【PSストアのオオスメ】『ポリスノーツ』(PS1)――MGSを作る前の小島監督が世に放った、小島監督の映画好きがすごくよく伝わってくるバディポリスADV!

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『ポリスノーツ』(PS1)とは

コナミが1996年1月にプレイステーション用ADVとして発売した作品です。原作は、1994年にPC-9821というパソコン用に作られたADVがベースとなっているため、1990年代のPCゲームADVっぽさが色濃く残っている作風が特長。味方によっては古臭く見えるかもしれませんが、個人的には一周回って新鮮です(笑)

小島監督が手がけたADVといえば『スナッチャー』が有名です。『スナッチャー』は映画的手法を取り入れたADVと言われています。どのあたりが映画的手法なのかというと、これはあくまで俺の個人的見解ですが、PCゲームのADVが「謎を解いてゲームを先に進める」という体で生まれたのに対し、ストーリー性を前面に出し、またガンシューティングシーンを取り入れるなどして、「物語を体感する」というカタチにまでレベルアップさせたことなのかなと思っています。本作『ポリスノーツ』は『スナッチャー』のゲームデザインをより進化させて作られた、小島監督ADVの集大成と言える作品ではないでしょうか。

とはいえ、手放しで賞賛できるかというと、実はそうとは言えません。

『スナッチャー』が映画『ブレードランナー』や『ターミネーター』などをベースにして作られたのに対し、『ポリスノーツ』は映画『リーサルウェポン』シリーズや『ダイ・ハード』シリーズなどをベースに作られています。そのため、作風がまったく違うんですね。1つの作品としてまとめられたという点では、未完で終わってしまった『スナッチャー』より『ポリスノーツ』のほうがよく出来ているのですが、逆にきれいにまとめすぎた感もあり、作品としての爆発力は『スナッチャー』に劣る印象があります。カタルシス不足と言いますか。作風と描いている者が違うのでどっちが面白いとひと言では言えないのですが、そういうジレンマがある作品でもあるのです。

とはいえ、小島監督が『スナッチャー』の時よりもゲーム作家として成長しているのはたしかなわけです。発売から25年が経過した今だからこそ、レトロゲームとして今一度プレイし直してみることで、以前は分からなかった『ポリスノーツ』の魅力に気がつくのではないかとも思います。

『ポリスノーツ』(PS1)のストーリー

人類は増えすぎた人口を宇宙に移民されるため、2010年、初のスペースコロニー「ビヨンド・コースト」を設立させる。そして、移民による人口増加とスペース・コロニー内の治安維持のために、警察権限を持つ宇宙飛行士5人が各国の警察機関より選抜された。彼らはポリスノーツと呼ばれる。

そんなある日、ポリスノーツの1人ジョナサン・イングラムは、船外作業中の事故により宇宙の彼方へ吹き飛ばされてしまう。宇宙を漂流するジョナサンは人工冬眠状態で奇跡的に救助されることに。しかし、彼が目が覚めた時、すでに25年の月日が経過していた。

妻のロレインは別の男をすでに結婚しており、宇宙恐怖症のためビヨンド・コーストに住むこともできない。ジョナサンは宇宙に上がる前に住んでいたオールド・ロサンゼルスで、警察時代の腕と経験をもとに交渉人まがいの探偵業で日々を送っていた。彼を訪ねてくるのは、胸糞が悪くなるような依頼をしてくる者たち。しかし、ある夜、ジョナサンのもとに現れた依頼人は、元妻のロレインだった。

ロレインからの依頼は、疾走した現夫である北条を探してほしいというもの。北条はトクガワ製薬に勤務しているが数日前から様子がおかしく、つい先日、出社もせずに疾走してしまったとのこと。ロレインは夫の疾走にはトクガワ製薬が絡んでいると考えており、ビヨンド・コースト内ではトクガワ製薬の経済的支配下であることから、ビヨンド・コースト外で頼れる人として、ジョナサンを訪ねてきたのだった。

