
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです!
今回発掘した作品は、コナミが1986年6月より稼働開始したアーケード用シューティングゲーム『沙羅曼蛇(サラマンダ)』。あの名作シューティングゲーム『グラディウス』の続編として制作された作品です。しかし、本作はどちらかというと、外伝的続編として作られたようで、『グラディウス』の正式な続編は本作の後にリリースされた『グラディウスII GOFERの野望』と認知されるようになりました。では、『沙羅曼蛇(サラマンダ)』とはどんな作品だったのか、私たちは今、『沙羅曼蛇』とどう向き合うべきなのか、話していきたいと思います。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『沙羅曼蛇』(アーケード版)とは

『沙羅曼蛇』(アーケード版)は、実験的な意味合いの強い作品だったと推測されます。それは一応『グラディウス』の続編として主役機に前作と同じグラディウス宇宙軍のビックバイパーがいるものの、ゲームとしては『グラディウス』の特長であるパワーカプセル方式を破棄。一般的なシューティングゲームのように、ステージ中の敵を倒すことで現れる「スピードアップ」「ミサイル」「リップル」「レーザー」「マルチプル」「フォースフィールド」といったパワーユニットを取得することでパワーアップしていくシステムになりました。また、ステージ中でやられたとしてもその場から復活できる仕様に。これらによって、『グラディウス』の問題点である「途中でやられると復活が難しい」は大幅に改善されることになりました(ただし、復活が難しい難所は多数あるが)。
なぜ、このようなシステム変更がなされたのか。それはおそらく、本作の売りである「2人同時プレイ」を念頭に置いたゲームだったからと考えられます。『グラディウス』のパワーカブセル方式の場合、オプションを1つつけるためには5つのパワーカプセルを回収する必要があります。2つつけるならパワーカプセルは10個。これが2人同時プレイとなった場合、パワーカプセルは一体いくつ必要になるのか。それは敵編隊の配置に大きく関わり、下手をするとゲームバランスが崩れることになりかねません。味方同士でパワーカプセルを奪い合うというゲームにもなりかねないでしょう。しかし、パワーユニット方式にすることで、隣りに座るプレーヤーが最大の敵になることはなく、2人で協力して攻略するゲームになっているところがポイントでしょう。
2人同時プレイの際に一番の問題は、自分が動かしている自機を見失いがちな点です。そのため、2P側にはロードブリティッシュというビックバイパーとは色の違う自機が用意されています。
『沙羅曼蛇』(アーケード版)の特長の1つに、ゲームのテンポが良くなっていることが挙げられます。ステージのスクロールが速いです。そして、初見殺しといえるステージギミックや敵攻撃が散見されます。これは、ステージの壁である細胞の増殖、巨大な牙が飛び出てくる、吹き上がるプロミネンスといった美麗グラフィックによって巧妙に印象操作がされていますが、初見殺しのトラップです。しかし、やられてもその場で復活が出来、しかもやられた時期のオプションは画面に残り回収可能。加えて、パワーユニット方式のため復活もしやすい。
これらのことから俺が導き足した結論は、『沙羅曼蛇』(アーケード版)はインカム回収率を上げるために作られた実験的な作品ということです。とにかく、ホイホイ100円玉をつぎ込みたくなる作りになっています。
しかし、魅力的なゲームでなければ、プレーヤーはお金を出しません。『沙羅曼蛇』(アーケード版)は、前作同様の横スクロールステージだけでなく、1ステージ置きに縦画面スクロールステージを作るなど、2つのゲームを作るような労力を用いていますし、細胞の増殖、飛び出す巨大な牙、再生する細胞の壁、巨大なプロミネンスなど、個性的なボスキャラといったビジュアル面、名曲といわれるサウンド面でも、同時代のシューティングゲームの中では最先端を行く内容をギユッと詰め込んだ贅沢なゲームだったのも事実だと思います。そして、この開発費回収のために、インカム回収率を上げる仕様になったのかもしれませんね。
『沙羅曼蛇』(アーケード版)のストーリー
美しい輝きを放つ水の惑星ラティスには、太古より伝わる炎の予言があった。
「千光年の彼方より、炎の海に棲む巨大な竜が目覚める時、狂気のフォースが迫り来て、天地は闇に飲み込まれ、やがて光は打ち砕ける」
強大な勢力で侵略を続けるバクテリアン星団、サラマンダ軍の進行が、ついに惑星ラティスへと及んだ。サラマンダ軍の猛攻にラティス軍は成す術もなく、敗退をくり返してしまう。惑星ラティスの王子ロードデリティッシュは、自分の名前を付けた時空戦闘機「ロードブリティッシュ号」に自ら乗り込み、敵との戦闘を行なう。しかし、満身創痍で脱出することになり、かつてバクテリアン軍団を打ち破ったと言われる惑星グラディウスに救援を求めた。
報告を受けた惑星グラディウス軍の勇者は、ロードブリティッシュ号を伴い、強大な支配力を持つサラマンダ軍の母星へと飛び立つため、超時空戦闘機「ビックバイパー」を発進させた。
『沙羅曼蛇』(アーケード版)のスクリーンショット






