
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1988年4月にコナミがMSX用シューティングゲームとして発売した『パロディウス ~タコは地球を救う~』。『グラディウス2』をベースに社員がストレス発散用に作っていたシューティングゲームが上層部の目に止まり、「もったいないから商品化しろ」ということで、かなり短い開発期間で作られた作品だと聞いたことがあります。
個人的には、はじめてこの作品を見たとき、「こういうノリでゲームを作っていいんだ!」と度肝を抜かされました。そして、こんなゲームを商品化してもいいパソコンゲーム市場の自由さと、いい加減に見えるものの中味はきちんと遊べるものに仕上げるコナミの技術力に、心の底から驚いた記憶があります。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『パロディウス ~タコは地球を救う~』のストーリー

時は西暦1988年、受験シーズンのまっさかり。
全地球的規模で人々は夢を失っていた。若者たちは受験地獄に苦しみ、子どもたちは親よりもゲームパソコンを大切にすると言い、大人たちは日々の苦しみに追われ、世界各国ではスパイが暗躍し紛争が絶えず、民主主義と共産主義の衝突による第三次世界大戦勃発の不安は高まり、占星術師と科学者は地球の滅亡を説き、そして人々は次第に夢を失っていった……。
今ここに宇宙を旅し、巡り会った星の人々に夢と希望を与えるプログラマー「タコ」がいる。若くして芸人を目指し、タコ八介に弟子入りし修行をつんだが、師匠の突然の水死により、横山クック門下に生きる望みを求めた。しかし、初舞台で観客にスミをかけてしまい破門されてしまう。彼は、自ら修行の場を宇宙に求め、新しいエンターテイナー「夢プログラマー」として大成。全宇宙に夢と希望を与え、平和の芽を植えてやるのが、彼が行きついた究極の芸だった。
んが、しかし、そうは八百屋?いや魚屋?でもない一杯飲み屋じゃなくて、そう!問屋がおろさなかった。宿敵バグの出現である。
タコがプログラムして人々に与えた夢や希望をバグが食い蝕んでしまうのだった。そして彼の出現はいつも突然だった。タコがプログラミングを終え、その星を離れホッと一息ついていると、いきなりバグ発見の通報が入るのだ。飛んで駆けつけてもバグの姿はもうない。そんなタヌキ?キツネ?いやイタチごっこをくり返すのが常だった。
タコは考えた。タコも考えるのだ。バグを倒すには、もう一度かつてのデビューの地、地球を訪れ、初心忘るべからずなのだ(何のこっちゃ?)。
そんな全く解決にならない理由で地球を訪れたタコは我が目を疑った。かつての地球人は夢と希望にあふれ、人々は互いに信じ合い、尊敬し合い、相和し、相睦み、それはそれはほんにステキな星じゃった。それが今や冒頭で説明したような有様。タコはゴックン、ピーン!ときた。これはバグの仕業に他ならない。バグが地球の近くに来ているのだ! これ以上地球が悪くないうちにバグを倒し、地球人の夢を取り戻さなくては! その頃偶然、隠居生活を送り、ムーン旅行に出かけていたビックバイパーが小惑星近辺で地球人の夢をメイン料理にし、いただきますをしているバグを発見した。
タコは立ち上がった。タコも立つのだ。8本足だから力強い。そして、いきなりこじつけのような形で登場したビックバイパーと、強引ともいえる人選により、ペンギン、ゴエモン、ポポロンをパイプ?葉巻?たばこ?いや、パートナーとし、小惑星帯に向けて旅立ったのだ。彼らの行く手には、いかなる運命が待ちかまえているのか。
そりゃあんた、やってみな分からんわな。
『パロディウス ~タコは地球を救う~』のスクリーンショット






『パロディウス ~タコは地球を救う~』の魅力

一回こっきりの単発ネタと思われた『パロディウス』が、まさか本家グラディウスのシリーズ終了後にアーケードに移植され、さらにはシリーズ化されるとは1988年代のMSXユーザーの誰もが予想しなかったことでしょう。それくらい、発売当時の『パロディウス』はぶっとんだ作品でした。
敵の爆発アニメーションが「ひでぶっ!」になるなんて、中学生や高校生のプログラマが作ったおふざけ同人シューティングレベルです。しかも、ステージの途中には巨大で変顔をしたモアイが、口からイオンリングではなく、鼻から大量のハナクソを噴き出してくる。正気とは思えません。中学生や高校生のプログラマが作った同人シューティングならこのあたりでネタ切れで終わるのですが、本作はそんなビジュアルインパクト大なネタと、大胆なアイデアのステージギミックと、結構遊べる絶妙な難易度でずーっと続きます。それが『パロディウス ~タコは地球を救う~』というゲームです。
シューティングゲームのステージボスとジャンケン勝負。「負け」ならステージの最初に戻される。「あいこ」なら普通に戦いが始まる。「勝ち」ならボスが自爆する。
ステージの途中にカベがあって行き止まり。どう考えても先に進めない。でも、ステージ上に空いている穴に入ってみると、ステージ下にある穴から出てくることができて先に進める。ループしとんのかい。
思いついても普通はやらないアイデアを、高い技術力で実現し、いい感じのバランスに調整する。パロディが1つのブームになっていた80年代の豊かだったからこそ許される空気がある。シューティングゲームとしての完成度はリメイク版にあたる『パロディウスだ!』のほうが上かもしれないけれども、パロディという免罪符を得たことでグラディウスの「らしさ」から解放された感は本作のほうが上だし、本作ならではの魅力な気がします。
カクカクスクロールのため遊びやすい作品とは言えませんが、時代の空気を味わうのがレトロゲームの嗜みであるならば、本作は他にはない楽しみを与えてくれる一作といえるでしょう。
『パロディウス ~タコは地球を救う~』で遊ぶ方法
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