【10分でわかるシリーズ解説】『MSX版グラディウス』シリーズまとめ

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MSX版『グラディウス』シリーズは、2作目『グラディウス2』の発売によってアーケード版とはまったく異なる展開を見せることになった。この記事では、そんなMSX版グラディウスシリーズ4作について、ストーリーとゲーム内容をまとめてみました。





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こんばんわ、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
MSX版グラディウスシリーズは、2作目である『グラディウス2』よりかなり細かい世界設定が作られました。そのため、MSX版『グラディウス1』はアーケード版の移植として発売され、『グラディウス2』以降に設定が後付けされたというのが事実になりますが、この記事ではシリーズの世界観を大切に考え、前後して情報を再編集しています。



グラディウス1
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グラディウス1
<ストーリー>
惑星グラディウス――。
太陽系から遥か彼方の遠い宇宙に存在する惑星…。地軸は太陽に対しほぼ水平を維持し、惑星の北半球は一年中太陽の恩恵を受けているのに対し、南半球は常に闇に閉ざされていた。この星を母星とするグラディウス帝国は、人口約20億人、惑星の周囲には7つのネオ・スペースプラントと呼ばれる植民星を持っている。帝国の主要機能は当然太陽の当たる北半球に位置し、南半球の開拓はほぼされていなかった。

惑星の南半球には「リーク人」と呼ばれる少数種族が存在していた。彼らは常として原始的な生活を営んでいたが、「リーク・パワー」と呼ばれる強力なサイコパワーを有し、その能力はあらゆる動力機器及び生体エネルギーとして利用が可能である事が知られていた。しかし、リーク人は多種多様な宇宙線に弱い体質を持ち、日の当たらない南半球で住まざるを得なかった。帝国政府は彼らを原始的な種族として忌避し、認知を拒否してきた。

グラディウス暦6644年。
亜時空星団バクテリアンとの戦いで勃発した「北十字戦」、いわゆる第一次プラネット・ウォーにより、惑星グラディウスは惑星全体の65%が甚大な被害を被ることとなった。その被害の大半は北半球に集中したが、南半球にもわずかながらの被害があった。帝国政府は復旧に着手するが、その手が南半球に及ぶ事はなく、少数種族であるリーク人は、最終的に8名を除き、すべてが死に絶えてしまう…。

グラディウス暦6645年。
リークパワーの分析と利用価値に関する報告書が帝国宇宙科学庁により帝国議会に提出された。その圧倒的な能力の高さにより、帝国政府は一転してリーク人保護政策を打ち出し、大掛かりなリーク人実態調査を実施することになる。しかし、帝国政府に不信感を拭えないリーク人達は、帝国宇宙軍への参加を志す「ジェイムズ・バートン」を除き、間もなく帝国政府のもとを去った。

グラディウス暦6647年。
太陽の異変により、惑星グラディウス全星域で利用されている汎用エネルギー・リカベラー粒子の供給が不安定となり、代替エネルギー源としてリークパワーの応用技術の確立を急がれることとなった。一部のリーク人たちの協力を得られることにより、概ね順調に研究は進行し、リークエネルギー生成システムの開発を成功。さらにはリークエンジンを搭載した初の超時空戦闘機「ビックバイパー」を完成させるに至った。しかし、この戦闘機の完成が、リーク人技術者とグラディウス人との間に対立を刻む結果ともなった。

グラディウス暦6658年。
グラディウス帝国は、亜時空星団バクテリアンの襲撃を再び受けることになる。そして、この戦争には超時空戦闘機ビックバイパーが初めて実戦投入された。そのビックバイパー部隊には、リーク人パイロット、ジェームス・バートンの姿もあった。後に、「闇の女神戦」と呼ばれる戦いは、こうして幕を開ける。

グラディウス01-01

<作品の解説>
アーケード版『グラディウス』の移植です。静止画面だとグラフィックのショボさが目立ってしまい、動画だと8ドット単位でのカクカクなスクロールでよりショボさが際立ってしまうのですが、ファミコンよりも大きいビッグコア、ファミコンでは実現できなかった長いレーザーなど、『グラディウス』の『グラディウス』たる要素はきちんと押さえられている作品です。今、新しい人にオススメしにくいんですけどね。オリジナル要素として、骨ステージの追加、高得点&1UPがあるエキストラステージが追加されています。





