『魔界塔士Sa・Ga』(ワンダースワンカラー版)――これがワンダースワンのサガだ!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘した作品は、2002年3月にスクウェアより発売されたワンダースワン用RPG『魔界塔士サ・ガ』。ゲームボーイで発売された『魔界塔士サ・ガ』のリメイク作品になります。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『魔界塔士Sa・Ga』って、どんなゲーム

『魔界塔士Sa・Ga』は1989年12月にスクウェアより発売されたゲームボーイ用RPGです。今日まで続くサガシリーズの記念すべき第一作目になります。

1989年といえば、エニックスの『ドラゴンクエスト』の大ヒット以来、ドラクエスタイルを模倣したファミコンRPGがあふれていた中、スクウェアは『ファイナルファンタジーII』によって「ドラクエの模倣なんかしなくても面白いRPGは作れる!」ということを証明してみせた時期でした。

まだまだ王者ドラクエの根強い人気はあったものの、「スクウェアは何かやってくれる!」と一部のマニアたちはスクウェアの動向を熱い視線で見守っていたのです。そのような中、『魔界塔士Sa・Ga』は任天堂が新たに発売する携帯ゲーム機『ゲームボーイ』初のRPGとして俺たちの目の前に現われました。

ところがですね。発売情報がファミリーコンピュータマガジンに掲載された時、俺はいいようのない不安に襲われたのです。街のデザインやキャラクターのドット絵はFFっぽい。でも、お金の単位が「ケロ」。敵のデザインはなんだか『スクウェアのトム・ソーヤ』っぽい。武器の使用回数がある。職業がエスパーギャル。モンスターを仲間にできて、敵を倒して出てくる肉を食べるとパワーアップ、などなど。斬新だったのですが、よくあるRPGでは決してなかったんですね。「面白いのかな、このゲーム」。ふと、DOG時代の地雷率が頭をよぎりました。

結論から言えば、それは完全な杞憂でした。『魔界塔士Sa・Ga』は最高にイカす携帯ゲームRPGでした。ファミコンよりも性能が劣っているのに、画面だってテレビよりずっと小さいのに、あの小さなカセットの中には壮大なスケールの大冒険が待ち構えていたのです(くわしくは後で語ります)。

ワンダースワンカラー版は、ゲームボーイ版のリメイクです。カラーは白黒4階調から256色へ、BGMも音が増え、戦闘シーンには背景が付き、オートターゲットになったり、表示できる文字数が増えたり、オープニングや各世界到達時にグラフィックが表示されるなどパワーアップしました。とてもいいリメイクだと個人的には思っているのですが、マイナーハードであるワンダースワンとケータイゲームアプリにしか移植されておらず、気軽にプレイできないのが残念です。

『魔界塔士Sa・Ga』のストーリー

世界の中心に建つ塔は、楽園に続いているという噂だった。今の生活よりももっと豊かな人生を送りたい。そんな思いに駆られた冒険者たちが、この塔の秘密に挑んでいったが誰一人として帰ってきたものはいなかった。彼らはどうなってしまったのか。その運命を知る者はいない。そして今、この魔界塔に挑もうとしている冒険者たちの姿があった――。

『魔界塔士Sa・Ga』のハイライト

『魔界塔士Sa・Ga』の思い出

『魔界塔士Sa・Ga』の何がすごいかというと、ゲームボーイという容量の少ない環境において、ファミコンの『ファイナルファンタジー』とはまったくことなる手法で大冒険を描いた、というところだと個人的に思っています。

容量の関係で広大なMAPを作ることが出来ない。それならばと貧弱な環境を逆手にとって、小さいMAP(世界)の多重構造世界を作り上げました。魔界塔のそれぞれの階は別の世界と繋がっている…という設定です。それぞれの階層世界に特長を持たせ、1つの広大なMAPでいろんな国を回るよりも、いろんな世界を旅してまわるという冒険が描かれます。

「人間」をテーマにしている点にも注目しないわけにはまいりません。本作に出てくるキャラクターたちは実に人間臭いです。ある者は欲望に狂い、ある者は愛に目覚め、ある者は自分の幸せを他人に委ね、ある者は愛する者を裏切り、ある者は愛する者のために自分の身を犠牲にする。誰が悪か正義かではなく、魔界塔に惑わされた人々の姿は、人間そのものなんです。セリフにはディレクターである河津秋敏さんの通称河津節がきいたものが多く、インパクトがある点も大きいですね。

忘れられないのはシェルター世界。父親は自分の分の食糧を子どもたちにすべて与えて、神に祈りを捧げて死にます。しかし、その祈りは届かず、その子どもたちは同じシェルター内で死体として転がっているのです。

ある階は巨大な図書館になっていました。並べられている本には、魔界塔に挑んだすべての冒険者たちの名前が記されており、どの階で倒れたのかが正確に記憶されている。当然、主人公たちの名前も記されているわけです。

魔界塔の頂上に楽園があるというのは嘘で、何者かが希望を夢見る冒険者たちの必死の生き様をゲームとして楽しんでいる…。魔界塔の上層部に近づくにつれて魔界塔の本当の秘密が明かされていく展開は、魔王を倒す勇者のゲームをやってきたファミコン少年には最高のスパイスでした。

そして、最後の最後、ラスボスのセリフで明かされるタイトルの謎。

「これも、いきもののサガか」

遺伝子に組み込まれた因子によって、前へ前へと、上へ上へと、未知の場所を開拓せずにはいられない。そんな無謀といえる性質をもったちっぽけな存在が、冒険の中でたくさんの人たちから託されてきた思いを糧に、いつしかゲームマスターの想像を超える力を身につけ、その傲慢を一刀両断する――。

そんなカタルシスを持つ携帯ゲーム機RPGの神作が、『魔界塔士Sa・Ga』だと思います。

みなさんの思い出

■グリーンヒルさん
私がゲームボーイで一番好きなRPGでした。ゲームボーイの性能で十分楽しめる作品だったと思います。最初に4人(匹)分のキャラクターを作成出来るあたりは初代ファイナルファンタジーを彷彿させるシステムでしたし、それによって難易度や戦略が変わってくるのも面白いと思いました。特に敵の肉を食べて別のモンスターになるのは斬新でした。そして、ワンダースワンのリメイク版。絵も音もパワーアップした、いわゆる完全版とも言える作品になったと思います。これもいつか現行のハードに移植されると良いのですが。。。

■匿名さん
ゲーム史に残る不朽の名作ですね。この殺伐とした雰囲気とカオスな世界観はまさに唯一無二です。

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