
みなさん、ご無沙汰しています。レトロゲームレイダー/ジョーンズです。
かなりひさしぶりのブログ更新になってしまったのですが、今回発掘した作品は、2017年3月3日に、WiiU最後の任天堂ソフトとして、そしてニンテンドースイッチのローンチタイトルとして発売された『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』。俺は、WiiU版とスイッチ版の両方を買っちゃったクチです(笑)。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』とは、どんなゲーム?

『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』は、ゲームジャンルは「オープンエアアドベンチャー」と呼ばれるもので、いわゆるオープンワールドと呼ばれる広大な世界を自由に行き来できるアクションRPGの発展形です。
「オープンワールド」ではなく「オープンエア」と名乗る理由は、ゲームの中の「空気感」を感じてほしいという理由からきています。事実、 『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』 の舞台であるハイラルには、時間経過の概念があり、日が昇って昼になり、陽が沈んで夜になり、月がのぼって、夜空に星が瞬き、そしてふたたび朝が訪れます。それだけでなく、天候という概念もあり、雨が降ったり、風が吹いたり、雪が降ったりするんですね。
雨足が弱まったかと思うと、空の雲が急速に動いていき、日差しが草原を照らしていく。早朝には山間部に霧が立ち込めている。草原に風が吹き抜けていく。そんなこれまでのゲームだったらムービーシーンの演出で使われていたことが、ゲームの中でリアルタイムに行なわれていきます。
そう、ハイラルの空気(エア)を感じられるのです。これは決して誇張ではありません。

この『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』には温度という概念も存在します。雪が降る寒いところに行けばリンクはガタガタと震えだしてハートが減っていき、逆にマグマが流れるデスマウンテンに行けば熱で木製の武具は燃えだしリンクのハートは減っていきます。雨が降り出せば雷が空を覆うのですが、鉄製の武具を持っていると落雷。リンクのハートは大きく減ってしまいます。
ネガティブなことばかり書きましたが、これらはすべて回避する方法があります。寒いところは防寒着を着れば大丈夫ですし。熱いところは木製の武具は控え、暑さに耐えられる薬を調合して飲めばOK。雷対策として鉄製の武具は外して木製の武具に変えればいい。そんなリアリティが、そこかしこにあふれているのが、『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』なのです。
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「広大なハイラルを身を置いて冒険するゲーム」へ再構築

『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』は、1作前の『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』から大胆なゲームシステムの変更が行われています。まったく別のゲームと言っても過言ではありません。その大きな変更点の1つが、「あらゆるアイテムに使用限度があり、自給自足しなければならない」という点です。
『ゼルダの伝説』シリーズは、初代『ゼルダの伝説』よりアイテムの存在感が大きく、新たに手に入れたアイテムで先に進めるようになるレベルデザインが秀逸でした。「カギ」「弓矢」「爆弾」といった一部のアイテムだけが使用回数があり、敵を倒して手に入れたり、購入する必要があったんですね。ところが、 『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』では、ほとんどすべてのアイテムがある程度使ったら壊れてなくなってしまいます。剣も、盾もです。もちろん、これらはカンタンに手に入るのですが、「自給自足」がこの新しい『ゼルダの伝説』でのルールとなっています。
このように書くと、「面倒くせえ!」と思う方もいらっしゃるでしょう。かくいう俺も最初はそう思いました。ところが違うのです。この一見すると面倒くさいシステムが、ゲーム内のリアリティを形成するパーツの1つとなっており、新しい『ゼルダの伝説』の没入感を生み出しています。
どういうことか。
例えば、これまでの『ゼルダの伝説』は、ちょっとした段差があったとき、リンクのジャンプ力が足りないためそこに登ることが出来ませんでした。仕方ありません。そういうゲームシステムですから。でも、現実的に考えると、それっておかしいわけで。『スペランカー』がごくちょっとの段差で死ぬみたいな話で。プレーヤーは無意識に「ゲームの都合」に合わせているわけです。ゲームなんですから。モンスターは斬れるのに村人は斬れなかったり。一度手に入れた剣はずっと使っても刃こぼれしなかったり。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』は、そういった「ゲームの都合」を可能なかぎり取っ払ったゲームなのでした。

