【黄昏発掘】『トワイライトシンドローム 探索編』――コドモ以上オトナ未満の女子高生たちが垣間見る、この世とあの世の“間”にある不思議な世界!

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こんにちは、レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
今回発掘した作品は、1996年7月にヒューマンから発売されたプレイステーション1用アドベンチャーゲーム『トワイライトシンドローム 探索編』。『究明編』と二部作になっている前編になります。

さあ、今宵も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力を掘り起こしていこう――。

『トワイライトシンドローム 探索編』とは

『トワイライトシンドローム 探索編』は、女子高生三人組が自分たちが通う高校をはじめ、生活圏内にある心霊スポットに出向いて、その謎を解明しようとするのですが、毎回怖い目に遭って「ギャーーー!」となるゲームです。

ゲームジャンルとしては「アドベンチャーゲーム」に属しますが、フツウのアドベンチャーゲームとして捉えてしまうと本作の魅力を味わうことができないと思います。本作は、ゲーム内の女子高生三人と心霊スポットを歩く恐怖をいっしょに体感するゲームなのです。現代風に例えるのならば、心霊スポットに出向くYouTuberのライブ配信鑑賞といった感じでしようか。そのため、本作のゲームデザインは女子高生たちが歩くパートがメインを占めています。一番時間を使います。決してサクサク進むゲームではありません。恐怖を感じる場所に身を置く、主人公たちと一緒に恐怖を味わう、そんな「体感」に主軸を置いた新機軸のアドベンチャーゲームなのです。

ヒューマンという会社は、1990年代に挑戦的なアドベンチヤーゲームの数々をリリースしてきたゲームメーカーです。スーパーファミコン時代、すでにオワコンとなっていたアドベンチャーゲームに新しい要素を付け加えて復権させたというとチュンソフトのサウンドノベルが有名ですが、ヒューマンは別のカタチでアドベンチャーゲームの進化系を作り出していました。その代表作の1つに『クロックタワー』があります。これは、巨大なハサミを持つ殺人鬼シザーマンから美少女ジェニファーが逃げるというゲームなのですが、まるでホラー映画の中に入り込んだかのように、ジェニファーといっしょに、隠れてシザーマンが通り過ぎていくのを息を殺して待つ…といった体験ができる、なかなかすごい作品でした。

『トワイライトシンドローム 探索編』は『クロックタワー』の流れを引き継ぎつつ、ストーリーで怖がらせるのではなく、体感として恐怖を感じられるゲームを目指している挑戦作なのです。その挑戦がすべて上手くいっているわけではないのですが、新しい可能性を切り拓いたという点は評価するべきだと俺は思っています。

『トワイライトシンドローム 探索編』のストーリー

1996年、夏。
全国各地の学校のトイレに出没し、巷の話題を席巻した謎のおかっぱ少女。この武蔵野市の雛城高校でも、今日もその噂がささやかれている。

「旧校舎の3階北側の女子トイレ。真夜中の12時すぎに4番目のドアをコンコンと3回叩くと、中から女の子の声が…」。

岸井ミカは噂の達人である。入学4ヵ月にしてつくりあげた彼女の情報網に勝てる者はそうそう見当たるものではない。常に行動を共にする取り巻きの総数は12人。このいわゆる茶髪系・獅子座のAB型の少女は、いつも話題の真ん中にいるそんな自分が大好きなのだ。「おかっぱ少女」の物語も、脚本を手がけたのは実は彼女である。

ともあれ、この年の3年生の卒業後に取り壊される予定の旧校舎は、そんなどうでもいいような噂に信憑性を与えるのには充分な、あまりにも無防備な風貌で建ちそびえていた。

「さて、と…」

次なる企画を前にして、岸井ミカは期待に胸をふくらませていた。街中に潜む、数々の噂の暗闇を探検する…!というものだ。生徒会役員の経験もあり、コンパの進行などの音頭をとるのはお手のものの彼女にとっても、これはちょっとしたビッグプロジェクトだ。

自分一人きりで、というのは成立しない。危険ということもあるし、事件和徹底的に追及し検証するにもチームワークは絶対不可欠だからだ。だが、組む人材については厳選する必要がある。同級生では、ダメ。仲間内で参加者を募るわけにはいかないるあくまでヒロインは自分だけということにしておきたい。男の子もペケ。暗いトコに二人っきりなんてシチュエーション、今は求めてない。

「センパイっていうのは、こういう時にこそ利用価値があるってもんだね」

職員室でふと見かけたもう一人の噂の中心人物は、ロングが似合っているちょっとカッコイイ感じ。ハゲの数学のセンセイが目の前で本気で怒鳴っていても、涼しい目付きで受け流していたあの人。