グラディウス2
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グラディウス2
<ストーリー>
第二次プラネット・ウォー「闇の女神戦」は、新鋭パイロット、ジェームス・バートンの活躍により、バクテリアン撃退に成功した。この戦いによって、リークパワーは大いに注目を集め、民間をも巻き込んだ開発競争が激化していく。そのようなな状況の最中、宇宙科学庁に初のリーク人技術長官が誕生した。その技術長官の名前は「ヴェノム」

ヴェノムの指揮の下、エネルギー効率を飛躍的に改善した「ハイパードライブシステムII」が完成。宇宙技術庁は、この技術を使った最新鋭超時空戦闘機「メタリオン」の開発に着手した。しかし、帝国政府はヴェノムの就任に対して微かな疑惑を持ち始め、ヴェノム周辺の調査を密かに実施する。時を同じくして宇宙科学庁内部のリーク人とグラディウス人の間にも、不和の空気が流れ始めていた。止まらない不和の流れはやがて大々的な反感へと燃えさかるのだった。

グラディス暦6664年。
宇宙科学庁長官ヴェノム博士を始めとする10名のリーク人たちによって、グラディウス帝国に対するクーデターが勃発する。しかし、クーデターは皇帝ラーズ17世の手により鎮圧され、軍事裁判の判決を受けたヴェノム博士たちは惑星サードへと追放。クーデターの影響により政局は不安定に。翌6665年、凶弾により皇帝ラーズが暗殺され、政府の後継者争いにより政局は混迷の色を深め、事態は最悪の方向に向かっていく。この混乱に乗じて、ヴェノムたち10名のリーク人は、第三者の荷担により惑星サードから逃亡し、行方をくらました。

グラディウス暦6666年。
ネオ・スペースプラント7惑星からの通信が一斉に途絶えた。何者かによる侵略があったのだ。侵略の兆候は惑星グラディウス本星へと及ぶに至り、事態は更なる緊迫の度を増していく。軍部による必死な調査により、侵略者の正体が判明する。侵略者はヴェノム博士と9名のリーク人だった。彼は惑星サードに追放された後、バクテリアンの荷担を受け、惑星シンへ脱出。そこをベースとして構え、7つのスペースプラントを侵略。軍事要塞として手を加えていくと共に、惑星グラディウス本星に手を伸ばそうとしていたのだ。

バクテリアンは、グラディウス本星進行の実現を狙い、ヴェノムの野望に目をつけた。リーク人の能力を最大限に引き出すため、彼らに大掛かりなサイボーグ手術を施し、グラディウス侵略のための戦力をも与えたのだった。

帝国政府はこれに対抗する為、ビックバイパーのパイロットであり、リーク人でもあるジェイムズ・バートンをパイロットに任命。まだシステムに不安材料が残る最新鋭超時空戦闘機メタリオンをもって対処にあたった。憎しみが憎みを生む。後に、「サイレント・ナイトメア事件」と呼ばれる戦争のはじまりであった。

グラディウス02-01

<作品の解説>
アーケード版『グラディウスII GOFERの野望』よりも先に出たグラディウスの続編です。この作品から細かい設定が誕生し、MSX版グラディウスシリーズの世界観が深化といえるのではないでしょうか。ゲームのほうもかなり挑戦的で、斬新なアイデアが豊富に使われています。ステージ最後に待ち構えているボスが数種類の戦艦であり、撃破ダメージを与えると内部に侵入することが可能。最深部に到達すると特殊武器を手に入れることができます。最終ステージまで行ったと思ったら、「敵は惑星グラディウスに侵攻しているから、これまでのステージを逆に帰って行け」と言われ、マップが逆のステージが始まるなんて最高にイカしていると思いませんか。同じリーク人同士がイデオロギーの違いによって対立するというバックストーリーがとても切ないですね。





沙羅曼蛇
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グラディウス3
<ストーリー>
ラティス系惑星群――。
テスラ系銀河の中に位置するこの惑星群は、生命誕生から1億2千万年もの歴史を有し、惑星ラティスを中心に4つの惑星(アイネアス、ラウィニア、キルケ、オデュッセウス)で構成されている。

かつて古代ラティス文明が興ったという。古代ラティス人は現在実用化されているリークパワーとは比べ物にならないぐらい強力な原始リークパワーを巧みに利用していたらしく、非常に高度な文明を持っていた。古代ラティス人は惑星グラディウスのリーク人の祖という説もある。しかし、その古代ラティス人も、古代太陽の死滅によって滅びてしまう。しかし、古代ラティス人はその大いなるい力によって、「炎の予言」と呼ばれる予言の文章をいくつも遺していた。彼らは1万年に1度の神聖な日食の日、地下祭壇にて儀式を執り行ない、その強大な古代リークパワーをもって、1億年もの先の未来をも見通す事ができたという…。

