『ダイの大冒険』がどんな物語だったか、ふり返ってみる⑤(死の大地~漁村サババ~魔宮の門)

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の物語をふり返ってみる企画第5弾。実は、『ダイの大冒険』はこのあたりから連載引き延ばしの影響を受けたのか、ちょっと話が複雑に絡みこんでくる&まどろっこしくなってくるのです。この記事では、無駄なところはバッサリ切って、燃えポイントを押さえつつ、サクサク話を進めていきたいと思います。興味を持った方は原作本を買って読んでみてくださいね。

死の大地・超魔生物ハドラー戦

キルバーンとミストバーンと対峙するダイとポップの前に現われたのは、超魔生物手術が完了したハドラーでした。そのハドラーを前に「ダイの剣」がカシャンと全力戦闘態勢に入ります。ロン・ベルクは言っていました。ダイの剣は意志を持っており、自らの強大な力が必要な時だけ戦闘態勢に入る。つまり、ダイの剣はハドラーを強敵認定したのです。ダイもハドラーから受けるプレッシャーを感じ取り、最初から全力で戦かう決意を固めるのでした。

人も生物もいない死の大地に、ダイとハドラーの雄たけびが響き渡ります。剣を通して感じるハドラーのパワーアップにダイは戦慄します。「こいつはやばい!これまでのハドラーじゃねえ!」。ポップもひと皮むけたハドラーに最大限の警戒でのぞみます。ザボエラの研究成果である超魔生物化もありますが、ハドラーの精神的成長の占める要素が大きい変化でした。何度も何度も、何度も何度も、ダイたちアバンの使徒に敗れ続けてきたハドラー。ついには大魔王バーンから最後通告を受けて追い詰められ、それでも勝てなかったハドラー。魔王として魔軍司令としてのプライドをズタズタに砕かれたハドラーに残ったのは、アバンの使徒たちに一矢報いるという勝利への渇望。その執念により、ハドラーはプライド、魔族としての肉体、すべてを捨てさり、覚悟を決めることで、三流魔王から一流の魔人へと生まれ変わったのです。

ハドラーの猛攻に、押されまくるダイ。それもそのはず、ダイは鬼岩城を真っ二つにする戦いで体力を消耗しきっていたのでした。しかし、かつてない強さを身につけたハドラー相手では逃げることもできません。ダイはハドラーの必殺技による激突にのぞみ、相討ちとなってしまうのでした。

北の海の彼方へ消えたダイを救助したいポップ。しかし、キルバーンとミストバーンがそれを許しません。ポップは状況を冷静に分析し、自分が生還し、仲間たちを連れてダイを救助することが最善策と考え、断腸の思いで残りの魔法力を「にげる」に注ぎ込みます。そんなポップを見てキルバーンは言います。「意外と冷静だねぇ。やはりあのポップとかいう魔法使いはあなどれない」。ガルーダを連れたクロコダインの助けもあって、なんとかキルバーンとミストバーンから逃げることに成功するポップ。ベンガーナに戻り、仲間たちと共にダイの救助に向かいます。

ダイと相討ちとなったハドラーは大きなダメージを負ったものの、超魔生物の回復力で傷はみるみるとふさがっていきました。そして、大魔王バーンとの謁見にのぞみます。ダイたちの抹殺を指示されながらも今だそれを果たせていないハドラーは処罰されても仕方ありません。謁見の前にハドラーは、自分のために鬼岩城によるベンガーナ侵攻を引き受けてくれたミストバーンに感謝の言葉を伝えるのでした。そして迎えたバーンとの謁見。しかし、バーンはベールに隠された玉座にはいません。バーンはエントランスにおり、ハドラーにはじめて素顔を見せます。それこそ、バーンからハドラーへの信頼の証と語ります。

「魔界の神」と恐れられた大魔王バーンの正体は、年老いた老人でした。しかし、その身体に宿す強大すぎる魔法力、すべてを見通すような視線に、ハドラーは「敵わない…!器が違いすぎる…!」と平服します。そして、すべてを捨てて超魔生物となり、武人としてひと皮むけたハドラーを大魔王バーンは許すとともに、大魔王の親衛隊指揮を任せることになりました。しかし、強くなりすぎたハドラーには並の魔物では親衛隊は務まりません。そこでバーンが出したのはチェスの駒。しかも、オリハルコンで出来た、「歩兵(ポーン)」「騎士(ナイト)」「僧正(ビジョップ)」「城兵(ルック)」「女王(クイーン)」の駒。これらに、フレイザードを生み出した禁呪法によって生命を与えて新たな兵を作ってみろと、大魔王バーンは提案するのでした。

