『ゼルダの伝説』と、同級生の女の子と、学級裁判の話。

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小学生の頃の話です。

そのころの俺は、ディスクシステムの『ゼルダの伝説』に夢中でした。しかし、ウチの家は教育に厳しい家だったので、ファミコンを買ってもらえたのすら奇跡だったかですね。ほぼ同じくらいの値段のハードをもう1台買ってくれと頼んだところで、望みが叶えられるとは思えませんでした。最新ハードということもあり、持っている友だちもほとんどいません。それでも、どうしてもやりたい。ゼルダをやりたい。そして俺は、暗黒面に身を堕とす決意を固めたのでした。

実は、近所の本屋が、当時のファミコンブームにビジネスチャンスを見出し、店内の一部に、テレビモニターと最新ハードを揃え、30分プレイ100円の簡易ゲームセンターを作っていたのです。

時間内のゲーム交換は自由。ラインナップは最新作から旧作まで抑えています。チトお金はかかりますが、ゲーム天国です。近所のゲームバカはみんなここに集まっていました。勘のいい方はすでにお気づきでしょう。俺は、この店に入り浸ることで、『ゼルダの伝説』にどっぷり浸かろうと考えたのです。

しかし、こちらのお店。学校やPTAはこころよく思っていませんでした。そして、「生徒出入り禁止指定店舗」に指定されていたのです。当時の俺は「学級委員」を務めていたため、クラスメイトのお手本を示さなければならない立場にありました。しかし、「クラスメイトのお手本」よりも「ハイラルの平和」のほうが大事。そのお店にすでに入り浸っており、店長から名前を覚えられるほどの常連だったのです。

LEVEL6のダンジョンまでは順調でした。しかし、そこでトラブルが起きてしまいます。

同じクラスの女子に、その店にいるところを見られてしまったのです。しかも彼女は、女子の学級委員。男子学級委員である俺の相棒といえる存在。俺は咄嗟にウソをつきました。

「これは潜入捜査だ。クラスメイトが立ち入らないように、中で監視しているのだ」、と。

ウソはすぐにバレました。

虚言による言い逃れが逆効果となり、その子は翌日の学級会の議題に「学級委員が悪い店を利用していることについて」を議題に挙げやがりました。ファ〇クです。そして、俺は学級裁判にかけられました。

判決はクロ。

俺は、みんなの前で涙を流して謝りました。「つい魔がさして入り浸ってしまった。一度やりはじめると歯止めが利かなくなった。今は反省している。もう二度とあの店にはいかない」と。

ウソ泣きでした。

その場をうまく収めるための演技です。俺は当時、演劇部に所属していました。マジカルロッドを手に入れて、いよいよこれから面白くなるというところで、『ゼルダの伝説』をやめられるものでしょうか。いいえ、やめられるわけがありません。

「まさか、学級裁判でこってり怒られた当日に、また行くとは思うまい」。

そう、俺には人間の心理を逆手に取った作戦での勝算があったのです。下校後にすぐお店に向かいました。細心の注意を払い、裏口から入り、お金を払って、『ゼルダの伝説』をディスクシステムにセット。「ただいま、ハイラル」と意気揚々としていた私でしたが、なんと、タイトル画面に輝くトライフォースの少し向こう側に、あの女子学級委員の顔が見えるではありませんか。

「なんか、反省していない気がしたから…」。

その子は言いました。女の勘はするどいからキライです。私は懐柔策に切り替えました。いかにゼルダが面白いかを語り、共感を得ようと試みたのです。

ムリでした。

そして、次の学級会でも議題にあげられ、親が呼び出され、こっぴどく怒られるはめになったのです。かくして『ゼルダの伝説』は封印せざるを得なくなり、後にディスクシステムを買ってもらうことになるのですから、人生万事塞翁が馬とはよく言ったものです。

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