【レトロゲームと俺物語】昔、代々木に『FF SHOP』というファイナルファンタジー専門店があった話。

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ネットであまり『FF SHOP(エフエフショップ)』のことを書いている記事を見ないので、備忘録として書いておこうと思いました。

1989~1990年のごく短い期間(記憶が曖昧なのですが)だけ、東京都代々木駅近くのショウエイビルの2Fに、ファイナルファンタジー関連グッズを集めたショップ『FF SHOP(エフエフショップ)』がありました。たしか、スクウェアが運営していたはずです。2021年になって、まさか自分が代々木駅の近くにオフィスがある会社で働くことになろうとは、当時はまったく想像していませんでしたね。

そんな代々木駅に私がはじめて降り立ったのは、中学生の頃。その頃の代々木というと、代々木ゼミナールと、代々木アニメーション学院くらいしかない町でした。他にもオフィスとかはあったのですが、今のように飲食店もほとんどない、山手線の中でも少しマイナーな駅だったと記憶しています。

今では駅前はかなり開けて開発されていますが、1980年代の代々木の駅前には結構大きめな駐輪場があり、自転車とかバイクとかが置かれていたのです。駅前通りの並びにはインベーダーハウスの名残あふれるゲームセンターがあったような…。その駅前の道をテクテクと歩いて少し行ったところに、『FF SHOP(エフエフショップ)』はありました。

ショップといっても当時はまだキャラクターグッズというものは、アニメイトか通信販売でしか売られていないマニアックなもの。加えて、『ファイナルファンタジー』という作品も、「知っている人は知っている」くらいの知名度。ゆえに、なんでこんなショップを出したのかは不明です。

置いてある商品は、攻略本、ゲーム雑誌、FF2の小説、サウンドトラック、天野喜孝さんの画集、そして文房具とかのグッズのみでした。ただ、店内はFFのイメージカラーである白を基調としており、壁には天野喜孝さんがFFのために描いたイラストがいくつも展示されており、一部、TVCMなどで使われた剣のレプリカなども展示。FF1とFF2のカップリングサウンドトラックがBGMとして流れていたと記憶しています。

店員は、やる気のない大学生のアルバイトみたいな人で、来店するお客さんなんかほったらかし。持ちこんでいたTVでひたすらゲームをやっていました。どうやらファミコンのゲームらしいのですが、聞いたことがないBGMです。カウンターの端から見てみると、なんとそれは、開発途中の『ファイナルファンタジーIII』でした。

「すげー」と思ってみていると、店員さんもこちらの視線に気が付いたようで、「興味ある?」と聞いてきました。大きくうなづいたのは言うまでもありません。そのとき、店内は店員さんと私しかいませんでした。「本当は見せちゃいけないんだけど…」と言いながら、店員さんは画面を私に見せながら説明をしてくれます。

舞台はどうやら洞窟の中のようです。「どうして洞窟にいるんですか?」「それはね、ちょっといろいろあって、この洞窟の奥に行かないといけなんだ」「へえ!」 今考えると何の説明にもなっていない店員さんの話のはぐらかしテクニックは見事なのですが、当時の私は素直に感動しました。

洞窟の奥に入っていくと、いきなりのフラッシュ音。そして現れる大型モンスター、ランドタートル! 「ええっ、こんなの勝てないんじゃないですか?」「ふふん、どうだろうねぇ」 店員さんはたまねぎ剣士たちを操っていろいろ攻撃しますが、どうも決定打にかける感じ。やべえぞ、勝てねえぞ。そう思っていると、突然、アイテムから南極の風を使い出し、大ダメージ!そのままランドタートルはゴゴゴ…と崩壊していったのでした。

そしてクリスタルの啓示を受ける4人。画面が暗くなり、そこから音楽は一転して…ブツッ。店員さんがモニターを消しました。「ここから大変なことが起きるから、続きは買って見てね」、だって。

私が見たのは、『ファイナルファンタジーIII』のオープニング部分。地割れによってダンジョンに落ちてしまった4人組が、風のクリスタルに導かれるように奥に進み、光の4戦士としての資格を得ていくくだり。もの悲しくも美しい『III』バージョンのファイナルファンタジーのテーマが流れるオープニングは、今見てもグッとします。店員さんはその寸前までを見せてくれたのでした。今思うと、店員さんは開発中のファミコン版『ファイナルファンタジーIII』のデバッグをしていたのでしょう。

あの頃、パソコンゲームメーカーはユーザーとのコミュニティづくりに力を入れていた節があり、ファンクラブがあったり、会報誌が出ていたりしました。今にして思うと、『FF SHOP(エフエフショップ)』はユーザーとの接点を持とうとしていたスクウェアの実験的取り組みだったのかもしれませんね。

店員さんとのささいなふれ合いは、私の中で将来ゲームメーカーに就職した時のイメージを固める貴重な機会となりました。

そんな『FF SHOP(エフエフショップ)』ですが、残念なことにすぐに閉店してしまいます。その後に『ファルコムショップ』が移転してきました。そのお店についての思い出もいろいろあるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

ジョーンズ
ジョーンズ

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