古代ラティス人は、自分たちの遥かな子孫の滅亡まで予言していた。「炎の予言・序章」と呼ばれるテキストには次の詩が記されている。

我等は赤き太陽の永遠に沈みし時から
やがて滅び行く運命と知りしものなり

我等は我等の子孫を救うため
我等の見うる来たるべき世界の予言を行うものなり

我等は六つの章にわたり
未来の災いをここに 炎の予言 として書き記す

そして今、予言の時がやってきた。惑星ラティスを取り巻く4惑星は、「沙羅曼蛇」と呼ばれる謎の艦隊によって攻撃を受け、惑星ラティスは制圧されてしまう。多くのラティス人が沙羅曼蛇軍の制圧した軍設備に収容されていく中、運良く難を逃れた人たちは輸送中継ステーションZOTに退避。惑星グラディウスに向け、救援要請を発信する事はできた。しかし、ZOTが攻撃を受けるのは時間の問題だろう。

ラティス系惑星群は、オデュッセウスに本拠を置いた沙羅曼蛇軍により、惑星軍は全て制圧。惑星ラティスは沙羅曼蛇軍が発生させたゼロスフォースによりオゾン層を破壊。ラティス人の生存が不可能な状態にされてしまっている。

救援要請を受けたグラディウス皇帝ラーズ18世は、「シードリーク法」の軍事利用をもって、ラティス系惑星群の危機を救うため行動を開始した。シードリーク法とはリークパワーの照射により、惑星の大気圏外に人口オゾン層を発生させるメカニズムで、本来ならば未開の無生命惑星を生存可能な状態にするためのものだった。

この救出作戦は「シードリーク作戦」と命名され、4つのプロセスをもってラティス系惑星群に住む人々の救助にあたるものだった。作戦は、残留ラティス人達の救助、ラティス系惑星群における沙羅曼蛇軍の排除と殲滅。同時にリークシステムの設置・作動によりゼロスフォースの除去。これらの行動を極めて短期間の間に行わなければならない。

なお、炎の予言には本件と関わる条項が示されている可能性が極めて高く、新たな予言の探索と解明も平行して行なうことが望ましい。

グラディウス03-01

<作品の解説>
長いストーリーが何を言っているのかよく分からないと思いますが、要はリーク・パワーをめぐる惑星グラディウスとバクテリアンの三度目の戦いです。今作はアーケード版『沙羅曼蛇』の移植ではなく、アーケード版『沙羅曼蛇』の設定を違う解釈でゲームに取り入れた作品であり、「炎の予言」がそこそこ重要な意味を持っています。ああ、あと「永遠のクリスタル」という重要アイテムもあります。いずれもステージのどこかにある遺跡で見つけられるでしょう。シューティングゲームの中に、探索&謎解きという新しい要素を入れたゲームなんですね。そして本作は『グラディウス2』の裏面、という意味合いもあり、本当のエンディングを観るためにはMSXのスロット2に『グラディウス2』を挿さないと、真の最終ステージヴェノム艦が現れないのでした。かなり挑戦的な意欲作なのですよ。





ゴーファーの野望 エピソードII
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グラディウス4
<ストーリー>
グラディウス暦6718年。
ラーズ18世(ジェイムス・バートン)死去。享年77才。翌年、その数々の偉業を後世に伝えるべく、ジェイムズの丘造成。

グラディウス暦6790年。
「ディヴィッド・バートン」誕生。ジェイムス・バートンの直系子孫である彼もまた、強力なリーク・パワーの持ち主だった。

グラディウス暦6809年。
亜空間戦闘機「ヴィクセン」完成。かねてより切望されていたバクテリアンの本拠地である亜空間への入口がこれで開かれることとなった。パイロットは、ディヴィッド・バートンその人である。かくしてグラディウス帝国は、バクテリアンの本拠地へ初の侵攻を試みるのだった。ヴィクセンの部隊が亜空間をわたる最中、搭載されているA.I.C〔ARTIFICIAL INTELLIGENCE COMPUTER〕「ガウディ」のソナーが異常をキャッチする。