本作のリンクは、岩山を登れます。これまでフィールドマップを形成する障害物として立ちはだかった岩山を登ることが出来るのです。もちろん、新たに「がんばり」という体力に該当するパラメーターにより、最初からどんな高さの岩山を登りきれるわけではありません。しかし、このパラメーターを上げていけば、ハイラル中の岩山を登って先に進むことが出来るのです。登れるのは岩山だけではありません。柱も、木も、城壁も、家も、すべて登ることが出来ます。Aという目的地に行くために、どんなルートを使ってもいいのです。どんなルートを使ってもたどり着くのですから。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』の世界は、基本的に自給自足です。ハートが減ったからといってハートを探す必要はありません。森や草原に行き、野生のイノシシやシカを矢で仕留めます。そうして得たケモノ肉は、フィールド上のいろんなところにあるナベを使って、これまだフィールド上で採れたサカナやハーブや香辛料や野菜やキノコといっしょに調理します。できあがった料理はその場で食べてもいいし、持ち歩いて保存食にしても良し。同様に、魔物を倒した際に手に入れた部位はいくつかの材料と混ぜてクスリにすることも可能。岩肌に露出している鉱床を砕けば、各種鉱石が手に入り、これは一部の武器の補修に使えます。余ったものは、集落にいる商人に売ればルピーに換金。自給自足といいましたが、ルピーを使って人から必要なものを買うこともできます。
そう、本作におけるリンクの冒険はサバイバルなのです。
アイテムは使えばなくなるし、壊れるから新しいものを常に調達しなければならない。調達するためにハイラル各地にある森や川や平原を回らなければなりません。素材を集めたら、たき火の前で加工して、備えが出来たら寝る。そんなアウトドアライフを行ないつつ、厄災ガノン討伐を目指します。アウトドアライフという言い方をしましたが、ちょっと違いますね。言うなれば「旅」。『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』はリンクの旅を体験できるゲームなのです。そしてそれは、「広大なハイラルを身を置いて冒険するゲーム」として再構築された、まったく新しい『ゼルダの伝説』なのでした。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』のストーリー
誰かの声がする。自分を呼ぶ女の子の声が。
目を覚ましたリンクは、見慣れないプールの中にいました。訳が分からないまま、リンクは近くにあった服を着て、シーカーストーンというアイテムを手に取り、段差をのぼって、光が見える出口を目指します。そして感じる風、目の前に広がるどこか懐かしい風景。そこには自然あふれる広大な世界が広がっていました。

山道を降りる途中で出会った老人から、ここは「ハイラル王国」であること。厄災ガノンとの戦いに敗れて100年前にほろんだ国であることを告げられます。しかし、リンクには記憶がありません。老人の助言により、リンクは自らの記憶につながる使命を思い出すために、いくつかの“試練”に挑み、それを克服し、英傑としての特殊能力を取り戻していきます。

すべての試練を克服したとき、老人は正体を明かしました。彼は100年前に滅びたハイラル王国の王様の霊だったのです。彼によって、リンクの記憶にない100年前、何があったのかが語られます。

ハイラル王国は、幾度となくガノンと名乗る厄災によって脅威にさらされてきました。しかし、ガノンが現れる時、退魔の剣マスターソードを持つ勇者と、女神の力を受け継いだ姫が現れ、ガノンは封印され続けてきたのです。
退魔の剣を持つ勇者と姫を助けるため、人々はその科学力を結集し、ハイラルの大地にいくつもの塔と、自立歩行できる機械兵器ガーディアン、そして4体の神獣を作り出しました。今から1万年前の戦い、この科学の力によって人々は勝利。かくしてガノンは長い眠りについたのでした。
長い平和の時代が続きました。
ところが100年前、突如、ガノン復活の予兆が現れ、人々は来たるべき戦いに備えました。古より伝わる古代兵器ガーディアンと4体の神獣を復活させ、ゾーラ族、リト族、ゴロン族、ゲルド族から戦士を募り、退魔の剣に選ばれし勇者と、女神の力を受け継ぎし姫が揃ったのです。

