【名作発掘】『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』――人生に大切なことはすべてダンジョンが教えてくれた。

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憎しみにかられて邪悪な進化を遂げたデスピサロを打ち倒し、世界は平和を迎えました。武器屋トルネコはエンドールのわが家へ。自分のお店を繁盛させる毎日へと戻ったのです。満ち足りているはずなのに、何か物足りない…。そんなトルネコは城下町で、不思議のダンジョンという不可思議な洞窟とそこに眠る誰も見たことがないお宝のウワサを聞くことに。せっかく手に入れたお店を引き渡し、家族といっしょに不思議のダンジョン探索の旅に出たのでした。『ドラゴンクエストIV』の後日談であり、武器屋トルネコが主人公のスピンオフ作品です。

さあ、今宵も、歴史に埋もれしレトロゲームの魅力を紐解いていこう――。






ブログ代表
こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、1993年9月にチュンソフトから発売されたスーパーファミコン用ソフト『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』です。

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(ドラクエIVのトルネコが主人公!)


ゲームジャンルはおおまかにいうとRPGなのですが、細分化されたジャンルでいうなら「ローグライクゲーム(RPG)」というジャンルになります。

元になった『ローグ』とは1980年に生まれた作品で、ゲーム画面のすべてをアルファベットと記号だけで表示した、すべてを想像力で補う古き良きコンピュータゲームでした。ゲーム内容は、毎回構造も出現するアイテムも異なるダンジョンに潜り込み、どこまで深く潜り、どこまでアイテム回収できるかというスコアを競うというもの。

ローグの画面
(『ローグ』ってこんな感じのゲーム)


古典コンピュータゲームの1つではありましたが、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』に比べると日本国内ではマイナージャンルだったのですが、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』によって一気に知名度が上がることになりました。

ローグライクゲームの大事な構成要素は以下の通り。

(1)ランダムで生成されるダンジョン(毎回違う)
(2)行動はターン制
(3)プレーヤーは1人だけ
(4)死ねばそれまで築き上げてきたものはナシ
(5)空腹と食料の概念がある


ここ、テストに出るくらい大切なところです。

古き良き伝統のままでいくなら、「主人公は”@”」、「すべてキーボード入力操作」、「画面はアルファベットと記号で構成」も入るのですが、さすがにそれでプレイするのは敷居が高すぎる。そこで、ライトユーザーがとっつきやすいように、キャラクターやモンスターをドラゴンクエストから借りてきて、グラフィックやBGMをつけて、システムを一部改良して遊びやすくしたものが、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』です。

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(こんなプロローグからはじまります)


どんなゲームなのか?
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ざっくり言うと、「ターン制RPG」です。

画面だけ見ると、アクションRPGのように見えますが、すべての行動はターン制となっており、トルネコが「1歩歩く」「武器を振る」という動作1つごとに1ターンカウント。その間に、画面上に見えるモンスターも何らかの行動を1つだけ(1ターン分)行なっています。

ターン制ですので、アクションRPGのように、プレーヤーに入力スピードが求められることはありませんが、「そのターンに何を行動するべきか」の判断が問われます。

分かりやすく言うと、ドラクエの戦闘と同じです。このターンでてきを全滅させるためにベホマラーをかけるか。それとも全員で攻撃に集中するか。そんな判断が問われますよね? 上手くすべて倒せることもある。しかし、敵が強力な全体攻撃を仕掛けてきて2人死んでしまうといった事態もある。

トルネコは1人での冒険ですから、「そのターンに何を行動するべきか」を間違えると、死んでしまいます。ゆえに、慎重な行動が求められます。

ダンジョン内は、こんな感じ。

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いろいろなアイテムやお金が落ちており、トルネコはそれを集めて、ダンジョンの最深部を目指していくという流れです。

敵を倒すとレベルが上がり、攻撃力や防御力やHP(ヒットポイント)が上がっていきます。敵と戦えばダメージを受けてしまい、回復のためには数に限りのある薬草などを使用する必要も出てくるため、必ずしも「戦うべき」とはかぎりません。

ただし、ダンジョンは奥に行けば行くほど、モンスターも強力になっていくため、低いレベルでは瞬殺されるリスクも高まります。ゆえに、「戦って」レベルを上げていく必要もあります。

「結論、どっちやねん!」という話ですが、その答えは「どちらでもいい」です。その選択が正しかったかどうかは、プレイの「結果」に答えがある。それが、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』という作品なのです。

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(ある程度レベルは上げていく必要はある)


そうそう、大切なことを言い忘れていました。

本作では、トルネコが死んでしまうと、これまで貯めたアイテム・お金・経験値がすべてなくなります。ゼロです。無一文です。お金が半額残るといった日本企業的な救済措置はありません。外資系企業のようなシビアさです。

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加えて、ダンジョンはやり直すと、すべて構造も配置アイテムも変わってしまいます。たとえ前回、地下11階まで探索していたとしても、そんな実績はすべてゲーム上は白紙。すでに終わった過去。新しい彼氏ができた女子のアタマの中のように、記録としてでしか残りません。

秒速5センチメートルで再スタートするしかないのです。

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(これ以上何を失えば心は許されるの?)