バクテリアン軍が、時空超越装置で過去へ向かった痕跡があるという。さらにデータを集めることで、驚愕の事実が判明する。バクテリアンの行先は、グラディウス暦6644年。まだ幼い英雄ジェイムズ・バートンを抹殺し、その後の歴史を変えてしまおうというものだった。ヴィクセンの亜空間航法とブラックホール・パワーを使い、あとを追うディヴィッド。

そしてたどり着くグラディウス暦6644年。しかし、亜空間航法によって時間のズレが生じてしまい、バクテリアンよりも半年後の時代に辿りついてしまう。グラディウス軍は未来からのバクテリアンの侵攻に苦戦を強いられている。未来から来たヴィクセン部隊は、この時代のグラディウス軍と協力し、バクテリアンの精鋭、特殊部隊GOFERと戦う。すべての始まり「北十字戦」は、すべての決着をつける最終決戦でもあったのだ。

グラディウス04-01

<作品の解説>
『グラディウス2』から存在が明らかになっていた『グラディウス1』の前のバクテリアンとグラディウス軍の戦い「北十字戦」。実はそれは、未来から進行してきたバクテリアンの特殊部隊GOFERと、同じ未来から追いかけてきたグラディウス軍ヴィクセン部隊の戦いだった――という話。『GOFERの野望 エピソードII』というタイトルが分かりにくいですが、「あったかもしれない、もう1つのGOFERの野望」と解釈するべきでしょう。まあ、とにかくMSX版グラディウスシリーズの最終作ということもあり、集大成というべきアイデア満載な作品です。ぶっちゃけ、アーケード版『グラディウスII GOFERの野望』らしさはほとんど見られません。代わりに、MSX版オリジナル要素がたっぷり詰まっています。

ところが、本作でもヴェノムとの決着は着くことがありませんでした。リーク・パワーの光と影の戦いの決着はついに見られなかったのですが…。



グラディウスV
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グラディウス05-01

2004年7月22日にプレイステーション2で発売された『グラディウスV』では、MSX版グラディウスサーガの「その後」を知ることができます。実は、ラスボスが自分のことを「ベノムの一部」だと告げるのです。

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このラスボスは、歴代のグラディウスシリーズの敵とちょっと違うんですよ。いきなり惑星グラディウスに直接攻撃を成功させています。そして、基地内部まで侵攻させているのです。さらに、しょっぱなから巨大戦艦を出し惜しみせず、序盤にボスラッシュがあるくらい。加えて、自分が載った船を惑星グラディウスに墜落させて、星に大ダメージを与えようとするのです。この行動、『グラディウスV』だけをプレイしたのでは、ちょっとよく分かりません。しかし、ここまでMSX版グラディウスサーガを読んでいくと、ヴェノムのグラディウス人への怨念の強さが分かるわけで。『グラディウスV』のラスボスの行動には一貫性があることが見えてきます。

『グラディウスV』では、ビックバイパーの時空戦闘機としての性能の1つとしてタイムワープが行なわれます。自機と周囲のものを、別の時間、別の場所に転送させるというもの。これによって、ビックバイパーが二機、同時に同じ敵に立ち向かうというシチュエーションが発生するのですが、これは2つの宇宙がつながった、とも考えられないでしょうか。アーケード版『グラディウス』の宇宙、MSX版『グラディウス』の宇宙――。2つが重なり、どちらも正統グラディウスになった。こう考えることで、凄い作品なのにずっと日陰を歩んできたMSX版グラディウスシリーズが報われたような、そんなに気持ちに1人でなっていたりするのです(笑)。





グラディウス・リバース
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グラディウス06-01

2008年9月に配信開始(現在は入手不可)のWiiウェア『グラディウスリバース』は、MSX版グラディウスサーガのお話です。時代設定は、MSX版『グラディウス1』とMSX版『グラディウス2』の間であり、グラディウス宇宙軍にデビット・バートンもヴェノム博士も所属しています。1周目をクリアすると、試作型メタリオンでプレイすることも可能になったり、BGMがMSX版グラディウスシリーズのものが使われていたりと、MSXユーザー向けのファンサービス満載です。

これはまだ、ヴェノム博士がクーデターを起こす前であり、バクテリアンによって永劫の憤怒の地獄に捕らわれる前の、ある意味、幸せだった時代の物語と解釈することも可能です。MSX版グラディウスシリーズの物語を知った後でプレイすると、違った見方になるかもしれませんよ。





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