その頃、ポップたちは、氷山の一角に隠れていたダイを見つけることに成功します。新体制となった魔王軍の役職に自分の名前がないことを知ったザボエラる手柄を立てて役職をもらおうと独断で動き、救助されたダイたちを奇襲。しかし、その奇襲は謎の兵士によって阻止されてしまうのでした。その兵士こそ、ハドラーの禁呪法で生まれたオリハルコンの戦士、<歩兵>のヒム。ヒムは今は戦う気がないこと、大魔王の居城で待っていることをダイたちに告げて、ザボエラを捕縛して去っていきます。

ダイは無事でした。しかし、喜んでばかりもいられません。「ダイの剣」と竜(ドラゴン)の紋章を使いこなすダイでも倒せるかどうかわからない強敵ハドラーが現れてしまったからです。ハドラーの後ろにいる大魔王バーンとの戦いのときは迫っています。さらなる闘いに向けて準備が必要でした。

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漁村サババ・ハドラー親衛騎団戦

ベンガーナに戻ったダイたちは、新たな戦いに向けてそれぞれの修行にのぞみます。ダイヒュンケルロン・ベルクのもとで剣の修行を。クロコダインはバルジの大渦で新必殺技の習得を。マァム攻撃スピードの向上のための鍛錬にのぞむのでした。ポップ師匠マトリフにオリハルコンの戦士と戦うための修行をせがみます。それに対してマトリフは、究極の攻撃魔法の存在を語りだすのでした。

炎を操るメラ系の魔法、冷気を操るヒャド系の魔法は、熱を操るという点では同じもの。物質の分子運動を高めて熱を出すか、下げて冷却するかの差でしかありません。では、この正反対の力をぶつけてスパークさせると何が起きるのか。それは「消滅」。対象となる物質を消してしまう。それこそが究極の攻撃呪文、消滅呪文メドローア。横暴が服を着て歩いているようなマトリフに「おっかなくて数回しか使ったことがない」と言わせる呪文。その修行はシンプルなものでした。撃たれたメドローアに対してメドローアをぶつけて相殺すること。右手と左手にそれぞれメラゾーマとマヒャドを同じ魔法力で発生させるバランスが求められるがゆえ、「センスのないヤツには一生できない!」という超高難度の呪文でした。

ポップはその恐ろしさに逃げ腰に。しかし、メドローアを構えるマトリフが吐き出す血を見て、禁呪法の使いすぎて身体が弱っているマトリフが自分のために無理してくり出す一発であることを理解。その親心に応えなければ、自分にマトリアを師匠と呼ぶ資格はないと悟り、覚悟を決めます。その顔つきに「ありがとよ」と礼を言うマトリフ。そして、ポップに放たれるメドローア。ポップは迫りくる巨大な魔法力に対し、自分の中のあるこれまで培ってきたものをすべてを放出するつもりで、メドローアを放ちます。周囲を包む閃光。そして静寂。そこには、巨大な岸壁が円柱状にくり抜かれた景色が広がっていました。

マトリフは自分の想像をはるかに超える完成度のメドローアをくり出したポップに対し、「今日ほどお前のことを大したやつだと思ったことはない…」と感想をもらします。ポップは言います。「あんたができることは俺が全部覚えてみせる。だからもう無茶しなくていい。せいぜい長生きしてくれよな」。その言葉にマトリフは口元を少しだけ緩ませるのでした。

レオナ姫の呼びかけではじまった世界会議によって、各国は総力を結集して大魔王と戦うことで話がまとまりました。そして、大魔王の居城があると予想される死の大地に近い漁村サババに前線基地を作り、兵士たちを集結させることに。しかし、このサババが謎の軍勢の襲撃を受けます。敵の正体は、ハドラー親衛騎団歩兵ヒム騎士シグマ僧正フェンブレン城兵ブロック女王アルビナスの5体。北の勇者ノヴァをはじめとする戦士たちではまったく歯が立ちません。