ところが、ガノンは人々がまったく予期していない方法を用いて、復活を果たします。ハイラル全土に呪いをばら撒き、その呪いを受けたガーディアンはガノンの配下となり、人々に牙を向いたのです。さらに、不意をつかれた4人の英傑たちも命を落とします。退魔の剣を持つ勇者は最後まで抗いましたが、彼もまた敵の凶刃によって命を落としてしまいます。
1人残された姫ゼルダは、未来に希望を残して、たった1人でガノンに立ち向かう決意を固めます。彼女は、傷ついたマスターソードを聖域の台座に収め、リンクを蘇生ポッドに入れて100年の時間をかけて蘇らせることに。そして自身は単身、敵の手に落ちたハイラル上に赴き、ガノンと対峙したのでした。

それから100年、ゼルダ姫はたった1人で厄災ガノンを押さえ続けていました。ハイラルの各地には魔物が跋扈し、一定周期であらわれる赤き月のせいで死んだ魔物たちが甦るという壊れかけた世界になったものの、ギリギリのところで完全な滅亡を防いでいたのです。しかし、日々強まるガノンの力により、ゼルダ姫の封印は限界が近づいているのでした。
ハイラル王曰く、リンクが今いる場所は“はじまりの大地”という大地が隆起した場所であり、ハイラルにはさらに広大な世界が広がっているとのこと。ハイラル王から大空を滑空できるパラセールをもらったリンクは、“はじまりの大地”から飛び立ち、ハイラルの空を滑空します。

記憶は何もありません。しかし、分かっていることは、自分を信じて100年間も待ち続けている女の子がいること。そして、自分には使命があること。自分は何者なのか。100年前に何があったのか。何をしなければならないのか。さまざまな答えを見つけるために、リンクは旅に出るのでした。
丘陵に立ったリンクに風がそよぎます。その野生の息吹(BREATH OF THE WILD)は、新たな門出を祝福しているかのようでした。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』の個人的な感想

『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』の感想は、「コンピュータゲームがまた一歩進化した瞬間に立ち会った」という感じでした。このブログをずっと読んでいる人は知っていると思うのですが、俺は初代ディスクシテム版の『ゼルダの伝説』に心を奪われたクチなので、当然、『ゼルダの伝説』シリーズは大好きですし、YouTubeで「ゼルダ大好き!」と公言している多くのゲーム実況者に「愛が足りない!」と説教したくなる面倒くさい老害なわけで。『ゼルダの伝説』シリーズには並々ならぬ思いが一応あります。
『ゼルダの伝説』って、俺らみたいなファミコン世代にとっては、すごい衝撃を受けたゲームだったわけですよ。すべてのアイテムに意味があり、1つだけじゃない使い道があったり、アイテムを取ればとるほど行動範囲がどんどん広がっていったり。初代『ゼルダの伝説』は学級委員でありながら入店禁止指令の出ていたお店に常連で出入りするほど俺の心をいい意味で狂わしたゲームでした。
スーパーファミコンの『神々のトライフォース』なんて、「スーパーファミコンだとゼルダはここまですごくなる!」と驚かせてくれたし、『夢を見る島』はパクリゲームのくせに出来がいい『聖剣伝説 FF外伝』を軽く超えて格の違いを見せつけました。『時のオカリナ』に至っては64ゼルダの3作目くらいのクオリティを1作目でぶつけてきて、あんなすごいゲームがあるのに64が普及しなかったことに俺は憤りを感じています、今も。
『風のタクト』『夢幻の砂時計』『大地の汽笛』『トワイライトプリンセス』『スカイウォードソード』などなど、『ゼルダの伝説』シリーズの作品は一定水準以上の良作ばかりなのですが、個人的には、量産されてゼルダの伝説らしさが方になった近年の作品には、以前ほどの衝撃を感じていませんでした。俺の中で、少しずつ『ゼルダの伝説』が過去の作品になりつつあった矢先、出会ったのがこの『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』だったんですね。
プレイしはじめて5分。回生の祠からリンクが出てきて、眼下に広がるハイラルを見たとき、デジャブがありました。それは、初めてディスクシステム版『ゼルダの伝説』をプレイしたとき。さまざまなアイテム紹介のデモを見て、ナマエをトウロクして、いざゲームスタートと、黒い幕が開いてハイラルに立っているリンクを見たときの感覚と同じものを感じたんですね。
それは、「これからどこに行こう?何をやろう?」というワクワク感でした。

