【降矢木発掘】『オルゴール サイキック・ディテクティブ・シリーズvol.4』(PCエンジン)――奏でられるのは愛のメロディ。惨劇は哀しくもやさしい地獄。

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1993年8月にデータウエストから発売されたPCエンジンSUPER CD-rom2用ADV『Orgel(オルゴール)』前回紹介した『AYA(アヤ)』と同じ、FM TOWNSやPC9821シリーズで展開されていたPCゲーム用ADVサイキック・ディテクティブ・シリーズの第四弾の移植作品であり、『AYA』の後の話(といっても物語の関連性はない)になります。

『オルゴール サイキック・ディテクティブ・シリーズvol.4』とは

前作同様、主人公はサイコアナリスト・降矢木和哉(ふるやぎかずや)。彼は人間の心の中にマインドダイブするという特殊能力を持つ探偵であり、彼のもとには、その能力を用いなければ解決できない奇妙な事件がいつも舞い込んできます。今回の依頼は、有名建築家の妻である影藤智奈子(かげふじちなこ)から。この依頼内容は、近々、館に集まってくる5人の中に、館に代々伝わる自動人形を盗もうとしている者がいるのでそれを阻止してほしいというものでした。

かくして降矢木は、智奈子の夫が建てたという屋敷・奇談亭に赴き、5人の訪問者たちに交じって、情報収集を行ないながら、自動人形を盗もうとしている犯人を探し出すことになります。ところが、訪問者が集まった時点で開催されるというパーティはいつまで経っても始まらない。それどころか、主催者である智奈子は姿を見せず、かいがいしく働いていたばあやも姿を消してしまいます。一体、何が起ころうとしているのでしょうか。

そう、今回は探偵小説でいうところの「館モノ」。奇談亭という巨大で不可思議な洋館の中で、惨劇に立ち向かうというお話です。

事務所に到着してから20分も沈黙を守り続けるサイコな依頼者。
5人の容疑者たち。
降矢木が守ることを依頼されている市松人形。カラクリ人形らしいのだが…。

前回と異なり、オーソドックスな探偵ADVに

前作『AYA』は、本シリーズの特徴であるアニメーションとマインドダイブにスポットを当てた作風ということもあり、序盤から「いわゆるフツウのADVとは違いますよ」というテイストがぶちこまれていましたが、本作は逆に振り切ったカタチで、超オーソドックスな探偵ADVとなっています。

舞台である奇談亭は、2階建てのかなり大きな洋館です。その館内のいたるところに移動して、人と会ったら会話を行ない、その中で気になったことが出てきたら、その対象人物を館内で探して、直接聞いてみる…という展開がつづきます。いわゆるコマンド総当たりADVというやつですね。そう、フツウ。フツウなんです。ゆえに、シリーズ未経験者には非常にとっつきやすい作りとなっているのですが、シリーズを知る者としてはちょっと物足りない気がしなくもありません。

しかし、心配ご無用。「フツウのADV」という部分はすべて伏線であり、驚愕のラストへのミスリード。後半は、いつのもアダルティックでサイコな怒涛の展開が待っています。

洗濯機に身体を入れられて、ゴウンゴウンと足が回っています。
ここが、本作の舞台となる「奇談亭」。この奇妙な名前も建築家本人による命名だとか。
こちらは移動画面。このすべてを何回も回っていく必要があります。

『Orgel』の登場人物たち

主人公、降矢木和哉。サイコアナリスト(正確には元サイコアナリスト)。前作『AYA』で明らかになった過去の事件で恋人の真行寺彩を亡くして以来、サイコアナリストを辞めて探偵のような仕事をしている。
イラストレーターの桜沢加奈子。奇談亭に行く途中の道で知り合い、車に乗せてもらって以来、親しく話すようになる。奇談亭という建物に興味があり、その絵を描きたいと言っているのだが、実は、ある秘密を抱えている。
町工場を経営している山田影一。「経営者と言っても零細企業ですよ」と謙遜しているが、なかなか上手くやっているらしい。実は弱電に強く、その特技が館に集まった一同を救うことになる。
売れない俳優、鴨川宗尋。発言する内容がすべて軽薄な男。なぜか亡き建築家から多額の援助をもらっていたらしく、羽振りが良かったらしい。しかし、今はお金に困っており、ヤバイことに手を出しているという噂も。
医者である坂藤幸信。もともとは影藤家のかかりつけ医を担当していたが、あることがキッカケで、その関係は断たれてしまったらしい。にもかかわらず、今回、館に呼ばれた理由とは何なのだろうか。
菊岡みどり。パーティーが開かれると聞いてやってきた。実は父親が影藤家に仕える執事だったらしく、何か重大な秘密を知ってしまったという。
老婆。 影藤智奈子に幼少時より仕えている。
物語の中盤からあらわれる羽柴姉妹。彼女たちの目的はいったい何なのか。