到着したダイたちは、ハドラー親衛騎団と対峙。戦いを挑むのですが苦戦。ハドラー親衛騎団1人ひとりは、ダイたちのパーティメンバーの上位互換。総合的な戦力はハドラー親衛騎団のほうが上であることが分かります。加えて、騎士シグマが持つ「シャハルの盾」は、マホカンタの効力があるマジックアイテムであることが判明。メドローアを反射させてしまう盾がある以上、うかつに手を出せません。ポップは、冷静に敵の戦力を分析し、同タイプの敵と対峙しても力負けしてしまうなら、まったく別タイプの敵と対峙して自分の長所を活かして翻弄する作戦を立案。作戦は功を奏し、シャハルの盾を弾き飛ばしたスキにメドローアを炸裂。ハドラー親衛騎団の消滅に成功します。

いや、したはずでした。しかし、城兵ブロックの我が身を挺した機転により、メドローアはブロックの身体半分を削っただけに留まります。戦果をあげられないばかりか、敵にメドローアの存在を知られてしまう結果に。ハドラー親衛騎団は、ハドラーの「アバンの使徒との再戦を望む」というメッセージを伝えると去っていきます。ハドラー親衛騎団のチームワークの高さに、ダイたちはここから先、これまで以上の戦いが待ち受けていることをあらためて実感するのでした。

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死の大地・竜(ドラゴン)の騎士バラン戦

人間たち連合軍の前線基地が破壊されたことにより、死の大地に軍隊を送り込むことは不可能となりました。サババの復興を進める中、チウは仲間のモンスターたちと死の大地に潜入。地図のない死の大地の地形調査を進めていました。その結果、大魔王の居城の入口は地上ではなく、海底にあることが分かります。しかし、その諜報活動はハドラー親衛騎団の1人、僧正フェンブレンに見つかり、チウはなぶり殺しに遭ってしまうのでした。

チウの命運尽きたと思われた刹那、ゴメちゃんがはげしく輝いてフェンブレンに体当たり。その結果、フェンブレンの顔が凹むほどのダメージを与えます。

怒るフェンブレン。その顔にオリハルコンの顔に剣が突き立てられます。「こんなにも醜いものだとはな。強者が弱者をいたぶる光景とは」。剣の持ち主、それは竜(ドラゴン)の騎士バランでした。再戦の思いを告げて敗走するフェンブレン。そこに、チウを探しに来たクロコダインとヒュンケルが現れるのでした。

死の大地に現われた理由を問うヒュンケル。バランは答えます。「大魔王バーンを倒さなければならなくなった」と。ならば、「共闘しよう」というクロコダインにバランは激昂。「大魔王を倒した後は人間たちの番だ!」と口では言うものの、ヒュンケルはバランの目はかつての戦鬼のそれではなく、子を思う父親の目であることに気がつきます。そして、バランが自ら捨て石となって先に大魔王と戦うことで、ダイたちの戦いを少しでも有利にしようと考えていることを悟るのでした。

しかし、それはバランを見殺しにすること。ラーハルトから「バラン様とディーノ様を頼む」と鎧の魔槍を譲り受けたヒュンケルは、その思いを叶えるためにバランと対峙。バランと戦い、敗北させることでバランに考えを改めさせようとするのでした。

とはいえ、竜(ドラゴン)の騎士バランと人間のヒュンケルとでは戦闘力に差がありすぎます。その戦力差を埋めるために取ったヒュンケルの戦法は「アバン流無刀陣」。それは、闘気をゼロにして相手の攻撃を誘い、相手の攻撃の間隙をついてくり出すカウンター技。ヒュンケルの鎧は呪文が通じない。つまり、バランも剣で戦うしかない。バランが勝つにはヒュンケルよりも速く剣を振り下ろせばいい。しかし、ヒュンケルのほうが速く技をくり出せばバランは超至近距離で攻撃を受けることになる。まさに素早さにかけた一瞬の勝負。バランも勝負の意味を理解し、極限まで集中力を高めていく。そして、両者が剣に手をかけた瞬間――!