しかし、不思議のダンジョンは最深部に行きつく以外に、アイテムを持ち帰って生還する方法があります(レベルは1に戻ってしまいますが)。

それが「リレミトの書」の使用。ダンジョンからの緊急脱出です。

生還して持ち帰ったアイテムは、奥さんのネネがすべてお金に換金してくれます。旦那が命がけで収集してきたモノを頼んでもいないのに勝手に即日換金してくれるネネさんの姿勢は、Yahoo!知恵袋で一定周期で出現&炎上する「旦那の気持ち悪いコレクションを売り払ってやった」系の話に通じる気もしますが、ご安心ください。

ネネさんと、旦那のコレクションに理解のないYahoo!知恵袋妻との決定的な差は、ネネさんはお金を貯めてトルネコのお店を大きくしてくれようとしているのです。

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(当面はお金を稼いでお店を大きくすることが目的)


そんなこと誰も頼んでいない気もしますが、実はお店が大きくなると「倉庫」ができます。これがあるとダンジョンから持ち帰ったアイテムを保管して、次回の探索に持って行けるようになるのです。ネネさん、ナイスです。

新しい彼氏ができた女子は前のオトコのことをキレイさっぱり忘れると書きましたが、あれはメディアが垂れ流しているデマ。セックスフレンドの第一候補は元カレです。女子は一度でもセックスして悪い思い出のないオトコのことを本気で忘れることができない生き物なので、接触方法さえ間違えなければまた事に及ぶのはカンタン。このような女子の生態と同様に、職場の倉庫をうまく使って、アナに入ったり出たりをひたすらくり返し、ズブズブの関係にもつれ込むと攻略が容易になります。ぐへぐへ。

たぶん、ワタクシ、日本で一番ゲスな例えで本作をレビューしていますが、どちらのことも本質をついており、大枠間違っていないはずです。

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(いい武器・いい防具との出会いが結構重要)


ええと、次は、外資系企業の話をします。

さきほど外資系企業のようにシビアという例えを使いましたが、外資系企業にも社内でパーティを開くといった日本企業以上にアットホームな側面があるように、シビアなはずの『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』にも温情措置があります。それが地下10階にある「鉄の金庫」。これを手に入れると、ダンジョン内でやられてしまったとしても、獲得したお金の半分が戻ってくるように。これによって、積み立て型のダンジョン攻略が見えてきます。

ここで大切なことを言っておきます。

「ダンジョンの探索とは命がけであり、慎重さと大胆さが求められる」ものです。

不思議のダンジョンの攻略は、一般的なコスプレした主人公たちがライトノベルのノリで世界を救う和製RPGのダンジョンのような生易しいものではありません。

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(こういう場所で戦えば、複数攻撃は受けにくい)

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(階段を見つけたらすぐに潜るか、アイテムを探すか)


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(武器屋だが使うのは武器じゃない。頭脳だ!)


何度も潜り、アイテムを持ち帰り、対策を講じてのぞむ。ダンジョンの構造、アイテムの配置、モンスターとの遭遇といったランダム要素によって、プレーヤーは翻弄されます。メンヘラ女子との付き合い並にしっちゃかめっちゃか。

しかし、ゲームクリアは運頼みということはありません。

無駄と思われた幾多に及ぶ探索。そこで集めてきたアイテムの数々。そして、何度もの失敗を経て得られた経験知(経験によって培われた知)が、難攻不落の不思議のダンジョン地下27階の「しあわせの箱」までたどり着かせるのです。

そして、しあわせの箱はもう1つ大切なことを教えてくれます。それは「帰り道もある」ってこと。家に帰るまでが遠足。無事に生還するまでがダンジョン探索です。

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ダンジョンに浪漫あれ
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かつてRPGにおいてダンジョンとはロマンでした。『ウィザードリィ』でもゲームの舞台は「狂王の試練場」――ダンジョンです。テーブルトークRPGにおいても、ダンジョンだけでクエストが終わるものだって少なくありません。

しかし、コンピュータRPGの台頭に伴い、ダンジョンは「壮大な物語の通り道」に成り下がってしまいました。1990年代、すべてダンジョンからロマンは失われてしまっていたのです。

ダンジョンは仕掛けのある地下通路に成り下がってしまったのか。
ダンジョンにロマンを求めるのは間違っているのか。

いいえ、違います。
ダンジョンにロマンは、まだある!!

そう、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』のゲームとしての面白さはいろいろな伝えかたがありますが、私はあえてこう言いましょう。「ダンジョン探索における浪漫の復権こそが、トルネコの大冒険の面白さ」なのだと。

難易度という切り口で本作を語るなら「難易度は高め」と言わざるを得ないかもしれません。しかし、その字面でレッテルを貼らないでほしいと思います。本作攻略のキモは、「あきらめないこと」。誰でもクリアできるRPGではありませんが、あきらめない人なら誰もがクリアできるRPGではあります。

歯ごたえはある。コントローラーをぶん投げたくなるような悔しい思いもする。だからこそ、「今度は上手くやる」と決意を新たにする。

そしてプレイ経験は、私たちに思い出させてくれるでしょう。世の中には1つとして無駄な努力がないことを。努力して手に入れた成果が尊いものだということを。

ちなみに、不思議のダンジョンクリアのあとは、「もっと不思議のダンジョン」が控えており、それこそ、探索の旅は冒険心が枯渇しないかぎり終わりません。

だからこその「1000回遊べるRPG」。

自分に自信をなくしている時。大作ゲームに疲れた時。『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』は、癒しと勇気をくれる作品です。

プレイしてみて熱が入ってきたら、次の”試練(シレン)”に、挑戦してみてほしいと思います。

このゲームを今遊ぶ方法は…

バーチャルコンソールでの配信はしていないので、中古ソフトを買って、スーパーファミコン本体、もしくはレトロフリーク、スーパーファミコン互換機で遊ぶしかありません。

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