少し前に、ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータが発売され、その増刊用のファミマガが発売された時、裏表紙がディスクシステム版『ゼルダの伝説』のパッケージイラストを使って 『BREATH OF THE WILD』と書かれていたこと、開発者インタビューで「原点回帰」と言われていたことを思い出して、「そういうことか!」と妙に納得しました。
ゲームとしての感想は、「やばい、面白い、ずっとここにいたい」ですね。恥ずかしい話なんですけど、俺は子どもの頃、本当にゲーム脳少年で。1日1時間のゲーム時間以外、友達と遊んでいる時も全部ゲームに見立てて遊んでいたんですよ。道端に落ちている木の棒は空想によって「ソード」になっていたし。公園のジャングルジムはアイテムが隠されている「塔」でした。住宅醸成予定地は「荒野」で、俺たちは昼が暮れるまで、ゲームっぽい遊びに興じていたのです。
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』を遊んだ時の感覚が本当に「それ」で。学校や塾でイヤにことがあったとき、「あーぁ、ファンタジーな異世界に転生して冒険したいなぁ!」となかば本気で思っていたのですが(笑)、そんなアホみたいな夢が叶ってしまったのが『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』でした。これはもうゲームじゃない。世界だ、と。いろんなオンラインゲームとかMMO RPGとかやってきたけど、俺にとって「異世界」として感じられた作品は 『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』だけですね。

オープンワールドというジャンルは、広大な世界は用意されたものの、世界の隅々まで歩く意味が作れているゲームってなかなかなかったんですよね。でも本作は、行ったことがないところに行ってみたら、新しい鉱床やレア食材の群生地帯を見つけたり。コログや祠があったり。行ってみることで必ず何かしらの発見がある。何もなかったとしても、そこから見る景色が最高だった、なんてこともあったりする。『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』って、俺にとってはそんな作品でした。いや、「です」。なぜなら、今もプレイし直している現在進行形だから(笑)
『ゼルダの伝説 BREATH OF THE WILD』レビューのまとめ

いろいろ書いてきたんだけど、まだまだ伝えきれていないくらい個人的にこの作品はすごいと思っています。100年前の戦いで敗れた仲間たちと、カースガノンからの神獣奪還戦を通じて、理解を深めていったり。少しずついろんな記憶が甦ってきて、リンクとプレーヤーのシンクロ率が上がっていたり。操作が難しい印象のある最近のゲームにしては珍しく、感覚的にリンクを自在に操作出来たり。いろいろ凄いんですよ。
俺みたいなオッサンは、ゲームが好きと言っても会社でそれなりの要職についていてそこそこ高い給与をもらっているので、家に帰ってからも勉強したりインプットしなくちゃいけなくて。それが片付いたら、子どもと遊んだり、奥さんの家事を手伝ったりしなくちゃいけないわけで。そんな日々の生活の中で、サードプレイスを作ると言ったら、スターバックスコーヒーじゃなくて、こういう中にいるだけで楽しい世界なのかな、という気がしています。
会社員が癒される『ゼルダの伝説』。ゲームの中で、日々の生活で足りていない野生の息吹(BREATH OF THE WILD)を、ぜひ感じていただきたいと思います。
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