様子をうかがっていた女王アルビナスがバランとヒュンケルを攻撃。しかし、ヒュンケルは天賦の才でバランに撃ちかけていたブラッディースクライドの軌道を女王アルビナスに変更し、会心の一撃を食らわせることに成功。しかし、その次の瞬間、バランの痛恨の一撃を食らい、倒れてしまいます。女王アルビナスは致命傷を負ったために撤退。バランは、ダイとラーハルトの思いを汲んで、自ら盾になることでバランをも助けたヒュンケルの行動に、人間の底知れぬ情を知り、再び打ちのめされます。ヒュンケルを一人の戦士として尊敬し、そのヒュンケルの思いに応えるために何をすればいいのか。その答えはすぐに出ました。

場所は変わって前線基地の作戦本部。そこでは、チウが見つけた海底にある魔宮の門をいかに開くかが話し合われていました。1つのチームが地上でハドラー親衛騎団を引き付けている間に、ダイともう1人が海底の魔宮の門を破壊する。ダイと一緒にだれが行動するか。そこに名乗りを上げる者がいました。バランです。

「それとも、私とダイのコンビでは実力的に不服かね?」

かくして地上最強の親子が、ついに手に手を取り合って大魔王バーンと戦うことになるのでした。

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魔宮の門・僧正フェンブレン戦

かつては命を懸けて死闘を演じた者同士。実の親子とはいえ、2人の距離はなかなか縮まりません。背を向けて無言がつづく2人。長い時間が経って、ダイはようやく口を開きます。

「俺の母さんって、どんな人だったの?」。ダイには母親の記憶がありません。バーンは語ります。「美しい娘だった。そして優しい女(ひと)だった。ただそこにいるだけで、皆が温かい気持ちになれる、そんな藤木な輝きにあふれていた」「あれほど人を深く愛することは、もうあるまい…」。その言葉を聞いて、何か決意が固まるダイ。「行こう!」とパランを声をかけて飛翔呪文トベルーラで飛んでいきます。その後ろ姿を見ながらバランは思います。

(ソアラ以上に人を愛することはない。唯一例外があるとすれば、それはお前だ)

死の大地では、ポップ、マァム、クロコダインがハドラー親衛騎団と対峙していました。しかし、僧正フェンブレンがいません。フェンブレンはハドラーの命令を無視し、海底の魔宮の門でダイとバランを待ち構えていました。それは、目を潰されたバランへのリターンマッチのためでした。

僧正フェンブレンは、水中でのバキクロスでバランと真魔剛竜剣を離れさせ、作戦によってバランの首を取る一歩前までいきます。しかし、バランの危機に対応したダイの一撃で倒れます。磨き上げられた「ダイの剣」を見て、バランは「見事だ」と感想を述べます。そして、2人で紋章の力を解放し、魔宮の門を攻撃。大魔王バーンの魔力によって封じられ、竜(ドラゴン)の騎士1人では突破は困難といわれていた魔宮の門の扉を破壊することに成功します。死の大地に隠されていた大魔宮バーンパレスの扉が、ついに開かれたのです。

門を抜けた先の広間でダイとバランを待ち受けていたのは、超魔生物ハドラーでした。ハドラーはダイとバラン、2人の竜(ドラゴン)の騎士を相手にしようとしていました。一見、無茶ともいえる判断。しかしそこには、理由があったのです。

時を遡ること、数時間前。大魔宮バーンパレスの一室でハドラーは大量の吐血をしていました。その量に驚く親衛騎団の面々。ハドラーは笑います。「短期間で超魔生物に改造したからこそ身体に無理がかかっている。俺の命はそう長く残されていない」。それでもなお、それだからこそ、アバンの使徒たちと正々堂々と戦いたい。自分の力がどれほどの高みにまで達するか、己の強さの限界を知りたい。せめてひと時でも、ずっと苦汁をなめさせられてきたアバンの使徒たちよりも強くありたい。勝ちたい。ハドラーは純粋にそれだけを糧に生きているのでした。

ハドラーの禁呪法で生まれた親衛騎団たちは、ハドラーが死ねば死んでしまいます。「お前たちは生まれてきて間もないのに、すぐ死んでしまうかもしれない。すまんな」とわびるハドラーに、歩兵のヒムが声を上げます。「ハドラー様のために死ねるなら、俺は粉々になっても本望です!」。そして目から流れる一筋の涙。本来、禁呪法によって生み出された戦士に宿るはずのない感情を持つヒム。ハドラーのその奇跡に言葉を飲むのでした。

そして、いよいよハドラーの命をかけた最後の戦いがはじまろうとしていました。

つづく

『ダイの大冒険』がどんな物語だったか、ふり返ってみる⑥(死の大地~大魔宮バーンパレス)
この記事は、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』がどんな話だったかをふり返るものです。ネタバレがありますのでご了承ください。
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