「2-C長谷川ユカリさん。あなた、話題になっていますよ、センパイ」

彼女をチームに加えよう。こうして今週末の探検プランは、彼女の中で出来上がったのだった。

『トワイライトシンドローム 探索編』のダイジェスト

『トワイライトシンドローム 探索編』の魅力

『トワイライトシンドローム 探索編』の1つは、実話怪談らしさが優れており、「こういう話、あるかもしれない」というあたりのバランスが絶妙で、ゲーム全体のシナリオや演出が構成されているところです。実際、作中に出てくる心霊スポットは、現実で存在する場所や歴史がモデルになっていたりします。このリアリティは「恐怖を体感させるゲーム」としては非常に重要だと俺は思っており、シリーズ作である『トワイライトシンドローム 再会』や『トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説』では失われてしまって残念なところですね。

本作を楽しむ正しいプレイスタイルは、「ヘッドホンをつける、部屋を暗くする、夜にプレイする」だと思います。マジで怖いです。特に、あるシナリオで耳元で何者かにささやかれるシーンは、ちびりそうになりました。

『トワイライトシンドローム 探索編』に収録されているのは、

はじまりの噂
第一の噂 心霊写真量産公園
第二の噂 音楽室のM・F
第三の噂 最終列車
第四の噂 雛城高校の七不思議
もうひとつの噂

の6編です。

「はじまりの噂」はゲームの導入というべき短編で、「もうひとつの噂」は後編である『トワイライトシンドローム 究明編』につながる内容となっています。それぞれのシナリオは、シナリオ中にいくつかの分岐があり、選択を誤ると誰か一人が不幸になったり、最悪命を落とすということもあります。一度失敗すると、シナリオの最初からやり直さなければならず、その点はストレスであることは否めません。また、探索中にデジカメで写真を撮ったり、音や声を録音することも可能で、そのような探検の戦利品はオプション画面で確認することも可能です。

また、本作の優れている点として、登場人物たちの等身大の物語をきちんと描いているところがあげられます。『探索編』はスピリチュアル系の話を話をバカにしていた岸井ミカが、雰囲気のある旧校舎から着想を得て、長谷川ユカリという先輩をさそって探検をはじめるところからはじまり、本当に存在した旧校舎にまつわる怪異に取り込まれてしまうという流れがあります。その経験を経て、岸井ミカはちょっと精神的な成長を果たすのでした。

後編である『究明編』では、学校では少し浮いている長谷川ユカリにスポットを当てた物語が展開され、少女から大人になっていく彼女なりの葛藤が描かれます。本作のタイトルになっているトワイライト(黄昏時)は、昼と夜の境であり、子どもと大人の境界にいる少女たちの物語という意味合いも含まれています。青春群像劇という見方もできるのではないでしょうか。

ちなみにですが、もう1人の登場人物、逸島チサトについて、本作では深掘りした展開はありません。正確温厚な霊感体質なユカリの親友である彼女ですが、そのやさしさや振る舞いは、どこか「作られている」感じがします。そんな彼女の闇の部分は、『究明編』の隠しシナリオ「Prank」でちょっとだけ見ることができ、続編『ムーンライトシンドローム』で、ある意味の納得できる情報があったりするので、興味がある方はそちらもプレイしてみてください。

レトロゲームとしての『トワイライトシンドローム 探索編』

ドットで描かれた女子高生たちがリアルにぬるぬる動くゲームは、『トワイライトシンドローム 探索編』『トワイライトシンドローム 究明編』ならではの注目ポイントだと思います。他にないですからね。

なぜ、女子高生なのか?というと、1990年代には女子高生ブームというものがあったことを念頭に置く必要があります。女子高生という存在が1つのコンテンツであり、ビジネスであり、ブランドだった時代が存在していたのです。そのリアリティを出しながら、一方でゲームとしての虚構の両立わ果たすのに、ドット絵というのは丁度良かったのではないかと思います。

俺は開発途中の本作を見たことがあるのですが、女子高生たちのモーションパターンはもっと豊富にあったと記憶しているので、製品化にあたって結構削られていると思います。それでも、「ここまで表現するか?」と驚くほどの女子高生の仕草の表現は凄いです。

余談になりますが、本作の元ネタになっているのは、永久保貴一先生の読み切り作品である『黄昏症候群』だと俺は勝手に思っていて。これは女子高生三人が怖い目に遭うという話です。この作品は、稲川淳二さんの『生き人形』の漫画を収めた本に収録されていたと記憶しているので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

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