『リンクの冒険』のドット絵の戦いに、前述した『時のオカリナ』のような戦闘風景を見ることができると、『リンクの冒険』の印象は変わってきますよ。

だって、第三の神殿のボス「レボナック」って、馬に乗った騎士ですからね。馬に乗った敵に対して、JUMPの魔法で跳躍力をアップさせて、上空から下突きで攻撃し、馬から下ろして戦いに臨む…という戦い方は、『トワイライトプリンセス』では当たり前になっていますが、1987年時のドット絵、初代『ゼルダの伝説』のすぐ後の作品ではプレーヤーに伝えにくかったと思います。

何が言いたいのかというと、本作は「描こうとしたイメージは素晴らしかったけど、技術とプレーヤーの想像力が追い付かなかった作品」だったのではないかということです。

ちなみにですが。本作では6つの神殿と1つの大神殿が出てきます。「6」と「1」で「7」。これは、『神々のトライフォース』以降に6人の賢者と7人目のゼルダ姫(王家の血を引く者)という数字とも符合するので要チェックです。

今、『リンクの冒険』を遊ぶ方法

もともとがファミコンのディスクシステム用ゲームということもあり、実機で遊ぶのはなかなか難しいと思います。ロムカセットならまだしも、ディスクシステムとなるとハードを揃えるだけでも一苦労ですから。でも、ゲームボーイアドバンスのファミコンミニシリーズで復刻されているほか、3DSやWiiUのバーチャルコンソールで配信されていますし、ニンテンドースイッチオンライン加入者全員が遊べるファミコンソフトラインナップの中にも本作は入っています。

攻略サイトなしでの自力クリアは相当難しいと思うのですが、一度はプレイしてみてはいかがでしょうか。

序盤は、とにかくフィールドで敵シンボルとぶつかって戦闘をくり返し、経験値を稼いで「剣」「魔法」「ハート」のレベルをどんどん上げていきましょう。レベルが上がると第四の神殿くらいまでは楽勝になります。レベルは8までしか上がりませんが、目標経験値を稼ぐと、ハート全回複のチャンスが発生するので、それを利用して神殿攻略に臨んでください。最後の大神殿は、前作『ゼルダの伝説』のLEVEL9ダンジョン並みに大変ですが、そこまで行けば、ハイラルの真の平和はすぐそこです。

みなさんの思い出

▼みなさんの思い出募集!▼
『レトロゲームレイダース 最後のゲー戦』は、管理人の感想を発表しているゲームブログですが、それは作品の感想の一面でしかないと思っており、みなさんの感想も集まることで、多面的な作品の魅力が見えてくると考えています。そのため、みなさんの思い出を募集しています。コメント欄に書き込んでいただいた内容は、随時、こちらの記事のほうに反映してきますね!

■グリーンヒルさんの思い出
当時、ゼルダの続編が出ると聞いてものすごく期待したのですが、やってみると思っていた内容と全然違うゲームで最初はがっかりしました。
でも、ゲームの進め方が分かってくるとだんだん楽しくなってくる、そんなゲームでした。始めの頃は敵の攻撃の対処方法が分からなくて、何度も力尽きてガノン復活の声を何度も聞く羽目になりますが、敵の攻撃を捌ききり、敵の攻撃の隙にこちらの攻撃を叩き込む事が出来るようになってくると本当に楽しくなります。今回の紹介文にも書かれていますが、この剣と盾の攻防の楽しさは「時のオカリナ」に受け継がれているんだというのは私も感じました。初代ゼルダやSFCゼルダ(神トラ)の謎解きアクションに、リンクの冒険の剣撃アクションの良い所を加えることで「時のオカリナ」という名作は生まれたのだと思いました。

ジョーンズ
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