【功夫発掘】『THE 功夫』(PCエンジン)――キャラがデカくなったスパルタンX亜種!実は登場人物全員「悪人」のアウトレイジ!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1987年11月21日にハドソンからPCエンジン用クンフーアクションゲームとして発売された『THE 功夫』。功夫とは「イサオ」ではなく「クンフー」と読みます。それでは今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を、掘り起こしていきましょう。

『THE 功夫』とは

『THE 功夫』とは、1987年11月時点で、これまで家庭用ゲーム機では実現不可能だったデカキャラを動かし、グラフィックで痛みが伝わってくるような、未体験のクンフーアクションワールドに没入できる作品です。

これ(↑)はウソは言っていません。しかし、正確な作品紹介としては情報が足りていないので、もう少し情報を追加させていただくとこんな感じです。

『THE 功夫』とは、1987年11月時点で、 これまで家庭用ゲーム機では実現不可能だったデカキャラを動かし、敵を倒していくゲームなんだけど、その敵というのがやられるためにだけに前進してくるフードの男とかハエとか石とか扇子とかお盆とか転がってくる岩とかで、回復アイテムがウーロン茶はなぜか空中をフワフワ浮いていて、バイタリティゲージもダメージを受けているのかどうかよく分からない、ツッコミどころ満載の、未体験のクンフーアクションワールドに没入できる作品です。

ディスってはいませんよ!

ゲームブログやゲーム実況者の中には、本作のこのあたりをネタにして浅い笑いを取る人もいるようですが、当ブログでは、この摩訶不思議アドベンチャーな世界観を含めて『THE 功夫』の面白さだ、と紹介したいと思います。
 

実は、全員悪人のピカレスクロマン

あまり知られていない事実ですが、『THE 功夫』の登場人物は悪人ばかりです。以下が本作のストーリーとなります。

<ストーリー>
王(ワン)は、中国に古来より伝わる暗殺拳の使い手。謎の拳法集団によって乗っ取られた中国功夫界を取り戻すために、単身戦いに身を投じていく…。


解釈はさまざまですが、暗殺拳の使い手が、乗っ取るという武闘派っぽい手段に出る謎の拳法集団から、中国功夫界を力で取り戻すというストーリー。どうみても正義がどこにも感じられず、悪人しか出てこないピカレスクロマンとなっています。

ただし、ストーリーに出てくる謎の拳法集団ですが、ヘンです。遠くから石を投げてきたり(石使い)、ハエを向かわせたり(蟲使い)、扇子を投げてきたり(バトルファン?)、名前も娘々(ニャンニャン)、沙羅利曼(サラリーマン)、飲烏龍(ヤムウーロン)とふざけていたり、中にはバグったカラーリングのヤツまで出てくる始末であり、奇人変人を集めたなかなかの組織です。ダイバーシティを先取りしていたのかもしれませんが。

うーん、どうでしょう(笑)。
 

適切な一撃を決めていく、面白さ

そんな『THE 功夫』ですが、このゲームの正しい楽しみ方は、「適切な一撃を決めていく」ことに尽きます。

斜め上の敵には上パンチ、さらに上からくる敵には跳び蹴り、迫りくる雑兵たちにはキック、敵の攻撃にはガード。「そんなのアクションゲームなら当たり前だろ」と思われるかもしれません。その通りです。しかし、キャラが大きく表示されることで、的確に攻撃が決まった時の「気持ちよさ」がマシマシなんですよ。本当だぜ。

本作は、ゲームとしては、アイレムの『スパルタンX』に似ています。ちなみに、『スパルタンX』もカンフー映画っぽさを体感することを目的として作られており、1つひとつの挙動が上手くいくことで、ノーダメージで敵を倒して進軍していくことが気持ちいいゲームでした。本作は、キャラクターのグラフィックが大きくなったことで、一撃のインパクトが違います。まさに、これがビジュアルショック。 『THE 功夫』 の神髄です。
 

1990年代に入ると、SNKから『龍虎の拳2』という対戦格闘ゲームが出ました。NEO GEOの大容量と拡大縮小機能を使って、デカキャラ同士の接近戦をダイナミックに見せた作品ですが、あの作品でも一撃のインパクトが大きいのは、視覚情報によるところも大きいと思うのです。

そんな時代の先取りをしていた『THE 功夫』。やりのけたことが超絶スゴイのですが、ワキが甘さがあるのも、ハドソン作品らしいところで。すべての敵を人間か、クンフー映画に出てきそうで重くて硬そうなものばかりにしておけばよかったものの、ハエとか、火の玉とか、烏龍茶とか空に飛ばすものですから、ヘンな方向にインパクトが強くなってしまって、キワモノ扱いになってしまったと分析しています。

じゃあ、ちゃんと真面目なクンフー世界観を構築できた『THE 功夫』に、今の『THE 功夫』レベルの魅力があるかというと、たぶん、そんなことはないと思いますけどね。この出来の悪さが本作の独特で面妖な魅力をつくり出しているのです(褒め言葉)。
 

PCエンジンの凄さを見せつけた怪作

初期PCエンジンラインナップは、PCエンジンのハード性能をアピールする役割が与えられており、『THE 功夫』はグラフィックインパクトを担当していたと推測されます。画面の1/4を占めるようなデカキャラがボスではなく、主人公キャラとして動かせるなんて、前代未聞でした。後にも先にもこの作品しかないのではないでしょうか(まあ、続かなかったのは、あんまり面白さに直結できなかったからかもしれませんが…)。

たしかに、実験作だったかもしれません。しかし、実験作には体裁を整えてまとめるお上品さはなく、「これだけのことができるんだぜ、すげえだろ」という声が聞こえてきそうな、技術的な主張があります。そこがいいんですよ。それを楽しむのが、レトロゲームの醍醐味ですよ。

そんなわけで『THE 功夫』。見事、PCエンジンミニにも収録が決まったこのソフトのアメイジングな世界観を、1人で喪多くの人に体験していただきたいと思う今日この頃です。

そして最後に1つ言わせてください。

本作に出てくる女性キャラ娘々(ニャンニャン)ですが、よくよくコスチュームを見ると、くっそエロいです。
 

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