しかし、まだ思いを残している元妻からの現夫の捜索依頼。ジョナサンは依頼を即答することができなかった。そして、ロレインを見送るのだが、ジョナサンの目の前でロレインは車の爆発に巻き込まれてしまう。それは同時に、ロレインの口を封じなければならない「何か」が存在するということ。死にゆくロレインを抱きしめながら、ジョナサンは愛する元妻からの依頼を受けることを決意し、因縁の場所、スペースコロニー『ビヨンド・コースト』に向かうのだった。

すでに見違えるほど発展したビヨンド・コーストを1人で操作するのは難しい。そこでジョナサンは、ロサンゼルス市警時代の親友であり、いっしょにポリスノーツにもなった、黒人警官エド・ブラウンを頼ることにした。

オススメの理由

本作のオススメポイントは、画面のいたるところにポインタを当てて調べていく…という90年代ADVを堪能できるところです。90年代から00年代にかけて、ADVはなるべく手間をかけずにテキストを楽しむカタチに進化していった結果、『ポリスノーツ』のようなゲームシステムのADVはほとんど見かけなくなりました。だからこそ、レトロゲームとして楽しむ価値があります。

また、『スナッチャー』の時もそうでしたが、小島秀夫監督作品のADVでは、同じコマンドをくり返し選ぶことで、思いがけないセリフができたり、あり得ない選択肢が出てくるといった“お遊び”要素があります。これらは『ポリスノーツ』でも健在です。

ガンシューティングによる銃撃シーンの健在で、『スナッチャー』の時は画面9分割の早押しに射撃でしたが、『ポリツノーツ』ではマウス操作を想定した『リーサルエンフォーサーズ』のような銃撃戦にパワーアップ。PS3では市販のUSBマウスを使用できるので、興味がある方は試してみてください。

また、本作ではエドの部下としてメリル・シルバーバーグが登場します。『メタルギアソリッド』で登場する彼女とは設定が少し違い、元ハイテク特殊部隊FOX HOUNDの最後の隊員であり、ザンジバーランド陥落(『ソリッドスネーク』の舞台)にも参加したとのこと。メリルの相棒にデイブという若者がいるのですが、『メタルギアソリッド』のエンディングで、デイヴィットという本名を明かしたソリッド・スネークに対して「デイブね」とメリルが話すシーンの元ネタはこの『ポリスノーツ』だったりします。

28年ぶりに再会するジョナサンとロレイン。彼女の依頼がジョナサンを一大事件に巻き込む。
異常気象によって雪が降るロサンゼルス。時々アニメーションが入ります。
ロレインの車に何者かが細工をしたことに気がついたジョナサンは注意をうながすのですが…!
突然始まるガンシューティング!障害物から出てくる敵を狙って撃て!
画面上のあやしいところにポインタを当ててボタンを押すと調べられるというシステム。
画像とテキストだけでは伝えられないアクションシーンはアニメーションで表現!
正直、アニメーションデータの圧縮による劣化はひどく、小島監督が『メタルギアソリッド』でムービーを使うことを嫌がったというのも納得。これが当時のPS1の性能の限界か。
宇宙酔いで苦しむジョナサンに話しかけてくるフローズナー。『ダイ・ハード』のオマージュ。
スチュワーデスさんの胸を何回かさわっていると、「エッチさん」と呼ばれるようになる。
親友のエドと再会。しかし、エドは閑職に回されており、落ちぶれてしまっていた。
エドの部下であるデイブとメリルもジョナサンの捜査を手伝ってくれることに!

PSアーカイブスならお値段628円

DISC2枚組の小島秀夫監督作品を628円で楽しめるというのは、かなりお得だと思います.25年というコールドスリープで現代に居場所を無くした男が、愛していた元妻の死によって奮い立ち、同じく落ちぶれてしまった親友の心をよみがえらせ、いっしょに巨悪を倒しに行くというバディポリス物。こんな小島秀夫監督作品もひさしぶりにいいのではないでしょうか。

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