
こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、バンダイから1999年8月にワンダースワン用ノベルシアターとして発売された『TERRORS(テラーズ)』。当時活躍していたアイドルたちとのタイアップした作品でもありました。とはいえ、アイドルのために作られたゲームではなく、アイドルはオマケでゲームを楽しめる作りになっているのでご安心ください。
さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。
『TERRORS』とは

『TERRORS(テラーズ)』とは、モノクロの割にグラフィックを頑張っていて、音楽や音声についてゲームボーイよりもちょっとだけ性能がいいワンダースワンの特性を活かしたサウンドノベル的なゲームです。
ゲームジャンルは、「ノベルシアター」。これは、小説を読んでいるようで、途中に出てくる行動の選択によってその後のストーリーが変わっていくゲーム性があり、実写取り込みっぽいグラフィックとリアルなSEで演出していく…というもので、「いや、サウンドノベルでしょ!」と思うのですが「ノベルシアター」だとバンダイが言い張っています。唯一、分かりやすい違いは「立体音響」で、このゲームはイヤホンもしくはヘッドホンでのプレイ推奨です。ある・なしでは、臨場感がまったく違います。なので、サウンドノベルが据え置き機としてリビングでプレイすることを想定したゲームだとすると、ノベルシアターは携帯機でゲームプレイしているその場をゲームの世界観に取り込もうという体感型シアターを目指していたのでしょう。
『TERRORS(テラーズ)』には、「怨霊旅館」「愛しき友」「小さなお化け屋敷」「きしむ音」「マザーテーブル」という5つのシナリオがあり、それぞれ主人公は異なり、舞台となる場所も、物語のテイストもまったく違います。そして、それらをすべてクリアすると、6つ目の最終章が出現。最終章は4つのシナリオでの行動とリンクしていて、真実にたどり着くヒントは4つのシナリオに隠されている…というゲームです。
『TERRORS』のストーリー

『怨霊旅館』
高校生の尚樹は、かつてテレビで見たことがある小さな村を訪れた。何の目的もない一人旅。旅の途中、尚樹は美咲玲子という少女と出会う。玲子は尚樹と同じく現実から逃げ出してきたのだった。尚樹は玲子と行動を共にする。が、二人が訪れた旅館には恐怖が待ち受けていた。恐怖から逃げ惑う尚樹と玲子。
『愛しき人』
両親の海外出張に伴い、史奈はいとこの美佳とマンションに同居し始めた。新しい生活は順調だった。隣人が引っ越してくるまでは。夜に隣から響いてくるステレオを注意したために、史奈と美佳は嫌がらせを受け始める。文句を言いに行っても隣人は出てこない。史奈は、隣人とコミュニケーションを取るために手紙を出す。それが悪夢の始まりだとは知らずに。
『小さなお化け屋敷』
最近、遊園地の隣に出来たという小さなお化け屋敷。そのお化け屋敷には奇妙なウラワが流れている。「入ったきり、帰ってこない」。礼香は友人の真未と江美子に連れられて、そのウワサのお化け屋敷に訪れた。精巧な仕掛けに驚き、喜ぶ友人たちとは対照に、不安を募らせる礼香。奥に進むにつれ、作り物とは思えない恐怖が三人を襲う。外に出るための三人の逃走が始まる。
『きしむ音』
辰貴は祖父が倒れたと聞き、恋人の円香を連れて、祖父を訪ねる。だがその夜、祖父は奇怪な死を遂げた。祖父は己の水晶細工の瞳と「天老記」という人形師の一族に伝わる奇本を残していた。それには、一族の秘宝が奥の蔵に隠されていると記されており、二人は祖父の死の謎と秘宝を求めて蔵に入るのだった。
『マザーテーブル』
瑤子は恋人の薫の気持ちに不安を感じていた。薫は、両親も親戚もいない孤独な瑤子にとって大切な存在だった。今日は瑤子の誕生日。平凡な学園は、いつしか非日常へと姿を変えた。次々と起こる不安な出来事に瑤子は疑心暗鬼になり、自分の気持ちすら見失ってしまう。そんな瑤子に襲いかかる鏡の中の住人達。鏡の自分と向かい合い、真実の自分の姿を見ることとなった。
『最終シナリオ』
5つの物語を読み終えると現れる不思議な館。あなたは恐怖の扉を開きます。館でのイベントは各シナリオの結果を踏まえて大きく変化。それぞれのテーマを掘り起こし、あなたのとった行動を再確認できるかもしれません。
『TERRORS』のスクリーンショット





『TERRORS』の魅力

こんなことをいうとネガティブに聞こえるかもしれませんが、『TERRORS(テラーズ)』のシナリオはすべてショートショート。そのため、サウンドノベルを楽しみたいと思ってプレイすると「お話が短い!」という感想を抱いてしまうかもしれません。ですがそれは早計というもの。『TERRORS(テラーズ)』は何度もくり返していくことで、物語の全容が見えてくるというゲーム。そのため、1本のシナリオが短いのは、何度もプレイし直すことが想定されているからと推測されます。
『TERRORS(テラーズ)』ならではの独自システムに「テラーポイント」というものがあります。これは、プレーヤーの選択によって怖い目に遭うと、「ドクンッ」と鼓動音が聞こえ、画面上に心拍の波が表示されるというもの。これが発生するとテラーポイントが加算され、テラーポイントが一定数を超えると、物語の主人公は「うわぁぁぁぁぁっっ!!」と恐怖に耐えきれず、プレーヤーの操作を離れて逃げてしまうのです。ゲーム的に冷静に見れば、「なんじゃ、こりゃ」と思われるかもしれませんが、人間が冷静さを失うほどの恐怖を味わった時の行動をよく分かっているなと思えるゲームシステムでもあります。
では、テラーポイントが上がらない選択が正しいのかというと、実はそうとも言い切れません。たしかに、GOOD ENDに行く選択はそうなのですが、真実が解明されるルートは恐怖を感じる選択の先にあるBAD ENDにあるからです。1つのシナリオに5つのエンドがあるのですが、これをすべて体験しないと、主人公の身に降りかかってきたことの真実が見えてこないんですね。
さらに、最終シナリオの展開は、5つのシナリオが最終にどのエンドになったかで変わってくるので、ゲームすべてを味わい尽くすには、結構やり込んでいく必要があるのです。
『TERRORS』のレトロゲーム的な価値

異なる主人公たちの行動がバタフライエフェクトとして互いに影響し合っていく作品と言えば、チュンソフトの傑作サウンドノベル『街~運命の交差点~』が挙げられますが、実は『TERRORS(テラーズ)』は『街~運命の交差点~』よりもパズル要素を強くした作品ともいえます。残念なことに、ノベル系ゲームにシナリオパズル要素を付け加えると、ゲームプレイに作業感が出てしまうもので、本作も例外ではありません。『街~運命の交差点~』はシナリオパズル要素を結構削ったと思われるのですが、『TERRORS(テラーズ)』はガンガン突き進んだという印象です。という実験作的な側面が本作にはあるのですが、ワンダースワンというマイナーハードならではのゲーム作りが味わえるというのは、レトロゲーム的な価値かもしれませんね。
あと、本作にはアイドルたちが参加していると書きましたが、『魔法のステージ ファンシーララ』で声優を務めていた大森玲子さんがも出ています。鼻についたようなかわいい声なんですよね。20歳前くらいの時、週刊誌にイケメンとディープキスの写真がすっぱ抜かれた時が、俺にとって一番のテラーポイントでしたけどね。
『TERRORS』で遊ぶ方法
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