『沙羅曼蛇』(アーケード版)の魅力

『沙羅曼蛇』(アーケード版)は、シンプルなゲームシステムのため取っつきやすくて、ビジュアルインパクトの強いゲームだと思います。とにかく、次に何が起こるか分からない、そんなワクワク感があります。ステージ1の増殖性細胞ステージはまさに“掴み”としてはバッチリ。ステージ上下に存在する地面部分の細胞が突然モコモコモコッと増殖してきて、様子を見ていると先に進めないように壁を作ってしまう…なんて、これまでのゲームじゃ考えられない演出・ステージギミックでした。そして、そんな細胞から突き出される巨大な牙。行く手を阻む細胞の環状帯。すぐに裁定してくる細胞壁を破壊しながら先に進む展開。そして待ち受ける巨大な脳みそに触手が生えたボス。ゴーレム。気味悪くも美しく描かれたステージと怒涛の展開が続くゲームは衝撃的でした。
同じようなステージが続くのではなく、ステージごとにガラリと変わった展開を見せてくれるのは『グラディウス』の特長でしたが、『沙羅曼蛇』はその一歩先を行き、いきなり横スクロールから縦スクロールに変更。まったく違うシューティングゲームになりました。アステロイドベルトでの隕石を避けながらの敵編隊との攻防。そしてステージ最後に待ち構える巡洋艦テトラン。『グラディウス』のステージボス・ビッグコアと同様の遮蔽版とコアを搭載しながらも、4本の触手を回転させて攻撃してくるその姿は、「バクテリアンにはビッグコアみたいな戦艦が他にもたくさんあるんだ!」と興奮したものです。
ステージ3になると再び横スクロールへ。ステージの上下は燃えさかる炎。しかも、ある地点に差し掛かると、巨大なプロミネンスが吹き上がります。完全に初見殺しのトラップです。しかし、美しすぎるプロミネンスはインスタ映えポイントでもあり、よく雑誌で紹介されていました。ステージ1のようにあの手この手で攻めては来ず、プロミネンスしかないにも関わらず、それだけでお腹いっぱいという不思議。ステージの最後に出てくるのは火竜。ついにタイトルになっているサラマンダーと対決かと思いきや、これはイントルーダーと言う別モノの火竜。でも、テトラン同様、「バクテリアンには生物兵器もわんさかいるのか!」と、『グラディウス』以上に盛り上がりました。
このように、いろんな要素を詰め込んでいるのが『沙羅曼蛇』という作品の魅力といえるでしょう。『グラディウス』の火山ステージを縦スクロールにしてきたステージ4、敵の大編隊との戦いだけというシンプル構造のステージ5、縦画面でのモアイ、ビックコアとの連戦など最終決戦らしい盛り上がるを見せるステージ6など、見どころ満載です。残念なことに、コンティニューがかけ放題の家庭用だとゲームセンターほど盛り上がらないかもしれないのですが、シューティングゲームにおいて世界観の描き方に一石を投じた作品『沙羅曼蛇』。当時、多くのゲーセンプレーヤーたちを虜にしたその蛇の誘惑を、今あらためて味わってみるのはいかがでしょうか。
『沙羅曼蛇』(アーケード版)で遊ぶ方法
DL専売のアーケードアーカイブスにも『沙羅曼蛇』があります。

DL専売の『コナミアーケードクラシックスアニバーサリーコレクション』にも『沙羅曼蛇』は収録されています。

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