『Orgel』とは、こんな話

すべては、亡者さえ甦りそうな、この熱い夏からはじまった。
奇談亭にたどり着いた降矢木。5人が到着するまで館内をいろいろと散策しておこう。
いつの間にか到着していた客人たち。実はここにも伏線が張られています。
異様な存在感を放っている「塔」。ここに入るためにはカギが必要なのですが、かなり見つけにくいところにあるため、侵入できるのは終盤になります。
樋渡京介。降矢木が密かに館に招き入れた協力者。彼の登場によってどんな化学反応が起こるのか。
ズタ袋に入れられ、両目をえぐられている死体。坂藤医師はそれでも「これは事故だ」と言い張る。
生暖かいものが飛んできて顔についたため、何が飛んできたのか暗闇を調べてみると…。
「この館の中で一番涼しいのは冷蔵庫。いっそ、この中に入りたい」と言っていた人物は、意外な方法で夢を叶える。
加奈子が見たという、館内で宙を舞う小柄な少女。その正体は何なのか。
明らかに人間では不可能な犯罪が次々と起こっていく。クローゼットには全身の皮をはがされた人間が…。
ついに出会うことになる2人の少女。彼女たちは何者なのだろうか。

そして、もの悲しいラストへ

正直、PCエンジンのADVの中でも完成度が高いとは言えません。『AYA』の時から言っているように、本作の魅力の多くはこのアダルティックでサイコな世界観であり、一般的なコンシューマゲーム機のADVとしての内容量を求めると、ちょっと後悔することになるので注意が必要です。

前述した、フツウの探偵ADVとしての展開が長く、ゲーム全体の7割ほどを占めます。ぶっちゃけ、大して面白くない展開のくせに、フラグ立てが面倒くさい作業にも感じてしまう内容です。それらが終わると、物語は崩壊に向かって一気に進んでいきます。この点を挙げて、本作の不満点とする方もいます。

しかし、本作の背景にある悲劇を理解するためには、このゲーム全体の7割を占める前半の人物関係の理解が欠かせません。

フツウのコンシューマゲーム機向けのADVではありえないことですが、本作では事件の真相のすべてが語られません。いや、本当は語られているのですが、分かりやすく解説されていないのです。「察してね」という描かれかたをしており、まあ、理解していなくてもクリアはできるのですが、事件の主犯である人物の精神をここまで追いつめてしまったのは何だったのか。誰だったのか。その日、本当は何が起こったのかは、プレーヤーの想像に委ねられています。真相を知るヒントが、前半の探偵パートなのです。

『AYA』と同じテイストを守りつつ、まったく別の物語を提供してくれた『Orgel(オルゴール)』。タイトルにもなっているオルゴールによるメインテーマがPSG音源になってしまっていたり、原作に比べるとパワーダウンしている点は多々あるのですが、コンシューマADVとして独特の世界観を確立している作品として、 『Orgel(オルゴール)』 の魅力は今なお輝いていると思います。

みなさんの思い出

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ナオヤさんの思い出
ADVゲームが好きだった自分はサイキックディテクティブシリーズを知らずに本作を購入し、「なんか、途中から意味が分からなくなる」と思っていました。友人に相談して「これは、ダイブしてたんだよ」と教えてもらい、とても衝撃を受けました。物語の深みもわかり、語られなかった出来事を友人と想像したりして忘れられない作品となりました。今でもたまにCD-ROMに入っているエンディング曲を聞いて当時を思い出します。

ジョーンズ:
そう、意味分からない急展開があるんですよね!?設定がトリックになっているというか。なんとも不思議な魅力のある作品だったと思います。

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